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古くて新しいエコシステムである歴史的石垣の復興プロジェクトin南阿蘇村

巨大な阿蘇カルデラの中の斜面に形成された南阿蘇村の集落には多数の歴史的石垣が存在しています。開拓時代、家や田畑のための平らな土地を造るには石垣が必要でした。先人たちは暮らしの中で大量の石を一つ一つ積み上げ石垣を築いてきたのです。現存する石垣群は、過酷な自然のなかで人々が暮らしを立ててきたあかしであり、文化遺産です。
しかし、南阿蘇村の石垣の価値はそれだけではありまあせん。地域の石だけで築かれ、CO2を大量に発生させるコンクリートは全く使用されていません。それでも数年前の熊本地震でもほとんど崩れませんでした。私たちは古い石垣を丁寧に解体し、再築してみました。そこから、丈夫な石垣を積むための先人の知恵と技を学ぶことができました。さらに、地域循環資源である石だけを用い、CO2を排出することなく構築可能な石垣はSDGsな構造物であり、今日的な価値を備えた「古くて新しいエコシステム」であることを知りました。
現在、地域の方々(=石垣の担い手)を対象に、石垣の価値と技術についての情報発信を続けています。また、石垣と地域の食文化等を組み合わせたエコツーリズムの展開の準備を進めています。

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