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応募プロジェクト・アイデアのタイトル(日英併記)
海藻で 海も人も すこやかに Through seaweed, people and the ocean are made sound
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応募プロジェクト・アイデアの紹介動画URL(5分以内)
https://youtu.be/5uwcKPmNAwg?feature=shared 英語版→https://youtu.be/CXsvG1B2Liw?feature=shared
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応募プロジェクト・アイデアの詳細説明(日英併記)
私たち合同会社シーベジタブルは、磯焼けにより減少しつつある海藻を採取して研究し、環境負荷の少ない陸上栽培と海面栽培によって蘇らせ、海藻の新しい食べ方の提案を行っています。
日本の海域には約1500種類を超える海藻が生息し、そのすべてが毒を持たず、食用になり得るとされています。しかし、世界で最も海藻食文化が進んでいると言われている日本でさえも、現在食卓に並ぶのは数十種類だけ。1400種類以上もの海藻が未知なる食材として眠ったまま存在しているのです。
地上の植物は探求し尽くされ、様々な栽培技術や調理方法が確立していますが、海藻の世界はその途上、と言うよりはじまってすらいないものばかり。過去から受け継がれる海藻食文化を守っていくと同時に、新たな海藻食文化をつくっていきたい。その先には海にも人にも良い未来が広がっていると信じて、私達は日々活動しています。
日本の海域には約1500種類を超える海藻が生息するが、食卓に並ぶのは数十種類だけ。1400種類以上もの海藻が未知なる食材として眠っているのです。
日本中の海に潜り海藻採取・分類を行っている専門家、藻類の種苗生産に長年取り組んできた研究者、水質や栄養分析の専門家など、多様なスペシャリストが集い、分野を横断して海藻の基礎研究から栽培技術の確立まで取り組んでいます。
海藻藻場は“海のゆりかご“と言われるように、魚や貝などの生き物たちの命を育む機能がありますが、海水温が年々上昇していることで、藻食性の魚やウニの活性が上がっている影響で藻場が激減しています。
こうした状況の中で私達ができることはなにか?と考えた結果、「海面で海藻を栽培することではないか」という仮説に辿り着きました。
海水温が下がって食害を受けない時期や海域を特定し、そこに適した海藻を栽培すれば、一時期だけでも海に海藻がある状態をつくることができます。どうしても食害を受けてしまう状況では、カゴなどを使って栽培することで、今まで活用されていなかった海域に海藻がある状態をつくり、海の生態系を豊かに育むことができると考えています。 -
審査のポイントである3つのP(for People, for Planet, for Profit)について、あなたのプロジェクトや活動ではどのような取り組みをしていますか?
シーベジタブルでは海藻の陸上養殖にも取り組んできたが、天然すじ青のりの生産量が激減し、食文化が失われるということで様々なメーカー等から依頼を受けて生産をはじめ、全国に生産拠点を立ち上げた。海沿いのまとまった平地は過疎エリアにしかないため、生産拠点はいずれも少子高齢化が進む場所ばかり。障がい者や高齢者はどこにも存在するが、みんな良い仕事がないと言う。
陸上養殖においては水槽を毎週きれいに洗浄する必要があるが、知的障害の方の中には水仕事を得意とする人たちがいて、その役割に関しては最適なパートナーだということがわかった。結果、現在は総勢100名以上の障がい者と呼ばれる方々が元気に活躍してくださっている。他にも高齢の方や、育児中のママなども適材適所で働いてくださっているのも特徴だと思う。
海面養殖でも加工や袋詰などの作業は障がい者の方々がほぼ担ってくれている。生産に関しては地元漁業者らと連携しており、栽培でも加工でも新たな仕事が生まれている。そうして海藻を栽培する面積が広がることで、事業として持続的な展開となり、海の生態系を豊かにしていくこともできる。人にも地球にもよい循環を描けると実感している。 -
活動のメインの拠点(国と地域)を教えてください
メイン拠点は難しいのですが・・本社は「高知県安芸市」で、テストキッチンは「東京都」です。両方あるのが大事だと思っています。
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活動時期を教えてください
2016年〜現在
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キーワード
#Sea #Food #Circulation
