Tuft Series

この作品は、建築資材として用いられる金網に、ラグ製作で使用されるタフティングガンを用いて毛糸を打ち込んだ椅子です。通常は硬質で冷たい印象を持つ金網に、柔らかく温かみのある毛糸を組み合わせることで、視覚と触覚のギャップを生み出しています。

構造材として用いた丸棒は外から見えず、視認できるのは毛糸と金網だけ。そのため、まるでラグ自体が自立しているかのような錯覚を与えます。この非現実的な構造感は、見る人の好奇心や触れてみたいという衝動を刺激します。

普段「座りたい」と感じることのない金網という素材に、あえてラグのような要素を組み込むことで、「触りたい」「座ってみたい」といった人の感情を喚起する、新しい家具の在り方を提示しました。

この作品の魅力は、見た目や触り心地、つくり方や使い方まで、いろんな面に「柔軟さ」が詰まってるところ。
ただ素材を組み合わせただけじゃなくて、「硬いのにやわらかい」とか、「境界があるからこそ自由になれる」みたいな、新しい関係性に気づかせてくれるような、不思議な存在です。まるで発見を促す装置みたいな作品です。