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作品タイトル(日本語)
QUARANTINE SURVEILLANCE
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作品タイトル(英語)
QUARANTINE SURVEILLANCE
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制作物のコンセプトを記載してください。
【なにをつくったのか】
監視社会に抵抗するためのファッションを描くデザインフィクション
【なぜつくったのか】
パンデミック状況下で個人の生活と移動の自由を守るために
【どのようにつくったのか】
DIYバイオで対監視フーディーを制作した
【誰のためにつくったのか】
管理技術から逃れていきいきと暮らしたい人たちのために
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2020年は、デジタルテクノロジーによって人々が相互に監視を強化し、人間が自ら人間をますます管理するようになった契機の一年だったように思う。COVID-19との「戦い」という名目で導入された、デジタルテクノロジーによる「新しい日常」は、人間の尊厳としての移動や集会の自由を制限してしまいかねない。
同調圧力めいたクアランティン至上主義の中で、ファッションデザイナーである私の一番の悩みは、材料が手に入らないこと。そこで、キッチンでまるで料理をするように、DIYでテキスタイルを作ることにした。用意するのは、動物の骨髄や藻、オレンジ、コーヒーなど。それらを溶かして、ペーストにし、乾燥させればバイオテキスタイルの出来上がりだ。電波遮断のための金属を組み合わせたジャケットを身にまとい都市へと出かける。
ここで描かれるファッションは架空である。でもこの物語は、私がこの半年間自分で経験した制作活動の記録でもある。本作からパンデミックを生き延びる「サヴァイヴ」への創造性を見出してもらえれば幸いだ。 -
制作物のコンセプトを記載してください。(英語)
[What I made]
Design fiction about fashion to resist the surveillance society
[Why I made it]
Protecting Individual Lives and Freedom of Movement in Pandemic Situations
[How it's made]
I created an anti-surveillance hoodie by DIY bio.
[Who it was made for]
For people who want to escape from management technology and live a vibrant life.
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The year 2020 seems to have been a year of opportunity as digital technologies intensified people's surveillance of each other and human beings increasingly managing human beings themselves, introduced under the guise of the "war" against COVID-19, the "new normal" of digital technology as a human dignity of movement and It could limit the freedom of assembly.
In the midst of the sympathetic pressure of quarantine supremacy, my biggest problem as a fashion designer is the lack of materials available. So I decided to make my textiles as if I were cooking in the kitchen, a DIY project. The ingredients include animal marrow, algae, oranges and coffee. These are melted together, made into a paste and dried to make a bio-textile. I went to the city wearing jackets made of a combination of metals to block radio waves.
The fashion depicted here is fictional. But this story is also a record of the work I've been doing for the past six months. I hope that this film will inspire you to find your own creativity in surviving the pandemic. -
作品の素材・仕様
【作品のサイズ】
・Anti-Surveillance Hoodie:H70 W70 D10 (cm)
・Design Fiction Movie:4:41
【作品の素材】
・ゼラチン由来のバイオマテリアル, 5m
・電波妨害素材, 1m -
作品の素材・仕様(英語)
【SIZE】
・Anti-Surveillance Hoodie:H70 W70 D10 (cm)
・Design Fiction Movie:4:41
【MATERIAL】
・Bio Textile made of Gelatin, 5m
・Jamming Textile, 1m -
作品のリファレンスURL
https://drive.google.com/file/d/1BDtHueWboEL-CWFh5y2QMZW4B2hrxfUK/view?usp=sharing
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作品の映像URL
https://youtu.be/MXUkILFidvc
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公式サイト、もしくはSNSのURL
Kotarosano.tumblr.com
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プロフィール情報
佐野虎太郎(さの・こたろう)
1998年生まれ
ファッションデザイナー
Synflux 主宰
慶應義塾大学SFC卒
デザインリサーチを軸に、未来のポストヒューマン的身体について研究している。『攻殻機動隊』や『ブレードランナー』などサイバーパンクSF作品にインスピレーションを受けつつ、我々人間の身体形状・衣服の可能態を思索する。 -
参加メンバー
Project Lead by Kotaro Sano
Film Directed by Tomoki Yoneyama
Screenplay by Kotaro Sano
Director of Photography by Tomoyuki Hayama
