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QUARANTINE SURVEILLANCE

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QUARANTINE SURVEILLANCEは、パンデミック下で加速する監視テクノロジーに抵抗するためのファッションを描いたデザインフィクションである。

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【主題1: 人間に牙を剝く都市環境と、強化される監視テクノロジーに抵抗する】

2020年は、デジタルテクノロジーによって人々が相互に監視を強化し、人間が自ら人間をますます管理するようになった契機の一年だったように思う。COVID-19との「戦い」という名目で導入された、デジタルテクノロジーによる「新しい日常」は、人間の尊厳としての移動や集会の自由を制限してしまいかねない。

実際、あらゆる近代都市には、監視カメラが設置され、私たちがどこで誰といつ会っているかをいつも見張っている。そして、中国や米国、日本などの主要各国においても、新型コロナウイルスの集団感染回避の目的で、個人のデバイスに位置情報を管理するシステムの導入が義務化され始めている。

本作で制作されたサバイバルギアーは、あらゆる電波を遮断する素材で作られているため、システムによる監視と管理を遮断可能になっている。このフーディを着用することはすなわち、監視テクノロジーからの抵抗を意味する。アンチ・ウイルス時代の、アンチ・サーヴィランスを社会に問いかけるのが本作の一番の目的だ。

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【主題2: 自主隔離環境〈クアランティン〉下でのバイオパンク・ファッション】

「家にいろ!」───同調圧力めいたクアランティン至上主義の中で、半分やけくそになって、家で目いっぱい創造的になる方法を考えた。ファッションデザイナーである私の一番の悩みは、材料が手に入らないこと。

そこで、キッチンでまるで料理をするように、DIYでテキスタイルを作ることにした。用意するのは、動物の骨髄や藻、オレンジピール、コーヒーなど。それらを溶かして、ペースト状にし、乾燥させればバイオテキスタイルの出来上がりだ。

もちろん、それだけでは電波を遮断して監視を遮断することはできない。シート状に広げたドロドロの熱いペーストの上に、アルミ箔を広げる。アルミ箔はゲルの中を沈み、ペーストはアルミを挟んだまま乾燥し、電波を遮断するバイオテキスタイルが完成するのだ。

限られた環境や材料と、他の生物の力を借りながら発明を生み出す、バイオハッキングを通して作り上げた生地に、電波遮断のための金属を組み合わせて仕立て上げたジャケットを身にまとい都市へと出かける。


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【主題3: ディストピアをサヴァイブするためのデザインフィクション】

本作はデザインとフィクションを融合させた「デザインフィクション」だ。つまり、ここで描かれるファッションは架空である。でもこの物語は、私がこの半年間自分で経験した制作活動の記録でもある。この作品の視聴者が、DIYでサバイバルフーディを作れるようにレシピもオープンソースで公開している。(URL:https://link.medium.com/9hSWYzcTkab)

ウィルスが蔓延し、監視や管理のテクノロジーが台頭し、システムは劣化し、SNSには刹那的な炎上が繰り返される。そんなディストピア化した現代都市を生きるために、フィクションはなんの役に立つだろうか? 

Sci-Fiでもありプロトタイプでもある本作から、パンデミックを生き延びる「サヴァイヴ」への創造性を見出してもらえれば幸いだ。ここで私が提案するのは、バイオハッキングによるアンチ・サーヴィランスのためのファッションである。

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