Fragments of Fragrance

このコンクリート廃材を活用したディフューザーは、再利用しにくい負のイメージが強い解体ガラを、美しい製品へと生まれ変わらせることを目指しています。人工的な工業廃材に水圧転写を施すことで、素材が新たな表情を得て甦り、さらにコンクリートの持つ吸水性を活かすことで、ディフューザーとしての機能を備えます。

無機的で荒々しいコンクリートガラの質感と、有機的で鮮やかな水圧転写の揺らぎが重なり合うことで、偶発的で自然な美しさを引き出します。転写を部分的に施すことで吸水性を保持しつつ、廃材本来の姿をあえて残すことで、素材が持つストーリーをユーザーへ継承します。

個体差の大きい形状に対しては、正確にグラフィックを転写できない場合もありますが、皺や割れをむしろ許容し、そこから生まれる偶発的な美しさを価値として捉えます。さらに、コンクリート表面への転写が難しい場合には、下地材を塗布した上で転写することで、表現の幅を広げることも可能です。

価値を失ったコンクリート廃材を、機能と美を兼ね備えたプロダクトとして再生させることで、持続可能な新しい価値を創出できると考えています。