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日常を連ねる家-1

第2回JPM学生コンテスト「わたしの住みたいコミュニティー住宅」 において、全国賃貸住宅新聞社賞を頂いた作品です。以下、説明文となっています。

「賃貸住宅」であるという前提条件が、他の設 計競技とは異なる点であり、意識すべき最大の条件であると考えた。そう考えた時に、複数の住民が共に利用する共用の空間を、「住み替え」を想定できる「賃 貸住宅」という形式故に、大胆に構築したいというのがこの設計の始まりだった。

コンセプトにもあるように、「hub」と名づけた住民の共用のエリア、あるいは地域の人々や外来の人々も含めた共用のエリアに、日常生活の場として想定した屋内の空間が寄り添りそう形になるようにプランニングを行った。その時に一番意識したことは、距離感である。

本提案の最大の特徴は1階部分と2階部分それぞれに 設えた半屋外の空間である。1階部分はパブリック・ヤードと名付け、誰でも通り抜け可能な庭をつくっている。このパブリック・ヤードは向かい合った2棟の 住民の生活の間を繋ぎ、また隣り合った棟に住む住民の生活も緩やかに連ねるように配置した。2階部分はコモン・テラスと名付け、住民の趣味や好みを、思い 切り表出し合あえるような場として設えた。

本提案では、距 離感を意識した操作を大きくは3つ、行っている。1つ目は、平面的に共用空間を雁行させることで連なりと遮断を両立させることを意図したこと。2つ目は、 断面的に1階と2階の共用空間を吹き抜けでつなぐことで上下階相互の行為を誘発していること。最後に3つ目として、屋外空間の面積規模を屋内空間のそれに なるべく近づけることで、屋外空間を積極的に生活の場として利用することを促したいと考えた。総じて、この背割り空地を大げさに設えたような半屋外の空間 「hub」、との関係の中で屋内・屋外両方を含めた生活空間が構築されると考える。

「hub」はそれ自体がコミュニティ形成の場であり、同時にコミュニティ活動の場として十分な規模でもある。この「規模」が「距離」でもあり、同時に「活動の場たる」という意味をも持つということが、この作品が「日常を連ねる家」たる所以である。

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