COMPETITION

Make it Yourself Project #01

“Make it Yourself” 第1回目は、デザインユニット・KULUSKA(クルスカ)の「旅するレザースリッパ」とのコラボレーションを実現しました。

募集終了 2015/05/11(月) - 2015/06/17(水)

Fabマシン✕レザースリッパでどんなユニークな表現ができる?

最優秀、優秀、入選10作品を発表!

お待たせしました、「Make it Yourself – #01 旅するレザースリッパ by KULUSKA」のデザインコンペ審査結果を発表します。

今回のプロジェクトでは、デザインユニットKULUSKAさんのオープンデザインスリッパをベースにしたスリッパのデザインを募集しました。デザインの条件として、レーザーカッターとUVプリンターのいずれかを使ったスリッパのデザインを募り、70点を超えるたくさんの応募がありました。

審査会では、それらすべての応募作品を出力し、壁に張り出して審査しました。

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審査を担当した、KULUSKAの藤本あやさん(左)とFabCafeディレクター・岩岡孝太郎(右)。KULUSKA藤本直紀さんは、この日は海外出張だったため、サテライトで作品を審査してくれました。

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FabCafeチーフクルー・相楽園香。作品を見る目は真剣そのもの。

審査員は、異なる視点からそれぞれの作品の魅力や面白さ、Fabマシンでできることの可能性を力説。議論が深まります。

素材となるヌメ革やレーザーカッター・UVプリンターといったFabマシンの特性、そしてスリッパの型を活かしているかどうか。また、3つの募集テーマ(A. 旅の情景/B. 日々の発見/C. 大切な人への思い)をいかに表現するかが評価のポイントになりました。

プリントする内容とFabマシンの組み合わせ次第では、ヌメ革が新しいマテリアルに生まれ変わるかもしれない…という、ちょっとわくわくするような話も飛び出しました。

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審査の結果、10作品が実現化およびFabCafeでの作品展示へと進むことになりました。全受賞作品をごらんください。

最優秀賞

望月さん《砂を浚う波》

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波打ち際父と、母と、幼い自分が並んで立って、波が足の裏の砂を掠め取っていくのを感じました。

サラサラと流れて行く砂の変わりに迷い込んできた小魚。次の波と共にまた去っていってしまいましたが、なんて魚だったのかなあ。

湿った砂の冷たさと日焼け止めの香り、硬いザラザラとした貝殻の感覚を忘れないように。そんな思い出を込めました。

講評:

いつどこにいても海を感じられるという、スリッパに込められたストーリーが伝わる作品でした。KULUSKAのオープンデザインのきっかけでもある、イェンス・ディビックの「アフリカの大地を感じられるサンダル」にも通じるデザインだと思います。つくったご本人はきっと海が好きなんだろうなと、その人となりまでイメージが膨らみました。(藤本あや)

スリッパに対してグラフィックのレイアウトが正しく決まっていて気持ちいいですね。素足に波がかかった瞬間や砂浜を踏みしめている感じ、貝がらのプックリ感はUVプリンターとレーザーの特製を活かすことで表現できそう。望月さんの海に対する愛情が伝わってくる作品でした。(岩岡孝太郎)

このスリッパを履くと、だれもがそれぞれの記憶の中にある砂浜の光景や体験を思い出せる。そういう共通感覚がうまく表現されていると思いました。FabCafeとしても、マシンを使って砂浜や波の表現をどこまで再現できるかにチャレンジしてみたいです。(相楽園香)

優秀賞

KULUSKA・藤本直紀選

カモさん《心配ご無用》

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革製品に飲み物をこぼすとがっかりしますが大丈夫。

はじめからシミ模様になっています。

DON’T WORRY BE HAPPY

講評:

ナチュラルカラーの革にはじめからグロスでシミをつけているため、使い込むとシミの部分だけが逆にいつまでも色が変わらない。UVプリンターの特性と革の経年変化を見事に活かしたデザインだと思います。変わらずに残っている部分と変わった部分の色の違いで、本人が過ごした時間が可視化できるのが楽しいです。(藤本直紀)

本来だったら気になる「革のシミ」という存在を「思い出」に置き換えることで、時間の流れを感じるための装置になるという逆転の発想がいいですね。(相楽園香)

KULUSKA・藤本あや選

KAMEI DESIGN.さん《NIPPON》

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大切なフランス人の親友のために考えた、履くたびに日本の美しさをいつでも感じることのできるシンプルなスリッパです。両足を揃えるとまあるい日の丸が現れます。外国の方に履いてもらって海外を旅して欲しいです。

講評:

大切なフランス人の友人に日本の美しさをスリッパに込めてプレゼントしたいという動機に、すごく共感しました。KULUSKAも国境を超えてアイデアが形になる現場を追い続けてきましたが、その中で、世界の友達に日本の良さをもっと伝えたいと感じました。日本を離れれば離れるほど、日本に近づいていくという発見と驚きを、思い起こさせてくれた作品です。これまで私たちが使ってきたレーザーカッターだけでは作れないものだからこそ、今回のプロジェクトでぜひ実現してほしいです。(藤本あや)

