mermaid*

『しあわせがどういうものかわからないけれど。。。そうね。セイレーンの嵐の夜。こんな結末になると知っていたなら船と共にあのお方が沈んだときこうして海に引きずり込んでおけばよかったと今になって思うのよ。。。次こそはと何度彼とこの物語と結末を繰り返したことでしょう。。。幾年すぎようとも幾千の民の書物の結末は変わらない。きっとこの先伝承され続ける物語の中で私と彼が共に生きる未来なんてものはないでしょう？？長い長い時を書物の中で私はどれだけ泡沫の中に消えればいい？？いつになれば私はしあわせというものを手にすることができるの？？私は彼が好きで大好きで狂おしいほど愛しているのに。。。ねぇハンスあなたはどうしてこんなにも残酷な物語を描き。私の手が届かないところまで物語を広めてしまったのかしら。。。？？あなたが死んでなお私は書物の中で生き続けてる。生き続けているのよあの日を繰り返しながら。。。色褪せたページの裏側。もう。。。ひと思いに物語の結末を変えてしまおうか。。。』