「心拍」と「触れる」という行為は、
すべての人に共通する、きわめて根源的な身体性に根ざしている。
鍵盤の上にともる赤い光にそっと指をかざすと、
脈波がリズムをもった音、そして音楽として立ち上がる。
鑑賞者はさらに、譜面台に置かれた「言葉の楽譜」(日/英/点字)に導かれて
ペダルを踏み、自動演奏を助け、鍵盤に触れて共に音を奏でる。
深呼吸をして、自身の脈拍、空間に満ちる環境音に耳を澄ませながら、
その場、そのときと響きあう音をみつけていく——
楽器の従来のメカニクスを残したまま自動演奏装置を組み込むことで、
機械と人間の演奏がひとつの楽器の中で共存する。
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本作で用いるピアノは、名古屋市内で廃棄寸前になっていた楽器である。
だれも触れることがなくなった楽器は、固く閉じていく。人間と同じように。
多くの人が触れ、そこに脈が移されることで、楽器は再生 (Revivify) していく。
本作は、捨てられゆく楽器を、より多くの人にひらかれたユニバーサルな形へと変え、
再び場に戻す試みでもある。
楽器、ひいては文化資源の循環的な在り方を問いかけている。
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2026/08/04(火) Updated