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Black Hole Recorder

1_IDEA
ブラックホールに大容量の情報を保存できる「Black Hole Recorder」という遠い未来のデバイスを空想・デザインした。ブラックホールの内部構造を記述した最新の科学論文をもとに、遠い未来の「ブラックホール工学」を空想し、莫大な情報量の音声データをブラックホールに保存できる蓄音機型デバイスとしてデザインした。一見「役に立たない」基礎研究が、遠い未来にイノベーションを起こしうる可能性を可視化することを目的としている。

2_PRODUCT
このデバイスは人工ブラックホールを生成・制御できる工学的機構を搭載している設定だ。具体的には「月」とほぼ同じ質量の物質を直径1mmまで圧縮して生成されたマイクロブラックホールを搭載し、計算上10の52乗ギガバイト(10那由多バイト)のデータを保存できる。蓄音機のホーン部のデザインがブラックホールを表す極座標系や時空の曲がりと似ている点、目に見えない「音」をはじめて記録・再生できるようにした発明が蓄音機であった点を踏まえて、蓄音機をデザインモチーフに採用した。

3_CONTEXT
現在の知識レベルでは一見「役に立たない」ようにみえる基礎研究のいくつかは、100年単位でみると人類にイノベーションをもたらす可能性がある。その未知の可能性を体感してもらうため、このデバイスを暗闇のインスタレーションとして展示した。体験者は暗闇の中で「Black Hole Recorder」と向き合いながら、最新の科学理論の一端に触れることができる。また展示会場の音声はこのデバイスですベて録音されており、来場者にもその事実が伝えられる。

4_FUTURE
展示会場で録音された来場者の会話などの音声データを、地球から一番近い約1,000光年先のブラックホールに電波で送信することを目指している。その電波は約1,000年後にブラックホールに到達して、ブラックホール内部にデータとして実際に保存される。もし遠い未来の人類が探査のためにブラックホール内部を解析したら、西暦2021年の音声を聞くことができるかもしれない。

BlackHoleRecorder_Summary

BlackHoleRecorder_Function

BlackHoleRecorder_Graphics

BlackHoleRecorder_Banner

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