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どの絶滅危惧空間を扱うのか(300文字以内)
本提案では、「街の噴水」を絶滅危惧空間として取り上げる。
かつて街の噴水は、人々が集い、水景による涼や癒しを享受する公共空間であり、街の象徴的な存在であった。しかし近年では、老朽化や維持管理費、水道代、設備保守、衛生管理、安全対策などの負担から、小規模な噴水は急速に姿を消しつつある。水が止められたまま放置された「かつて噴水だったモノ」が街中に増加し、本来人々を惹きつけていた空間は都市の空白地帯へと変化している。本提案は、この失われつつある公共空間を、新たな都市の資源として再生することを目的とする。 -
なぜその絶滅危惧空間を扱うのか(600文字以内)
街の噴水が減少している理由は、存在が不要になったためではなく、老朽化や維持管理費、衛生・安全面といった社会的要請により、従来の噴水という形式を維持することが困難になったためである。一方で、公共空間には交流や憩い、防災など、これまで以上に多様な役割が求められている。噴水が担ってきた「涼」「集」「癒」という機能そのものは現在も必要とされているにもかかわらず、その実現手法だけが時代との適合を失っている。
継承すべき対象は、水を噴き上げるという形式ではなく、人々を引き寄せ、街に潤いを与え、公共空間の象徴となるという本質的な役割である。現代の都市では地域との関わりや住民同士の接点が希薄化しつつある。役目を終えた噴水を住民自らが育て、関わり続ける公共空間へと変異させることで、新たな交流や風景を生み出すことができると考えた。噴水は消滅すべき存在ではなく、時代の要請に応じて姿を変えながら、その役割を継承していくべき都市のストックである。 -
どのようにその絶滅危惧空間を変異させるのか(1200文字以内)
本提案では、水が止められた噴水を「街のプランター」へと変異させる。
噴水は本来、給水設備や排水設備、水盤を支える躯体など、植物を育てるためにも活用可能な都市インフラを備えている。水槽部分に土壌を充填し、既存の給水設備を灌水設備として、排水設備を排水として転用することで、噴水が本来持っていた構造を大きく改変することなく、新たな植栽基盤へと読み替える。噴水が担ってきた「涼」「集」「癒」の三つの機能についても継承を図る。「涼」は、噴水の気化熱による冷却効果に代わり、植物と土壌が持つ保水性によって地表面温度を低減することで実現する。「癒」は、水景ではなく、四季折々の植物が織り成す景観へと置き換える。「集」は、人々が噴水を眺める場から、植物を育て、手入れし、収穫や鑑賞を通して関わる場へと転換することで再構築する。従来の受動的な公共空間は、住民の主体的な活動によって育まれる公共空間へと変異する。
活用方法のモデルケースとして、二つのパターンを提案する。一つは「みんなのレンタルはたけ」である。区画ごとに野菜や果樹、草花を育てることで、栽培や収穫、お裾分けを契機とした地域コミュニティを形成する。もう一つは「自己表現の寄せ植え」である。住民が各々の趣味を持ち寄り、共同で街の風景を創り上げる。いずれも完成形を設計者が決定するのではなく、住民の活動そのものが空間を更新し続ける仕組みである。
本提案が目指すのは、全国各地に点在する「かつて噴水だったモノ」が、それぞれの地域性や利用者に応じて異なる姿へ変異し、新たな公共空間として再生されることである。野菜を育てる街、花を育てる街、ハーブを育てる街など、変異の形は地域ごとに異なる。その多様な変異が都市へ伝播し、それぞれの街固有の風景を育んでいく。
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かつて噴水だったモノたち
日常の風景にあった噴水、かつては水が勢いよく出ていたが、今ではその機会もなくなっている。
噴水の魅力や機能を別の形に残し、街のシンボルとして蘇る。
噴水の魅力や機能を別の形に残し、街のシンボルとして蘇る。
