バイオインク

近年、持続可能な社会の実現に向けて、自然の仕組みを活用する「バイオデザイン」への関心が高まっている。中でも、循環性や素材の背景を重視するデザイン分野では、生物の機能や素材を表現に取り入れる試みが注目されている。一方で、生物の制御や価値評価、実験の枠組み設計、倫理的課題など、多くの実践的な困難も存在する。本プロジェクトでは、こうした課題に向き合いながら、3種類の細菌を用いた「バイオインク」の開発と、その表現可能性の拡張に取り組んだ。さらに、バイオ素材を創作に活用するためのデザイン支援ツールを導入し、学生との対話を通して、素材の可能性と倫理性についての議論も行った。本プロジェクトは、バイオインクを新たな表現媒体として位置づけ、デザイナーやアーティストが生きた素材とともに創造するための実験と環境づくりを目指している。