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応募プロジェクト・アイデアのWebサイトがありましたら、URLをご記入ください。
https://seaveges-store.com/
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応募プロジェクト・アイデアのSNSアカウントがありましたら、URLをご記入ください。
https://www.instagram.com/seaveges/
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【特別賞】「100年後の地域社会への価値還元」として、100年先、1000年先にその土地で暮らす人々の資産として、文化・産業を継承する仕組みになっているか?(日英併記)
日本の海藻職の歴史は古く、縄文時代から食されており、大和朝廷時代には神事の供物としても重宝されたり、『大宝律令』では租税対象でもあったことから日常でも食されてきたと考えられ、その歴史は1000年単位で続く食文化だと言える。
しかしこれまで海藻は天然採取が一般的で、栽培方法が確立していないものばかりだったこともあり、昨今の磯焼けによってあらゆる海藻の資源量が激減し、地域に根ざしてきた海藻の食文化がどんどん消滅しているのが現状である。
種苗生産ができないと漁業者が栽培することもできないため、弊社ではまずそこに力を入れている。各地で食されてきたが激減してしまった海藻の種苗について、すでに30種類以上の種苗生産に成功している。資源量が激減して食文化が消えそうになってしまっていた海藻のうち「すじ青のり」「はばのり」「みりん」「すーな(ユミガタオゴノリ)」などの海藻については栽培技術まで確立し、安定供給することにも成功している。
こうした種苗を利用して各地の漁業者と連携して生産することで、海藻の食文化を持続させるだけでなく、料理人との連携によってさらに発展させていくことで、文化や産業が発展しながら継承されていくと考えている。 -
【特別賞】「生物多様性へのポジティブな影響」として、「人間中心」にとどまらず、生態系全体に対して好循環を生み出そうとしているか?
“天然の海藻がたくさんある海には魚を含む生物が多く存在する“というのは一般常識になっておりエビデンスも存在するが、“海面養殖の海藻“に関してはそれが生物を増やすということに結びついていないし、実際エビデンスも存在しなかった。
そこで海面養殖によって海に海藻がある状態をつくることで、生物資源量が増えるというエビデンスを取るための調査を、大学や国の研究所と一緒にスタートした。海藻がある海には小型生物(ワレカラ・ヨコエビなど)が増え、小型魚が増えて、大型魚も増える。一方で海藻がないとそれらが存在しなくなるので、魚を含む生物資源量が減少する。その生物量のサンプリング調査をすることで明らかにしていく。
食害によって海藻が消失している現在、これらの原因を取り除かない限りは、天然藻場を増やすというのは難しく、実際これまで成功事例と呼べるものはほぼ皆無であった。そのため海に海藻がある状態をつくるためには、海面養殖=海面で海藻を栽培するという方法しかないと考えている。美味しくて体によい海藻のマーケットを広げることで、海面養殖の面積を増やすことができ、魚などの海の生物が増えるという循環を回していく。 -
【特別賞】 「新しいパートナーシップのデザイン」として、異業種間の連携や、生活者との共創、サプライチェーン内における役割の転換など、他者との新しい協働のかたちを実現しているか?
海を豊かにするというビジョンに対して、我々は種苗生産や新しい加工品の開発などの技術開発においては優れているという自負があるが、市場を創造していくという観点では非力だと考えている。
そのためこのビジョンを共有して共に歩んでくれる仲間を増やすための取り組みはいろいろと行っている。まずは弊社テストキッチンに企業関係者や料理人などを招いての、「海藻試食会」や「海藻フルコースレストラン」を不定期で開催している。海藻に関する基礎知識のレクチャーや、我々の取り組みの紹介をしつつ、ただの話だけではなく実際に美味しい海藻を食べてもらうということで、この溢れんばかりの海藻の魅力や可能性を体感してもらうことができる。年間300人以上の方々にお越しいただいてきており、それぞれの人達が自分事として動いてくれている実感がある。
大手小売店の方々は川下から海の現状を変えていくという熱量を持って協業してくださっていたり、トップシェフと呼ばれる料理人の方々もただ食材を使うだけでなく日々お店でメッセージを届けてくださっている。
また、リアルでの販売機会も増やすことで、消費者によるSNS等での情報量も増えてきた。
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