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秘術 『 「物」語り 』 ― モノが語り出す装置
廃校となった旧琴南中学校に残されていた「思い出資料室」。そこには写真やトロフィー、名もなき彫刻や花瓶など、持ち主不明の記憶の欠片が雑然と眠っていました。本作では、それらの「物」に秘術を授け、語り出す仕掛けをつくりました。来場者は気になる物を選びスイッチを押すと、AIによって生成された「もっともらしい物語」が印刷され手渡されます。それは事実ではなく、しかし誰かの記憶を呼び覚ます新しい物語。沈黙していたモノが再び声を持つことで、失われかけた地域の記憶や鑑賞者自身の体験と交差し、新しい語りの場が生まれました。
