こんにちは。事務局の伊藤です。2019年に4月23日にコンペティションを模して学生によるワークショップを行いました。プロダクトデザインの経験がない学生でも、2~3時間で応募アイディアをつくることができました。
今回はそのプロセスと詳細なやり方をご紹介します。コンテストに関心はあるけど、どうやって思いついたらいいかわからない、という方はぜひこの記事を参考にご自身のアイディアをつくってみてください。
また、今回審査員を務めていただく藤井さまにもお越し頂き、実際に考えたアイディアについてもフィードバックをいただきました。その内容も公開しますので、審査員の方がどんなことを考えているのか知るチャンスでもあります。
さて前段が長くなってしまいましたが、ここからは実際のワークショップのレポートです。プロダクトデザインの経験がない学生がどのようにアイディアを考えていったのか。そのプロセスを紹介していきます。
ワークショップ(0から応募まで)のプロセス
まず、全体のプログラムについて紹介します。アンバサダーの中にはARTSTEELについてある程度知っているメンバーも、全く知らないメンバーも混ぜています。ですが、「全くARTSTEELについて知らない」人を対象にして設計しました。
1) ウォームアップ|頭をときほぐし、アイディアを出す準備をする_10min2) インプット①|アートスチールについて知り、特徴を理解する_15min3) インプット②|アートスチールの特徴から、価値・可能性を考える_15min4) アイディエーション①|インスピレーションを得ながら、大量にアイディアを出す_20min5) アイディエーション②|ワークシートを使ってアイディアを整理する_20min6) テスト&フィードバック|自分のアイディアを他人に説明して、フィードバックを得る_10min7) ブラッシュアップ|得られたフィードバックをもとにアイディアを改善する_20min
1) ウォームアップ|頭をときほぐし、アイディアを出す準備をする_10min
【目的/実施内容】
アイディアを出すのが得意な人は、想像力/連想力が高いといわれています。1つのワードや絵からたくさんのものを思いつけるそうです。例えば先月放映されていたIPPONグランプリなども芸人の方々の高い連想力を見ることができます。
参加者の学生にもそうしたアイディアマンと同じ状態に頭をもっていってもらうために、伝言ゲームならぬ伝絵ゲームというウォームアップを行いました。内容は簡単で要は伝言ゲームと同じで、お題を言葉じゃなくて絵で伝えていく、というワークです。
【出題したお題 (例) 】
・お花見
・喫煙所
・満員電車
・ノマドワーカー
【必要なもの】
・Post-it (色は何でも)
・サインペン
【1人でやるとしたら】
一人で連想ゲームは難しいので、お題を決めて、1分間それに関して思いつくものやことをできる限り多く書き出す。それを数セット行う。
2) インプット①|アートスチールについて知り、特徴を理解する_15min【目的/実施内容】
良いアイディアを思いつくのに必要なのは、良いインプット。ということで、審査員でもあるFRONTの新規事業担当である藤井様からアートスチールの特徴、魅力についてご教授頂きました。
また、漫然と話を聞くのではなく、話を聞きながら特徴をポストイットにメモしました。このようにインプットの中でわかったアイディアを生み出すヒントとなる要素を単語に記録し、アイディアを生み出す準備をしました。
【Post-itに参加者がメモしていたARTSTEELの特徴 (抜粋) 】
・自然との相性が良く、ナチュラルな雰囲気を出せる
・錆させ方や研磨によって、様々な色味や風合いが出る
・経年優化によって、時間が経つほど味わい深くなる
・強度が高いため、安心して使用できる
【必要なもの】
・Post-it (黄色)
・サインペン
【一人でやるとしたら】
藤井さまが実際に説明に使用していた動画がありますので、こちらを見つつ、Post-itにメモしていきましょう。
また、FRONTさんのサイトや溜池山王にあるショールームも覗いてみてください。
http://nagomi-artsteel.com/art...
http://nagomi-artsteel.com/fro...
