曲がりを摘む(白)
曲がりを摘む(灰)
曲がりに絡む明かり
電線巻取り
曲がり差し込み
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説明文
外を歩くとき、道端には実に数多くの植物を見かける。それは都市であれ、地方であれ変わらない光景である。そんな植物たちは種子をうまく散布するために様々な様態で曲がりをつくる。合理性と生存戦略に基づいた数限りない形状への実践が常に行われている。その数限りない挑戦には、人の手では作り得ない曲がりを見つけることができる。時にインスピレーションの元となるその姿形をそのまま機能として取り込むことで、曲がりを見つけ出そうとする意識によって身の回りの景色が変わっていく。曲がりは季節が移り変わるとともに、その仕事を見事に果たし消えて無くなる。刹那的に現れるこの曲がりを生活に置くことで、生活に時間の流れが生み出せるのではないだろうか?
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制作物の柔軟性(Flexibility)についてご記入ください。
現在のプロダクトはその寿命が飛躍的に伸びたわけではない。常に新鮮なものを大量に準備することで、機能の寿命を伸ばしている。昔の明かりを思い出し、ろうそくを考えてみる。光を放つろうそく自体の寿命は、一晩ついていることも難しいほどろうそく自体の寿命は短い。一方でろうそくを置く燭台自体はメンテナンス次第では半永久的に使用することができる。このように機能を支えるための土台としてのプロダクトの寿命が長ければ、プロダクト全体の寿命は向上する。消耗する部分を意図的に発生させることで、その土台の機能は長く保たれるというのが、メンテナンスという考え方の基本である。
そしてメンテナンスにおける消耗品は身近に存在しなければならない。今回着目したのは、明かりを支える支柱であり、支柱は明かりを適切な位置に配置するためにある程度の曲がりを要する。しかし曲がりは、場所・人・用途によって千差万別であり、プロダクトのラインナップは過剰に増え、また用途が終われば廃棄されてしまい新しいプロダクトを購入する。本来使い続けられるものも、曲がりの柔軟性のなさのためメンテナンスよりも買い替えという選択肢が生まれる要因の一つである。ここで、” 曲がり” という機能に柔軟性を持たせるために草の曲がりを用いるのである。草は、そこら中に生え茂り年中通してそれが無くなることはない。また草自体が特別な存在ではなく、誰しもが容易に手に入れることのできる素材であると言える。さらに手に入りやすいだけではなく、使用者が住まう場所など身近な場所で生息する草は、それ自体が地域性を保有することでその形態は千差万別の形を見せる。

