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Luminescent Tentacles
我々は波間に揺れるイソギンチャクの触手を見る時、原始的な生物の存在を感じる。2014年のGenome Researchで発表された研究の中で、イソギンチャクは半分植物、半分動物であることが分かった。原始的であるからこそ多様性を内包したその生態に、人間が理解できない混沌の中に、生物らしさ、美しさを感じるものがあるのではないか。Luminescent Tentaclesは、イソギンチャクの触手をモチーフにして制作したInteractive Robotic Sculptureである。触手にあたる256個のアクチュエータはバイオメタル(形状記憶合金)によって駆動し、かざした手の動きに合わせて、先端の光とともに柔らかく曲がる。それぞれのアクチュエータは3本のバイオメタルによって駆動し、印加する電流の組み合わせによって6方向に曲がることができる。アクチュエータ毎に1個のマイコンを実装して分散処理することで、多数のアクチュエータを滑らかに制御することを可能にした。画像解析にはKinectセンサーを利用し、制御プログラムでは流体シミュレーションをベースとして、波紋のように触手の動きが伝搬する表現を実現した。手の動きをトリガーとし、ソフトウェアシンセサイザーから発生する音によって音楽が奏でられる。その様子は、海に漂うイソギンチャクの触手のようでもあれば、風になびく葦をも想像させる。暗い空間に浮かび上がる光のまたたきと微かな動きは、どこかで見た風景、夢で見たような風景を思い起こさせる。