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一粒首飾『キメラチョウ・橙』『キメラチョウ・緑』

イラスト / その他
キメラ蝶収集家の手記より

この架空世界において、
キメラという存在は別段珍しいものではない。

確かに、正常か異常かと問われれば、
元は突然変異によって現れた異常種のため、異常である。
さらに近年、正常種から異常種への変化が著しく、
異常種が圧倒的に多くなってしまっているこのような現状もまた、異常なことに変わりない。

彼等は常に変化する。
進化ではなく、変化である。
時に美しく、時にこれ以上ないほど醜悪に。
そして、どちらも酷く儚い。

昨日出逢ったキメラを今日目にすることは、まずない。
彼等は他種を自身の色に染め上げ、と同時に自身の色も保てない。
目まぐるしく移ろいゆく様を見ると、
それが本能であるとわかっていながら、何かから逃れようと足掻く姿に思えてしまう。

それ故、私は魅せられる。
その一瞬を何としてでも留めておきたい。
これを人に話せば、サディスティックであると蔑まれるだろうか。
たかだか虫一匹に必死になってと嘲笑されるだろうか。

(中略)

彼等が変化の過程を意識することはあるに違いないのだから、
故に、彼等を通して自身を留めているに過ぎない私は
何かが変わろうとしている
私は
まだ

なのだ

ろうか

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