ZWEIG

ツヴァイク

ZWEIG

なぜ：
森林や公園では環境保全のため、林地残材が大量に発生しています。しかし、その大部分が放置・破棄され、モノづくりの材料として利用されることはほとんどありません。私たちはそうした不定形の枝材も利活用可能な木材市場として再定義したいと考えました。「いま手元にある枝＝木材のアベイラビリティ」を出発点とすることで、設計に基づいて材料を調達する従来のモノづくりとは真逆のアプローチを提案します。

何を：
ZWEIG（ツヴァイク）は自然木を使った立体造形を支援する、モノづくりの枠組み＝設計ツール＝部品です。次の手順であなたによる、あなただけの空間や製品が作れます。
① 枝拾い：山や海や道端で、あなたの気に入った枝を拾いましょう。枝は曲がっていても、枝分かれしていても構いません。ZWEIGは材料の不定性に影響を受けないモノづくりが可能です。
② 設計：拾った枝を3Dスキャンして、モデル空間でそれらの組み合わせを試しましょう。設計ツールが各枝のデータから実現できる形状を探索し、あなたの設計を支援します。用途や趣向に応じて、マウスを動かしながら形状の調整をしましょう。
③ 組み立て：設計に従って、枝同士をジョイントパーツでつなぎ合わせましょう。パーツは十分な剛性を持ち、枝一本一本の形に厳密にフィットするように3Dプリンタで出力されます。

誰のために：
ZWEIGは隠れたクリエーター−特別な技術を持たないけれど、自然と創作を愛する人−のために開発されました。 周囲の当たり前の環境が、あなたの創造性を発揮できる場所として再認識されることで、幼少期に誰もが経験したであろうクリエーターとしてのあなたの一面を発見できるでしょう。
例えばZWEIGは次のような顧客が考えられます；オフィスの休憩所に遊び心を加える、子供たちと一緒に遊び場づくりを企画する、その人にだけフィットするアクセサリーを作る、キャンプ場に落ちている枝を使ってテントを作る。

3Dスキャン
スキャンした枝のデータは最大0.1mmの精度誤差で、修正なしにそのまま使用できます。
形状決定
物理演算エンジンによって、任意に選択した枝から実行可能な形状を導出するアルゴリズムを作成しました。マウスを動かしながら形状の調整が可能で、枝の形状に合わせて適したジョイントの形状がモデリングされます。
プロトタイプ
ZWEIGは使用する枝のスケールに応じて、建築からアクセサリーまで幅広いスケールに対応します。試作したプロトタイプは高さ約2m、面積は8㎡です。 枝分かれした枝を使うと、木の特性生かしながらジョイントパーツの数を減らせます。
ジョイント
Formlabsのスタンダードクリアレジンを用いて3Dプリントしました。

https://www.youtube.com/watch?v=cVpp_bhRf84

https://www.instagram.com/meken.jp/

枝打ち等の過程で発生し、森林に放置される枝を林地残材と言います。林地残材は国内で年間800万トン発生していますが、材質・形状が不均一なため、加工が困難であり、利用率は9％にとどまります。しかし、こうした枝の有機的な形状は木の本来の特性です。私たちは不定形な自然木をものづくりの材料として社会実装し、低未利用の資源を有効活用したいと考えました。それがパナソニック賞応募の理由です。
森林管理者や顧客調査のためのヒアリングを重ねる中で、私たちは大企業が抱える社有林をターゲットにしました。近年、CSR活動の一環で企業による森林の保有が増えていますが、それらの有効な活用先はあまり見出されていません。そこで、社有林から発生する林地残材を利用し、オフィスの環境改善に生かすスキームを考えました。
まず、社有林で林地残材を採取します。社員のチームビルディングを兼ね、研修等で枝拾いを行うことが望ましいあり方と考えています。次に採取した枝を3Dスキャンし、3Dモデル空間で枝同士のつなぎ合わせ方をスタディします。ここで使う設計ツールは、ユーザーが自ら検討した作りたい形状を元に、自然木にフィットするジョイントを自動的にモデリングします。３Dモデルを元に3Dプリントされたジョイントは、設計した形状を実際の空間に正確に再現できるので、設計者の望む用途―オフィス什器や休憩スペースのシェルター、置物等―に合わせて自由な造形が可能です。