CREATIVES

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絵画を聴く

 「絵画を聴く」は、絵画の中に鳴っていたであろう音風景や、絵画を想起させる音楽をつくる「作曲実践」である。絵画という、人によって感じ方の異なる主観的なメディアを、どう音に拡張し、どう他者と共有できるかを探る試みでもある。全盲の友人と一緒に美術館で絵画を鑑賞した経験がきっかけでこのプロジェクトを始めた。

 まず、絵画にデジタルで作った環境音を重ねる手法を「絵画を聴く」と定義した。この手法をもとに、木枠のインスタレーションを制作した。並行して、全盲・ロービジョンの方を対象にした鑑賞会や学術論文の執筆などにも取り組み、複数の形式で実践を重ねている。選出された際には、このインスタレーションと、そこに至るまでの実践をあわせて展示する。

 具体的には、絵画の視覚的要素や文献から抽出した音の要素をプロンプトとしてAIで効果音生成を行い、素材化した。それらの素材音源を、Unityで3D空間上に配置し、プログラムによって制御した。
 それらを絵画のフレームを模した木製額縁に設置した振動スピーカーで、振動として鳴らしている。さらに距離センサーで木枠を複数の領域に分け、鑑賞者が額縁に手を通すと、絵の構図に応じて音と振動が変わる。視覚に依存せず、身体を通して絵画の構図やその奥行きを直感的に知覚できるインターフェースである。

 「in TOUCH」が問う"ふれられる距離"に、このインスタレーションは視覚に頼らず身体で絵画に近づく体験として応えている。絵画を視覚と聴覚によって視て、木枠に触れ、手を通すという一連の動作の中に、見る・聴く・ふれるが同時に立ち上がる。

 全盲の友人と一緒に美術館で絵画を鑑賞した経験がきっかけだった。鑑賞自体が言語的な鑑賞になってしまう。そのことに気づいたのが出発点である。大学で専攻する美術史と課外で実践を続けてきたサウンド・アートという、これまで自分が重ねてきた二つの領域を結びつけ、音で絵画に「ふれる」鑑賞をつくれないかと考えた。

 見える人も見えない人も(美術をよく見る人も見ない人も)、境界を曖昧にしながら同じ場所で「ふれ」、言葉にならないものを交換できる場をつくることを目指している。

インスタレーション風景

インスタレーションの体験について

作曲法について

プロジェクトの展開について

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