COMPETITION

大阪・なんばのクリエイターインレジデンスプログラム「Chokett」参加者募集!

観る、買う、遊ぶ、働くだけでは物足りない。街は使いこなしてなんぼ。そんな文化と態度を育むためのクリエイターインレジデンスプログラム

結果発表 2023/10/17(火) - 2023/10/31(火)

Chokettがある時〜! 20XX年のなんばを大妄想

2023年10月に募集を開始したChokett(チョケット)。街に新種のエンターテインメントを生み出していくことを目指すレジデンスプログラムだ。回数を重ねてさまざまなプロジェクトが生まれていくと、なんばの未来はどのように面白くなっていくのだろうか。Chokettプレイベントに登壇した、Chokettの総合プロデューサー・小島和人(通称、ハモ)さんに、未来予想(妄想)を聞いてみた。

取材・文:小倉ちあき
写真:山元裕人

キーワードは「開く」。エンタメも街も欲望も

なんばでは今、南海電気鉄道株式会社(以下、南海電鉄)が中心となって、グレーターなんばビジョン”ENTAME-DIVER-CITY”の実現に向け、新しいなんばのエンタメを創造する事業が始まっています。地域の方やステークホルダーが街で活動しやすい機運をつくっていきます。商店街組合の会長さんが主役かもしれないし、実施される場所はオフィスビルの1階かもしれないし、街のあらゆるところで、エンタメが当たり前のように実装されている状態が理想です。

都市の価値観は、今世界的に揺れ動いています。都市だけどローカルという雰囲気がなんばにはあるので、それをもっと強化していきたいです。なんばはカオティックで、さまざまな人が入り乱れて商売しています。そんななんばのカオティックさにもバイアスがかかっていて、抜け落ちているのが、「目立つのは苦手だけど面白いことはやりたい」「自分の大事にしているものを発信したい」とかいう派手なものだけでは無い熱量みたいなもの。そういうものを新しい価値として街が受け入れる形を作っていきたいんですよね。

街を開く、エンタメを開く。新しい価値観として、クリエイターが発信したものを街が使っていくスキームが必要です。カオティックさを開いていき、同時に経済的なものも開いていく。今はビジネスというよりも文化的価値しかないものが、今後年数をかけて街に育まれていく……。これこそが、なんばだけがもつ経済的価値になるはずです。

例えば、9月22日〜23日のChokettのプレイベントに参加してくださった、青山メリヤスの山田 麻理子さん。彼女は、他人のいらなくなった衣類で服をつくり上げ、それを0円で販売するという新しい価値観を商品にしていました。例えば彼女の服が、なんばにある高島屋さんに出店したとしたらどうでしょう?それはまさに、新しいサステナブルな経済の循環の形の事例が生まれたといえるかもしれませんよね。

1970年代にアメリカで流行ったブロックパーティというものがあります。これは地域で音楽を演奏したりダンスを踊ったりするお祭りです。例えばこれをなんばの街中でやってみるとどうなるだろうという問いがあるとします。

プレイベントでは、カモメ・ラボの今村謙人さんがDJ屋台を作ってくれました。路上で好きな音を鳴らす場所自体も、自分で作ってしまおうというアイデアです。自分の好きな音を自分だけで聞くのではなく、周りに聞こえるように、音を開いてみたらどうだろう。街の中で聞こえる音楽って、だいたい一定ですが、街の人がつくった音が流れていてもいいかもしれませんよね。こんな思考に基づいたさまざまな実験が、なんばの街でこれから起こっていきます。

アナログな都会でデジタルが連携する、これからのコミュニケーション

ちょっと先の未来の妄想になりますが、web3などの新しいデジタルの仕組みも、街の中でのコミュニケーションツールのひとつとして、根付かせたいです。例えば大道芸をされる方などは、その対価として投げ銭というやり方がよく取られますよね。しかし未だ日本の文化的風土として、投げ銭は根付いておらず、パフォーマンスアートへの対価が生まれにくいものとなっています。web3を使った通貨交換システムがあれば、新しい投資の形が作れるかもしれません。そうすると、エンタメを提供する側の未来も支えられるようになります。

また投げ銭は、瞬間瞬間の価値交換のシステムとしてはいいけれど、なんばの街そのものに何も残さないやり方です。しかしweb3を活用すれば、1時間を1000円で買うなど、時間に対する投資を可能にします。アナログとテクノロジーが関わり合うことで、演じる側、支払う側という一時的な関係性だけでなく、街の中で連続性のあるコミュニケーションが維持できるようになるのではないでしょうか。


Chokettの最初の拠点となるBase(108)は、コンパクトに実験できる場所。ぜひ使い倒して欲しいと思いますね。普段他の場所ではやらせてもらえないことを、やれる場所にしたいです。できないことを一緒に面白がり、なんとかできるようにするのが、僕たち管理側の役割。仕事帰りに、観光のついでに訪れた時に、「なにやってんの?」みたいな状況が生まれていたらいいな。家に帰る途中にたまたま立ち寄ったら、なにか触発されて、新しい開発をすることになった、なんてことも十分に起こり得ますよ!

Chokettの拠点は、こんなふうに使おう!

実はいま、なんばのメインロードだけでは楽しめない人が増えています。なんばの魅力は脇道にあり。ニッチなカルチャーは脇道に埋もれていて、そこに自分にハマるカルチャーを見つけられることもあるでしょう。メインのものもニッチのものもあるって、それこそがまさに多様性です。

人の目線を開いていくこと。街の一部を使っていい場所として開放していくこと。色々な実験を、街に訪れる人に見てもらう行動から、新しい文化が育まれていくかもしれない。そう、それこそが新種のエンターテインメント! 僕たちの役割は、街と人の接点としての役割を担いながら、ムードをつくることです。

興味を持たれた方は、僕たちをうまくつかってやろう、くらいの強気さを持ってくださっていいです(笑)。誰かのためにやることではない、自分のために全力でできることに、未来の街を作る可能性があるんです。新しいスポーツをつくりたいでもいいし、ひたすらガム噛むことが好きでもいい。どれだけバグっていても(笑)いいのでどうぞ持ち寄ってください。そしてぜひ本気で遊んでみてください。

いやまずは、ほんまに僕たち自身が面白がれないといけませんね。エンタメ精神、精進してまいります。



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