Fire and Grain

塗装した木材をバーナーで炙ることで、木目の凹凸や色のにじみを引き出す実験的なプロダクトです。素材が本来もつ情報を加工によって再構築し、偶然と計画のあいだにある“しなやかな表情”を表現しています。さらに、企業が保有する森から採取した木材を使用することで、地域林業の振興や循環型社会への貢献も視野に。都市と自然、企業と地域をつなぐ新しい関係性を築くプロジェクトでもあります。見る角度や光の加減で変化するその表情は、固定された意匠ではなく、柔軟性と可能性に満ちたものづくりのかたちを提示しています。

焼成という工程は一見荒々しいようでいて、繊細な温度と時間のコントロールによって成立しており、その不確かさの中に、計画と偶然が共存しています。

また、作品自体は家具やアート、建材のようにも機能し得る構造であり、明確な用途に縛られない“枠の外”にある存在として、空間の中で自由に位置づけられます。このような多義的で開かれた在り方こそが、本作の柔軟性の核となっています。