3)インプット②|アートスチールの特徴から、価値・可能性を考える_15min
【目的/実施内容】
インプットを終えたら、次はそのインプットをアイディアにつなげるための準備をします。今はARTSTEELの機能や特徴が手元にたくさんある状態です。次はそれをアイディアにつながる「特徴」に変換していきましょう。
メモした黄色いPost-it (ARTSTEELの特徴) をもとにオレンジのPost-itにARTSTEELの魅力・可能性(こんなことに役立ちそう、こんなことができそう)を考えてメモしていきます。
例えば「錆びにくい」という特徴に対しては「屋外の家具に使える」という魅力が考えられます、他にも「硬くて重い」という特徴に対しては、そこから「重いから倒れにくい」という魅力が考えられます。
【出てきた特徴と魅力 (抜粋) 】
▼特徴:サビに強い
⇒鎌倉など海辺の地域で塩害があるところで役立ちそう
⇒海辺であえてサビを育ててみる
▼特徴:耐久性が高い
⇒ハードに使うことが多いキャンプ場で使うことが多そう
⇒異素材と組み合わせて耐久性を上げる
▼特徴:時間が経つほど味わい深くなる
⇒中古の方が価値が出る
⇒使いこむほどに愛着がわく
【必要なもの】
・Post-it (オレンジ)
・サインペン
4) アイディエーション①|インスピレーションを得ながら、大量にアイディアを出す_20min
【目的/実施内容】
さて、ここまででARTSTEELの特徴と、ARTSTEELでできそうなことがたくさんインプットされた状態です。次に、ここまで出てきた特徴や可能性を踏まえて、実際にどんなプロダクトがあったら面白いか、また生活が豊かになるのかを考えてアイディアを出していきます。
今回やったのは、1分に1つアイディアを考える、というワークです。そしてそのアイディアをA4白紙に描いてもらう。出てきたアイディアは壁に張り出し、他人のアイディアからもさらにインスピレーションを得ることができるようにしました。
アイディア出しは20分間行いました。つまり、単純計算で1人20個アイディアが生まれます。ややハードですが、アイディアを考える時、最初は質よりも量が重要ということで学生には頑張ってもらいました。
【インスピレーションカードで発想を促す】
ただし、ただ漠然と1分につき1個アイディアを繰り返しているとアイディアが枯渇してしまい、後半は漠然とした思いつきになってしまいます。
それはあまり効果的ではありません。なのでインスピレーションが途切れないように2種類のインスピレーションカードを用意しました。
プロダクトカード
シチュエーションカード
プロダクトカードには様々なプロダクトが載っており、シチュエーションカードは、様々な室内の写真が載っています。それぞれ異なる2種類のインスピレーションを用意しました。
【必要なもの】
・A4白紙
・サインペン
・インスピレーションツール
【1人でやるとしたら】
インスピレーションカードでなくとも、何かしらインスピレーションを与えるものを用意しましょう。Pinterestや雑誌などを見るのもおすすめです。
▼プロダクトに関するインスピレーション
・WEB/アプリ|Pinterest(こちらをご参考ください)
・WEB/アプリ|Sumally (https://sumally.com/)
・本|インテリア/プロダクト系の雑誌(Brutus, Casa Brutusなど)
▼シチュエーションに関するインスピレーション
・WEB|Houzz(https://www.houzz.jp/)
・アプリ... STYLE (https://amzn.to/2vwRS0h)
・本... AT HOME (https://amzn.to/2VD3Sff)
・本|123人の家 (https://amzn.to/2UUHNV1)
5) アイディエーション②|ワークシートを使ってアイディアを整理する_20min
大量にアイディアを考えたら、他人のアイディアも含めて自分の考えたいアイディアを1つ選びます。それを整理するためにワークシートを使いました。
【ワークシートの項目】
・プロダクトスケッチ
・使用方法, 体験
・ARTSTEELのどんな特徴, 機能に着目したのか
・シチュエーションスケッチ
・シチェーションの説明
・ARTSTEELならではの体験
その他にも
・どんな人に使ってほしいのか?(ターゲット)
・その人のどんなニーズを満たすのか?
