「劇中劇」（視小説＃170）Play in the play,Visual Novel # 170

小説家は自分の書いているものが作り話であることを隠さない。だからそれを「信じるに値するもの」として、読むことができるのである。（ジャンルを問わず）芸術と呼ばれるものがこれほどたくさん作られ、日々消費されている理由は、人々が常に暇つぶしの娯楽を欲しているからではない。「想像力」を介することでしか、自分が生きているこの現実を解釈できないからである（「何かを選ぶ」ということは価値観の表明であり、それはその人の世界観に直結している）。

「事実」は人の数だけ存在する。その断絶を埋めるための共通言語として、人は「神話」を求める。何かを作ることは、自分なりの「神話」を提供して、他者と共有したいという衝動に他ならない。