CREATIVES

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Unpacking the Invisible

本作は、キャリーケースの内部を可視化し、内包された"心情"までを映像表現として提示するインスタレーション作品です。

映像は什器に置かれたディスプレイとキャリーケース内部に埋め込まれたディスプレイにて上映され、架空の人物達をAIにて設定し、左上には名前, 年齢, 国籍, 職業, 心情テーマが記載されており、彼らのキャリーケースの内部=内面世界を可視化していきます。

什器上のディスプレイでは、X線を通過していくキャリーケースの内部を可視化したアニメーションが展開され、映像内では通常キャリーケースには収まらないような非現実的, 象徴的なオブジェクト等も現れ、人物の物理的な持ち物と心理の両面を同時に描きます。

もう一方のキャリーケース内部に埋め込まれたディスプレイの映像は、人物の心情やアイデンティティーにフォーカスした映像が上映され、データモッシュという映像技術を駆使することで心情の偶発的な移り変わりを表現しています。シーンはモーフィングし続け、人物の内情を覗き見る、観る者の想像力を刺激する構成です。

限られた空間内に"移動, 運搬, 内包, 可視化"といったキーワードを凝縮し、キャリーケースという日常的なオブジェクトを、個々の内面世界の象徴として再解釈します。

スーツケースは単なる荷物ではなく、そこには各人の目的地へ向かう想い, 期待, 不安, 記憶、そして物語が詰め込まれています。誰一人として全く同じ内包物を持つことはなく、その多様性こそが人間存在の豊かさでもあります。

宇宙, 植物, 工業的機材, 消費文化, 個人的な記憶片などが混在する映像は、グローバル化が進む現代における"個"と"他者"の交差を象徴し、人種も文化も異なる無数の旅人が交差する現代社会において、キャリーケースは"移動する個のミクロな宇宙"であり、その中身を覗き見ることは他者理解の入り口ともなり得るだろうと考えます。

映像技術を用いることで現実の物理空間では成し得ない"内面の可視化"を試みる本作は、映像表現の拡張とインスタレーションの融合を図る試みです。

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