についても考えてみてもいいかもしれません。一人でやる場合にも、上記の項目について考えてみましょう。
6) テスト&フィードバック|自分のアイディアを他人に説明して、フィードバックを得る_10min
沢山のアイディアを考えた後は、参加者が一つ実現させたいプロダクトを選んで、使用するシチュエーションまで具体的に考え、それぞれがプレゼンをしました。
アイディアを思いついたら、応募する前にいったん他の人に見せるフェーズをはさみましょう。思いついた瞬間はどんなアイディアでも良いアイディアに見えてしまいますが、他人の冷静な視点にさらされた時にどう映るのか、本当に魅力がちゃんと伝わるのかを落ち着いて考えましょう。
今回のワークショップでは、どのプロダクトアイディアもアートスチールの特徴がちゃんと踏まえられていて、学生とは思えないレベルの高さでした。
また、それぞれのプレゼンテーションに対してFRONTの藤井様よりフィードバックをいただきました。-「すぐにでも製品化したい」「その使い方は他のプロダクトにも生かされそう」など、ポジティブなフィードバックを多数いただきました。
【一人でやるなら】
何人かの人に自分のアイディアを見せてみましょう、家族、デザイン関係で働く友人、友達など、複数の人に見てもらい自分のアイディアについてコメントをもらいましょう。
もらった意見は貴重ですが、必ずしもすべて反映する必要はありません。すべての人の意見を鵜呑みにすると丸いアイディアになってしまうかもしれないからです。
実際のプロダクトアイディア例
では実際に参加者から出てきたアイディアを紹介します。(このワークシートはワークショップ用のフォーマットで途中のものになります) また、実際に審査員を務めていただく藤井様から頂いたフィードバック内容も記載しますので、応募を検討している方は要チェックです。
①キャンプでも家でも使える、使い込むほど馴染む自然に溶け込むランタン
【藤井様からのフィードバック】f近年のキャンプグッズの流行がヴィンテージに回帰している。富裕層向けの高価な道具が人気を博していることもあり着目した点がとても良い。アートスチールとも非常に相性がいいと思う。
②旅の傷が魅力になる、旅で模様を育てて自分だけのものになるARTSTEELスーツケース
【藤井様からのフィードバック】ARTSTEELの使い込むほどに味が出る、丈夫でメンテナンスがかからないという特徴に着目したいいアイディアだと思ったが、ARTSTEELは重量があるため、飛行機の持ち込み容量を考えると現実的ではないかもしれない。しかし着眼点はとてもよいと思う。スーツケース以外のアイディアにその考えを転用できないだろうか。
③使い込むほどに馴染んでいく、3代に渡って使い継ぐARTSTEEL万年筆
【藤井様からのフィードバック】メンテナンスいらずで長く使えるという着目したいいアイディアだと思う。確実に長く使う万年筆とARTSTEELは相性がいい。重厚感が出るのも良い。また小さいものにアートスチールを使う発想がこれまでなかったので新しいと感じた。
④自在にカスタマイズして、自分好みのスペースをつくれるARTSTEEL屏風
【藤井様からのフィードバック】すぐに実現できそうなのが素晴らしい。例えばARTSTEELだけでなく他の素材との組み合わせをしてもおもしろそう。例えばパーツに木材を使用してもいいかもしれない。
7) ブラッシュアップ|得られたフィードバックをもとにアイディアを改善する_20min
藤井様から頂いたフィードバックを元にアイディアを修正しました。この後アイディアを清書し直して、完成したアイディアを応募し、ワークショップは終了です。
応募案内
以上になります。いかがだったでしょうか。ワークショップの様子を見て、「自分もいいアイディアが思いついた」「自分でも考えられそう」「アートスチール面白そう」など感じてくださった方は、是非アイディアの応募をお願いいたします。下に応募詳細を記載しましたので、そちらもご覧ください。
普段からプロダクトデザイン携わっている方はもちろん、そうでない方からも応募をお待ちしております。インテリアや雑貨が好きな方、錆を強みに持つアートスチールを使って粋なモノづくりをしたい方など、様々な方から沢山のアイディアが集まることを心待ちにしております。
あ、言い忘れていましたが、応募は何点しても大丈夫です!思いついたらとにかく応募してみましょう。
応募方法詳細
▶︎募集期間:2019年4/22(月)〜 6/24(日)
▶応募方法:応募フォームを通じて、以下の情報をご提出ください。
・作品画像/イラスト (jpgもしくはPNGにて提出ください ※10MBまで)
・作品情報 (応募フォーム上でテキストにてご応募ください)
▶︎募集内容:「ARTSTEEL」を使ったプロダクトアイディアとその利用シーン
▶︎審査基準:
1)素材の特徴を活かしているか
2)生活者の暮らしに価値を与えるアイデアか
3)意匠としての美しさ