自分だったら履くのがちょっと恥ずかしい気もしますが、このスリッパを外国の友達に見せたい・贈りたいという気持ちはよく分かります。オープンデザインは言語や文化が異なる相手と出会った時の共通言語にもなるから、「オープンデザイン」と「旅」の組み合わせにはすごく意味があるんじゃないかな。KULUSKAさんのスリッパというフォーマットのうえで、「自分は日本っていう国からやってきたんだよ」って表明できる、まさに旅するスリッパですね。(岩岡孝太郎)

日本の美しさがシンプルに表現されていると感じました。ほんとうに美しいものをみんなにシェアしたいというのは、クルスカさんの取り組み自体にも通じています。このスリッパを通じて、日本の魅力を海外に広めてほしいです。(相楽園香)

相楽園香選

hossy nakkieさん《ツガイ》

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おっちゃん、おばちゃん、更にはじいちゃん、ばあちゃんになってもいつも同じ方向をむいて、歩んで行こう。ツガイのスリッパで、愉快にユニークに、お互い年を重ねて行けます様に…!!革の経年変化が、顔のしわ、たるみなどを表現し、味わいあるものに。

おっちゃんのヒゲ、おばちゃんのイヤリング等は装飾して、口の中の文字は焼き印の予定です。

講評:

男女がこのスリッパを履いて一緒に生活する様子が想像できて、微笑ましいですね。大切な人にあげたいというテーマに、まさにピッタリです。ときどき、お互いのスリッパを交換するのも楽しいかもしれません。わたしも、こんなスリッパを誰かにあげたい!(相楽園香)

メッセージがすごく素敵です。たとえば夫婦で喧嘩したとき、玄関でこのスリッパを見た時に「I Love You」っていうメッセージがすごく支えになるんじゃないでしょうか。記念日に夫婦でこのスリッパにつけるアクセサリーを交換してもいいし、この先もずっと続いていくストーリーを感じました。(藤本あや)

革の経年変化が男女の姿にリンクしていることに気づいた瞬間、一気にこの作品が素敵に見えてきました。革も夫婦も長く長く付き合って、汚れやいたみをも受け入れていく関係なんですね。(岩岡孝太郎)

岩岡孝太郎選

ノラネコデザインさん《Wearable Wood》

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旅するスリッパと聞いて、いつか会いに行きたい屋久島の大きな杉の木が思い浮かびました。革素材へ木目が印刷されたらどんなに美しいだろうと想像し、切り株を身に纏うようなデザインに仕上げました。

講評:

レーザーカッターとUVプリントの特性をうまく使えば、革の風合いを活かしながら木の表皮っぽさを再現できそう。審査をする前は革全面にプリントしないほうが革の風合いを活かせるのでは思っていましたが、使い方次第では革を新しいマテリアルに昇華できるかもしれないという発見がありました。栗の木とか、欅の木とか、違う樹種でバリエーションをつくってみても面白いですね。(岩岡孝太郎)

以前、クルスカのオープンデザイン・ワークショップに参加した方で、木のぬくもりをテーマにデザインしていた方がいたんですが、そのときはレーザーカッターだけで木というマテリアルの強さを表現するのが難しかった。時を経て、UVプリンターが組み合わされたことで、新しい可能性に到達した気がします。革とFabマシンを活かして手触りや風合いでどうやって本当の木に近づけていくのか、また、実験によって新しいマテリアルが生まれるのか、興味深いです。(藤本あや)

入選

最終選考で、審査員から高い評価を受けた作品5点です。受賞作品はすべて実現化されます。

KAMEI DESIGN.さん《TOTTORI SAKYU》

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講評:

遠くから見るとブルーのラインが入ったおしゃれなスリッパで、近づいてみると実は砂丘だった…という仕掛けがユニーク。革のナチュラルな色を砂丘に見立てたのも上手いですね。

naginohiさん《草花とともに》

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講評:

草花や小鳥がかわいらしく、革の風合いにもマッチしています。水彩のタッチを革の上にきれいにプリントしてみたいです。

茶谷順子さん《夏山の、旅の思い出》

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講評:

家族の思い出をテーマにものづくりという、Fabならではの作品ですね。子どもの絵✕Fabのワークショップにもチャレンジしてみたいと思いました。

maruさん《文鳥の いたずらスリッパ》

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講評:

UVプリンターとレーザーカッターの使い方に、細やかなこだわりが光る作品でした。鳥のフンの表現で思わず笑ってしまいました。

jobin.さん《ただいま》

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講評:

スリッパというものの用途や構造を上手に使った表現・ストーリーだと思います。絵も可愛らしいです。

8月31日〜9月7日受賞作品展示会&ワークショップ開催!

今回受賞した作品は、FabCafeとロフトワークのサポートのもと、すべて受賞者の皆さんの手で実現化されます。

8月31日から、リニューアルしたFabCafe Tokyoにて完成したスリッパ10点の展示会を行います。平面だった作品が、Fabマシンとクリエイターの手によりどんなスリッパになるのか? どうかお楽しみに。

そして、9月6日(日)にはKULUSKAさんによるレザーとUVプリントを使ったワークショップも開催します。続報をお待ちください!

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KULUSKAさん、ありがとうございました!!

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