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Gym for Goats

都市で暮らすヤギの運動不足を解消する「Gym for Urban Goats」として、余剰化する立体駐車場を人工的な崖へ変異させる。ヤギに必要なのは単なる飼育面積ではなく、登る、跳ぶ、見渡す、隠れる、休む、採食する、群れの中で距離を調整する、複数の経路を選ぶといった、本来の行動を可能にする地形である。本提案は、都市ヤギのウェルネスという小さく具体的な要求を入口に、平面的な緑化では捉えきれなかった、斜面、岩棚、亀裂、高低差、乾湿差、日向と日陰からなる都市生態系の「崖性」を提示する。

立体駐車場は、自動車社会の需要に応じて都市に大量生産された。しかし新設件数はすでに大きく減少し、多くの施設が更新期を迎えつつある。人口減少と財政的制約のなかで、老朽化した構造物のすべてを建て替え、新たな人間用途で埋め直すことは難しい。今後の都市には、役割を失いながらも解体されず、内部に残り続ける構築物が増えていく。

従来、使われなくなった建築の段差、傾斜、亀裂、暗がり、瓦礫、雨水の滞留は、人間にとって危険や欠陥として除去されてきた。しかしヤギや他の生物から見れば、それらは登る、跳ぶ、隠れる、休む、採食する、営巣するといった行動を可能にする環境の多様性である。

本提案は、立体駐車場を完全に修復することも、無管理の廃墟として放置することもしない。倒壊や落下などの重大な危険を取り除き、人間の立入範囲を限定しながら、傾斜、段差、粗い表面、亀裂、陰影、湿潤といった不均質さを意図的に残す。人間には「少し危険」で使いにくい構造を、ヤギや生物にとって豊かな人工地形へ変える、管理された放棄である。

都市のスポンジ化によって生まれる空隙を、再び人間用途だけで埋め戻す必要はない。その一部を、多種の身体と生態的プロセスが占有する場所へ譲り渡す。Gym for Urban Goats は、余剰インフラを都市の環境多様性という財産へ読み替える、小さく具体的な一例である。

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