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未確認音源生物
冷蔵庫やコンロ、エアコンなどが並ぶ生活空間と、それぞれが発する日常生活音、そしてその音を発している目には見えない生命「未確認音源生物」で構成されるインスタレーション作品。来場者は、それぞれの家具/家電に近づくとその音をふいに聞くことになり、張り出された未確認音源生物の目撃資料を見て、日常生活の裏側に潜む生命の存在を想像する。カップ焼きそばの湯切りをした時にシンク下で蠢く「シンクボコン」が代表的な未確認音源生物である。最近では技術進化のあおりを受け、これら生物の生息可能地域が少なくなってきているが、今回シンクボコンをはじめ、数種類の生物の捕獲に成功。それらを捕獲/保護/展示した作品となっている。生命の成り立ちや仕組みなど生命現象の原理に迫ろうとしている「人工生命」の研究分野での作品であり「人は与えられた世界観により自身の頭の中に生命性を見出すのではないか」と考え制作した。この展示を見た人が社会通念や一般常識にとらわれずに、自宅に帰ってからあらゆる日常生活音に生命性を感じ、その人の頭の中に、ちょっと不思議で、ちょっと怖くて、ちょっと楽しい未確認音源生物を作り上げ「生命とは何か」を考えるきっかけを作る。