山は持ち歩けない
poem
「山は持ち歩けない」
山はもちあるけない
詩は口にくわえられる
特別なボンボン
春は持ち歩けない
春を詩の中にしまっておけば
いつでも取り出して
それを味わうことが出来る
詩はポケットに入れて
いつも持って出かけられる
淋しくなったら
立ち止まって
覗いてみれば
色とりどりの春が
薄紙に包まれたボンボンのように
並んでいる
桜色のボンボンを
一つ食べれば
甘い涙の味が
口に広がり
ふたたび永遠の春のなかに
立つだろう
THU, JUN 15, 2017 Updated