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作品タイトル(日本語)
廻転する不在
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作品タイトル(英語)
Rotating Absence
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制作物のコンセプトを記載してください。
最近自転車にどハマりしている。
取手に住み、そこが自転車の街だと知った時、衝撃を受けた。誰も自転車になんか乗っていない。過去を遡ると競輪場があったことから、自転車の街として栄えようとしたらしい。いまはそんな取手で、自転車が大量に放置され、破棄されている。
私は、現在一日のほとんどの時間を金工工房で過ごしている。金属はとても頑固な素材だ。切る、曲げる、継ぐ、全てに膨大な時間がかかる。ほっておけばすぐに真っ赤に錆びる。そのかわり、とても強い。とてつもない荷重に耐え、回転に耐えてくれる。
自転車と金属を融合させて、私の制作活動によって、自転車は生まれ変わる。
かつて私にとっての自転車は、自分の力を最大限に引き伸ばしてくれる装置だった。どこに行くにも乗って行ったし、どこまででもいける気がした。
それぞれの自転車にはストーリーがある。どこで買ったのか、どんな使い方をしたのか、どこに行ったのか。乗らなくなってしまった自転車をもらうたびにそういう話をたくさん聞いてきた。私がその元の持ち主の記憶の断片を集め介入することで、時間も歴史も静止してしまった主人のない自転車に、新しい命を吹き込むことは出来ないだろうか。 -
制作物のコンセプトを記載してください。(英語)
I have collected a large number of unused bicycles in Toride City in Japan.
I was shocked when I lived in Toride and learned that it was a city of bicycles. Nowadays no one is riding a bicycle. Going back in the past, there had a bicycle race track, so it seems that it tried to prosper as a city of bicycles.But today, a large number of bicycles are left unattended and discarded.
Every bike has a story. Where did you buy it? How was it used? Where did you go? I hear these stories every time I get a bike that I no longer ride. If you collect fragments of the original owner's memory, you can lose the owner and breathe new life into a bike that is out of time and history. -
作品の素材・仕様
仕様:立体彫刻、パフォーマンス
素材:自転車、鉄
サイズ:幅5400mm 奥行6500mm 高さ5150mm 重量 800kg -
作品の素材・仕様(英語)
Media:Sculpture,performance
Materials:Bicycle,Iron
Size:W 5400mm D6500mm H5150mm
Weight:800kg -
作品のリファレンスURL
https://www.echigo-tsumari.jp/art/artwork/rotating-absence/koichiro-azuma.com/
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作品の映像URL
https://youtu.be/1FNyVt3kLX0
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公式サイト、もしくはSNSのURL
koichiro-azuma.com/
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特別賞のテーマにどう作品が関連しているか説明文を記載
私は茨城県取手市に住み、狭いエリアのローカルな視点から自転車を通じて社会を垣間見ながら作品を制作してきました。地域住民を一軒一軒訪ね自転車を収集し作品の素材としています。地域の人々と関わり合いながらの作品制作は非常に興味深く、思いがけない発見が多いです。
アート作品は工業製品のように直接的に世の中を良くすることはできないかもしれませんが、このような活動を続けることで、地域に住む方々の意識や考えに変化を与えることができるかもしれません。
放置自転車に限らず、地域の発展の陰には大量の廃棄物があります。
私たちの世界はすべてつながっていると考えています。この作品では、無機質な大型の装置を人間が回すことで、車輪の連動する動きに、自然と人間や技術との調和も表現しています。
地域のローカルな問題が、作品となることで社会問題として世に大きく問題提起し、様々な視点を鑑賞者に訴えることにつながるのです。
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廻転する不在
《廻転する不在》は、14台の自転車を組み合わせて制作した大型作品です。6台の自転車で作った大きな車輪を人力で漕いで回すことができる装置と、その動きに連動してライトを点滅させ、ペダルが動く8台の自転車の複合装置です。
この作品で用いられているのはすべて、取手市で廃棄された放置自転車です。放置自転車には、形状的な記憶だけが残されています。駐輪場・学校・自転車屋のステッカー、錆びたチェイン、傷や凹み、鍵に取り付けられた鈴、ロープ。私は、形や物質としての記憶は残っていながら、持ち主の姿がないのは空き家的であると感じます。同時に、これらが「放置」という決断によって、その瞬間から時間や記憶が静止してしまっている存在であることから、それはとても不安定であり、「宙ぶらりん」な存在であるというように感じます。
回転の動きを時計の動きになぞらえ、自転車を実際に宙に浮かせ、私自身の力でもう一度動かすことで、「放置」されることによって止まってしまった時間を、もう一度動かすことはできないだろうか、ということを想像しながら制作しました。
この作品で用いられているのはすべて、取手市で廃棄された放置自転車です。放置自転車には、形状的な記憶だけが残されています。駐輪場・学校・自転車屋のステッカー、錆びたチェイン、傷や凹み、鍵に取り付けられた鈴、ロープ。私は、形や物質としての記憶は残っていながら、持ち主の姿がないのは空き家的であると感じます。同時に、これらが「放置」という決断によって、その瞬間から時間や記憶が静止してしまっている存在であることから、それはとても不安定であり、「宙ぶらりん」な存在であるというように感じます。
回転の動きを時計の動きになぞらえ、自転車を実際に宙に浮かせ、私自身の力でもう一度動かすことで、「放置」されることによって止まってしまった時間を、もう一度動かすことはできないだろうか、ということを想像しながら制作しました。