Music by Takuya Sasaki
Project Support by Kazuya Kawasaki
Film Support by Kohei Matsubara
Special Thanks toTaiga Matsuoka -
居住国
日本
- 185
QUARANTINE SURVEILLANCE
QUARANTINE SURVEILLANCEは、パンデミック下で加速する監視テクノロジーに抵抗するためのファッションを描いたデザインフィクションである。
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【主題1: 人間に牙を剝く都市環境と、強化される監視テクノロジーに抵抗する】
2020年は、デジタルテクノロジーによって人々が相互に監視を強化し、人間が自ら人間をますます管理するようになった契機の一年だったように思う。COVID-19との「戦い」という名目で導入された、デジタルテクノロジーによる「新しい日常」は、人間の尊厳としての移動や集会の自由を制限してしまいかねない。
実際、あらゆる近代都市には、監視カメラが設置され、私たちがどこで誰といつ会っているかをいつも見張っている。そして、中国や米国、日本などの主要各国においても、新型コロナウイルスの集団感染回避の目的で、個人のデバイスに位置情報を管理するシステムの導入が義務化され始めている。
本作で制作されたサバイバルギアーは、あらゆる電波を遮断する素材で作られているため、システムによる監視と管理を遮断可能になっている。このフーディを着用することはすなわち、監視テクノロジーからの抵抗を意味する。アンチ・ウイルス時代の、アンチ・サーヴィランスを社会に問いかけるのが本作の一番の目的だ。
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【主題2: 自主隔離環境〈クアランティン〉下でのバイオパンク・ファッション】
「家にいろ!」───同調圧力めいたクアランティン至上主義の中で、半分やけくそになって、家で目いっぱい創造的になる方法を考えた。ファッションデザイナーである私の一番の悩みは、材料が手に入らないこと。
そこで、キッチンでまるで料理をするように、DIYでテキスタイルを作ることにした。用意するのは、動物の骨髄や藻、オレンジピール、コーヒーなど。それらを溶かして、ペースト状にし、乾燥させればバイオテキスタイルの出来上がりだ。
もちろん、それだけでは電波を遮断して監視を遮断することはできない。シート状に広げたドロドロの熱いペーストの上に、アルミ箔を広げる。アルミ箔はゲルの中を沈み、ペーストはアルミを挟んだまま乾燥し、電波を遮断するバイオテキスタイルが完成するのだ。
限られた環境や材料と、他の生物の力を借りながら発明を生み出す、バイオハッキングを通して作り上げた生地に、電波遮断のための金属を組み合わせて仕立て上げたジャケットを身にまとい都市へと出かける。
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【主題3: ディストピアをサヴァイブするためのデザインフィクション】
本作はデザインとフィクションを融合させた「デザインフィクション」だ。つまり、ここで描かれるファッションは架空である。でもこの物語は、私がこの半年間自分で経験した制作活動の記録でもある。この作品の視聴者が、DIYでサバイバルフーディを作れるようにレシピもオープンソースで公開している。(URL:https://link.medium.com/9hSWYzcTkab)
ウィルスが蔓延し、監視や管理のテクノロジーが台頭し、システムは劣化し、SNSには刹那的な炎上が繰り返される。そんなディストピア化した現代都市を生きるために、フィクションはなんの役に立つだろうか?
Sci-Fiでもありプロトタイプでもある本作から、パンデミックを生き延びる「サヴァイヴ」への創造性を見出してもらえれば幸いだ。ここで私が提案するのは、バイオハッキングによるアンチ・サーヴィランスのためのファッションである。
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【主題1: 人間に牙を剝く都市環境と、強化される監視テクノロジーに抵抗する】
2020年は、デジタルテクノロジーによって人々が相互に監視を強化し、人間が自ら人間をますます管理するようになった契機の一年だったように思う。COVID-19との「戦い」という名目で導入された、デジタルテクノロジーによる「新しい日常」は、人間の尊厳としての移動や集会の自由を制限してしまいかねない。
実際、あらゆる近代都市には、監視カメラが設置され、私たちがどこで誰といつ会っているかをいつも見張っている。そして、中国や米国、日本などの主要各国においても、新型コロナウイルスの集団感染回避の目的で、個人のデバイスに位置情報を管理するシステムの導入が義務化され始めている。
本作で制作されたサバイバルギアーは、あらゆる電波を遮断する素材で作られているため、システムによる監視と管理を遮断可能になっている。このフーディを着用することはすなわち、監視テクノロジーからの抵抗を意味する。アンチ・ウイルス時代の、アンチ・サーヴィランスを社会に問いかけるのが本作の一番の目的だ。
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【主題2: 自主隔離環境〈クアランティン〉下でのバイオパンク・ファッション】
「家にいろ!」───同調圧力めいたクアランティン至上主義の中で、半分やけくそになって、家で目いっぱい創造的になる方法を考えた。ファッションデザイナーである私の一番の悩みは、材料が手に入らないこと。
そこで、キッチンでまるで料理をするように、DIYでテキスタイルを作ることにした。用意するのは、動物の骨髄や藻、オレンジピール、コーヒーなど。それらを溶かして、ペースト状にし、乾燥させればバイオテキスタイルの出来上がりだ。
もちろん、それだけでは電波を遮断して監視を遮断することはできない。シート状に広げたドロドロの熱いペーストの上に、アルミ箔を広げる。アルミ箔はゲルの中を沈み、ペーストはアルミを挟んだまま乾燥し、電波を遮断するバイオテキスタイルが完成するのだ。
限られた環境や材料と、他の生物の力を借りながら発明を生み出す、バイオハッキングを通して作り上げた生地に、電波遮断のための金属を組み合わせて仕立て上げたジャケットを身にまとい都市へと出かける。
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【主題3: ディストピアをサヴァイブするためのデザインフィクション】
本作はデザインとフィクションを融合させた「デザインフィクション」だ。つまり、ここで描かれるファッションは架空である。でもこの物語は、私がこの半年間自分で経験した制作活動の記録でもある。この作品の視聴者が、DIYでサバイバルフーディを作れるようにレシピもオープンソースで公開している。(URL:https://link.medium.com/9hSWYzcTkab)
ウィルスが蔓延し、監視や管理のテクノロジーが台頭し、システムは劣化し、SNSには刹那的な炎上が繰り返される。そんなディストピア化した現代都市を生きるために、フィクションはなんの役に立つだろうか?
Sci-Fiでもありプロトタイプでもある本作から、パンデミックを生き延びる「サヴァイヴ」への創造性を見出してもらえれば幸いだ。ここで私が提案するのは、バイオハッキングによるアンチ・サーヴィランスのためのファッションである。