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どの絶滅危惧空間を扱うのか(300文字以内)
対象空間は”街の電気屋”である。かつて地域の家電インフラを支えたこの空間は、大型量販店やオンライン決済の普及、製品のブラックボックス化により消滅の危機にある。しかし電気屋の真の価値は新品の販売ではなく、店主が培ってきた”実物を見て回路を読み故障原因を探り、代替部品を選んで一台ごとに異なる解決方法を考える職人技術”にある。メーカー修理が終了した瞬間、技術的には直せても”規格外”としてシステムから廃棄される家電が大量に存在する現代において、既定のマニュアルを超えて機械と向き合う電気屋の空間は、大量消費社会の限界を乗り越え物の寿命を再定義する批評的な拠点として極めて重要である。
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なぜその絶滅危惧空間を扱うのか(600文字以内)
現代の家電流通システムは部品交換よりも新品への買い替えが早く安い。メーカーが部品保有を終えた時点で機械は”死”を迎える。この経済合理性のシステムは、修理技術や機械の構造理解、長年愛用してきた所有者とモノの記憶を同時に消滅させている。既存の空間再生案の多くはギャラリーやカフェ等への”空間転用”に留まりインフラのDNAが持続しない。着目したのは電気屋の”直す技術”を原状回復ではなく別の姿へ生まれ変わらせる”変異(MUTATION)”の専門工房へと昇華させる可能性である。本計画では店主の持つ電気工学的アセットに、サウンドデザインやデジタルアート、グリッチ表現といった現代のクリエイティブを接ぎ木する。これにより経済合理性から外れた”個人的な記憶を持つ機械”や”廃棄するには惜しい意匠を持つ製品”を現代の生活環境に適応する唯一無二のノンファンジブルなアート、所謂”変異家電”へとアップサイクルする経路が生まれる。絶滅しつつある電気屋が、絶滅しつつある廃家電を変異させる二重構造。個人の作品展示で終わらせず、技術の継承とクリエイティブの合流によって、町の電気屋が”オーダーメイド型の変異サービス”という新たな経済的自立手段を獲得し、地域に存続し続けるインフラシステムを構築する。
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どのようにその絶滅危惧空間を変異させるのか(1200文字以内)
”MUTANT APPLIANCES”は、街の電気屋を”メーカー修理網から外れた機械をアートプロダクトとして再生・自立させる工房”へ変異させる計画である。
>> 具体的な変異プロセスとクリエイティブの合流
01. 受付と診断:所有者が捨てられない古いラジオやブラウン管テレビ等を持ち込み又は店主が街から回収し、回路や筐体の状態を診断する。
02. 技術と表現の接ぎ木(変異):故障した機械を元通りに戻す事は目指さない。店主が電気回路を修復・通電させ、クリエイターがその内部に現代の電子モジュール, 音響回路, 映像出力信号等を組み込む。例えば機能不全に陥った音響機器の電気信号から新たなサウンドを生成させたり、古いモニターの回路をハックして環境音を美しい映像へとリアルタイムに可視化するなど、機械毎に最適な機能変異を与える。
03. 変異の痕跡:一般的な修理とは異なり修繕や移植のプロセスそのものを”機械が複数の異なる時間を生き直した証拠”として作品化する。外装を異種素材で縫合する, 筐体の造形そのものを再構築する, 内部回路のバグやノイズをそのまま表現に昇華させる等、見た目や手法に制約は設けない。この変異の痕跡こそが量産品にはないアートとしての固有の価値となる。
04. 多様なアウトプットとアーカイブ:完成した変異家電は元の所有者の日常へと返却されて実用されるだけでなく、電気屋のショーウィンドウに展示されて街の風景をハックしたりアートピースとして広く流通させる等状況に応じた多様な選択肢を持つ。同時に、製造年や移植回路、関わった職人の記録を”変異記録”として店頭やウェブでアーカイブ化していく。
>> 社会実装性と持続可能な仕組み
本案は無料のアート活動ではなく、電気屋の新しい専門ビジネスとして運営する。料金には部品交換だけでなく”初期診断, 代替部品の探索, 用途の再設計, 安全確認, 変異記録の制作”を含めたオーダーメイドの加工, 設計料を設定し、適切な対価を店主と参画するクリエイターで分配する。更に全ての店舗が全技術を持つ必要はない。参加店舗をネットワーク化し、オーディオ, 照明, 映像機器等、店主の得意分野に応じて案件を移送, 共有する”分散型インフラ”として機能させる。既存のテスターやはんだごて、店舗スペースをそのまま活用する為大規模な設備投資や電力消費を必要とせず、最小限の追加アセットで即座に社会実装が可能である。
>> 結論
“MUTANT APPLIANCES”は完成された作品を鑑賞者に一方的に提示するプロジェクトではない。街のインフラが持つ身体性と職人技術を拡張しモノの記憶を未来へ接続する”動的なシステム”そのものの変異計画である。モノの寿命を問い直し、アートの力でインフラの経営を維持する、地続きのリアリティを持った未来の姿を提示する。
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MUTANT APPLIANCES
大量消費社会の限界により消滅の危機にある”まちの電気屋”を、廃棄家電へ新たな命を吹き込む変異工房へ転換する計画。寿命を迎えた機械の回路をハックし、環境音と連動する映像の可視化や新たなサウンド生成といった機能変異を与える。修繕のプロセスをアートの価値に変え、完成したプロダクトは所有者への返却や街のショーウィンドウ展示など多様な形で社会へ還元される。個人の作品展示に留まらず、インフラの持つ身体性と職人技術をクリエイティブの力で拡張し、地続きのリアリティを持って存続させる動的なシステム。
