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どの絶滅危惧空間を扱うのか(300文字以内)
本提案が扱う絶滅危惧空間は、屋外プールである。
屋外プールは、単なる水遊びの施設ではない。子どもたちが約束をしなくても自然と集まり、遊びを通して関係を育む居場所だった。
しかし現在は、老朽化や維持管理の負担、猛暑、遊び方の変化に加え、利用が屋内プールやレジャープールへ移行したことなどにより、地域の屋外プールは減少し、そのような居場所も都市から少しずつ姿を消している。
本提案では、屋外プールを「水の施設」としてではなく、子どもたちが自由に遊び、過ごすことのできる居場所として捉える。 -
なぜその絶滅危惧空間を扱うのか(600文字以内)
この空間を選定したきっかけは、絶滅危惧空間について考える中でふと目にした屋外プールから、自分自身の子どもの頃の記憶がよみがえったことだった。夏になると、約束をしなくてもプールに友達が集まる。あの風景は、誰にとっても当たり前に存在するものだと思っていた。
しかし調べると、近年では地域の屋外プールだけでなく、学校プールも老朽化や維持管理の負担などを理由に減少していることを知った。さらに、同じくRED SPACEである公園でも遊具の使用禁止やボール遊び、大声を出すことへの制限が増え、子どもたちが自由に遊び、過ごせる場所は少しずつ失われている。安全性や管理の重要性はもちろん理解できる。一方で、その積み重ねによって、子どもたちが自ら遊びをつくり、関係を育み、居場所を見つける機会も失われつつあるのではないかという疑問を抱いた。
そこで改めて屋外プールという空間を見つめ直したとき、私が残したいのは「水」ではないことに気づいた。プールは都市の中にありながら、一段下へ降りるという地形によって、まちとのほどよい距離や境界を生み出している。深さは視線や音をやわらげ、子どもたちだけの世界をそっと受け止める器となっていたのである。
屋外プールが失われているのではない。失われつつあるのは、その深さが育んできた「子どもの居場所」なのではないか。
この問いから、本提案は始まった。 -
どのようにその絶滅危惧空間を変異させるのか(1200文字以内)
本提案は、屋外プールを保存する計画ではない。変異させるのは、プールという形ではなく、その場所が持っていた空間の記憶である。
屋外プールを見つめ直したとき、私が見出したのは「深さ」という価値だった。これまで水を支えるための機能として存在していた深さは、実は都市の中にもう一つの世界をつくり出していた。まちから一歩降りる。そのわずかな高低差が視線をほどき、音をやわらげ、都市との適度な距離を生み出している。屋外プールの魅力は水だけではなく、この身体体験そのものにあったのではないか。そこで本提案では、「深さ」を子どもの居場所を生み出す空間原理として読み替える。
水はミストや浅い水盤へと変異する。夏の日に自然と水へ近づきたくなる身体感覚を残しながら、季節を問わず使える場所へ更新する。そして、かつて水面だった高さには、一本の水平なスラブを浮かべる。それは失われた水位を記憶する線であると同時に、その下に子どもだけがかがんで入ることのできる小さな居場所を生み出す。押入れや机の下、秘密基地のように、子どもは身体が少し包まれる場所に安心感を見つける。このスラブは、深さが生み出していた「包まれ感」を、別のかたちで都市へ返していく。
プールへのアプローチもまた、読み替える。更衣室だった場所は、大人が子どもを見守りながら静かに過ごせる居場所へと変異する。子どもを絶えず見続けなければならない緊張から、ほんの少しだけ解放される場所である。同時に、この空間が遊び場と道路との間に緩やかな境界をつくることで、安全性も自然に確保される。子どもは一歩降りた世界で自由に遊び、大人はその入口で静かに見守る。互いの距離を保ちながら、それぞれの時間が流れる。
私が残したいのは、屋外プールという施設ではない。子どもたちが自然と集まり、遊びを生み出していた「深さ」という空間の価値である。
本提案は、その価値を現代都市にふさわしいかたちへと変異させ、子どもたちのRED SPACEをもう一度都市へ取り戻す提案である。
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まちから一歩、降りる
失われつつあるのは、屋外プールではない。その深さが育んできた、子どもたちだけの世界である。本提案は、プールが持っていた「深さ」を現代都市へと変異させ、子どもたちの居場所をもう一度つくり出す。
