CREATIVES

  • 162

不在のための電車

Others
鑑賞者はおもちゃの電車を走らせ、目を閉じてその帰りを待つ。電車は他の作品の間を抜け、展示室を一周して手にぶつかる。モーターの音、レールから伝わる振動、自分の呼吸などの連続する対象への集中は瞑想のような効果を生むかもしれない。
動けない自分の代わりに部屋を一周する電車は自分の分身のようにも思われ、空間をこれまでとは違った方法で感じとることになる。一方で、電車を待つ行為はかえって自分の身体がここにあることを意識させる。そして遠くで鳴る鈴の音は、鑑賞者がその鈴の場所にいないことを暗示する。あるいは、部屋全体を自分の身体のように知覚することになるかもしれない。
自分の存在についての問いが電車の身体的な接触で終わるとき、意識が体に戻る“リフレッシュ”が生じるだろう。

Back