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どの絶滅危惧空間を扱うのか(300文字以内)
ガソリンスタンドの最大の特徴は、同じ建築が全国に反復されていることではなく、それらが道路網と情報システムによって結ばれ、一つの物流ネットワークとして計画されていることである。各拠点は独立した建物ではなく、石油を全国へ安定的に供給するための中継点として機能し、貯蔵・供給・搬送を支えるインフラの一部を担ってきた。その価値は建築単体ではなく、全国規模で連携するネットワークにある。したがって、ガソリンスタンドの転用においても、一施設ごとの再利用ではなく、この移動・分配のネットワーク全体を新たな社会的役割へ更新する視点が重要である。
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なぜその絶滅危惧空間を扱うのか(600文字以内)
気候変動や都市化、生息地の分断によって、多くの植物や生態系は現在の場所では生き続けることが難しくなっている。そのため世界では、種をより適した環境へ移動させる「Assisted Migration(生態系移動)」や、植物・菌類・表土を含めた生態系全体の移送が保全手法として議論され始めている。しかし、その実践を支える社会インフラはほとんど存在しない。
一方、ガソリンスタンドは、人や物資を全国へ供給するために整備されたインフラであり、「貯蔵・供給・計測・物流」という高度なシステムを持つ。自動車社会の変化によりその役割を終えつつある現在、このネットワークを生態系へ転用することは、新たな社会基盤を構築する機会となる。
本提案は、燃料を運ぶためのインフラを、生態系を未来へ運ぶインフラへと更新することを目的とする。 -
どのようにその絶滅危惧空間を変異させるのか(1200文字以内)
本提案では、ガソリンスタンドを「Migration Station」として再構築する。目的は、生態系を単に保存することではなく、未来の環境へ適応・移動させるための中継拠点をつくることである。
既存設備はその機能を反転させる。燃料タンク跡は種子・森林表土・菌類を保存する地下ストレージとなり、給油機は菌液や灌水を供給する装置へ、コンビニは植物培養・検疫・モニタリングを行うラボへ転換される。キャノピー下には温度・湿度・日射条件を制御できる実験区画を設け、異なる将来気候を再現しながら植物を順化させる。舗装面は植栽ベッドへ置き換えられ、地域ごとの植物群落や森林表土を管理するフィールドとなる。
扱う対象は動物ではなく、植物・菌類・表土を中心とした生態系の基盤である。例えばブナ林では苗木だけでなく菌根菌を含む土壌を管理し、キンランやレブンアツモリソウでは共生菌を培養しながら順化を行う。チョウ類については個体を移送するのではなく、食草を先に配置することで自然な定着を促す。
各ステーションは同じ機能を持つのではなく、種子保存、菌類培養、順化実験、広域物流など役割を分担し、道路ネットワークを介して全国規模の生態系移動システムを形成する。従来のガソリンスタンドが燃料を供給するためのネットワークだったとすれば、Migration Stationは生態系を未来へ供給するネットワークとなる。
本提案は、衰退するインフラを保存するのではなく、その空間構造とネットワークを転用し、気候変動時代の新たな公共インフラへ変異させる試みである。
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Migration Stations
ガソリンスタンドの最大の特徴は、同じ建築が全国に反復されていることではなく、それらが道路網と情報システムによって結ばれ、一つの物流ネットワークとして計画されていることである。したがって、ガソリンスタンドの転用においても、一施設ごとの再利用ではなく、この分配・物流ネットワーク全体を新たな社会的役割へ更新する視点が重要である。
一方、気候変動によって生育適地は北方や高標高へ移動し、ブナ林をはじめ多くの生態系は自然の移動速度だけでは環境変化に追いつけなくなると考えられている。これからの社会には、生態系を計画的に移送・順化・定着させるための、新たな物流ネットワークが求められる。本提案では、生態系は都市を迂回するのではなく、都市を通過しながら移動する。その過程で各拠点は、種子・表土・菌類を保管・培養し、気候条件を再現した実験や順化を行う中継地となる。全国に分布するガソリンスタンドは、既存の道路ネットワークと立地、キャノピーや地下空間などの空間資源を活かし、生態系の移動を支える「Migration Station」へと変異する。
一方、気候変動によって生育適地は北方や高標高へ移動し、ブナ林をはじめ多くの生態系は自然の移動速度だけでは環境変化に追いつけなくなると考えられている。これからの社会には、生態系を計画的に移送・順化・定着させるための、新たな物流ネットワークが求められる。本提案では、生態系は都市を迂回するのではなく、都市を通過しながら移動する。その過程で各拠点は、種子・表土・菌類を保管・培養し、気候条件を再現した実験や順化を行う中継地となる。全国に分布するガソリンスタンドは、既存の道路ネットワークと立地、キャノピーや地下空間などの空間資源を活かし、生態系の移動を支える「Migration Station」へと変異する。
