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飛沫拡散抑制マスク

新型コロナウイルスの感染拡大に伴って人々の“マスクリテラシー”が向上し、特に新型コロナウイルスに関して市販のマスクを着用する目的は、着用者がウイルスを吸い込むのを防止することではなく、着用者自身がすでに感染しているかもしれないという前提に基づき、着用者がせきやくしゃみによってその飛沫を周囲に拡散させてしまうのを抑制することである、ということが一般的な知識になってきています。
そうであれば、その目的だけに特化することで現在のマスクの弱点を解決することができるのではないかと思い、このマスクを考えました。まず、わたし自身がマスクによって息がこもる感覚が非常に苦手であるため、もっと口元に空間があって息がしやすいものがほしいと思いました。わたしは花粉症などを持っていないため、また上記のとおり市販のマスクであっても新型コロナウイルスの感染防止という目的に対しては効果が低いことがわかっているため、そのようにしても問題がないと考えました。
さらに毎日使い捨てするのがもったいないため、エタノールやハンドソープなどで簡単に洗浄して再利用できる、樹脂製のものがよいと考えました。国から布製のマスクが配布される予定ではありますが、洗浄が容易かというとそうではないと思います。こういったわたし自身が普段から感じている問題点に基づいてこのマスクを設計しました。
医療従事者の方々が着用するフェイスシールドを参考に、これを目元から下だけにしたようなものがよいと考えました。口元が大きく開いていますし、樹脂製であるため、上記の要求を満たすことができます。
さらに顔の下側が開いているため、マスクを着用しながら食事をすることができます。相手と間近に会話や発声をする「密接場面」を避けるよう国から勧告されていますが、一般的なマスクでは食事の際は外すほかありません。友人と対面で食事をするような状況で、このマスクが効果を発揮する可能性があると思っています。もちろん緊急事態宣言の対象地域では、そもそもそのような状況をつくらないようにするということが常識になってきていると思いますが、それ以外の地域ではまだ多くの店は開いていますし、そこに行く人もいます。その場合、このマスクを着用することには意味があると思っています(わたしは対象外地域に居住しています)。
なおフェイスシールドをそのまま使用した方が感染防止には効果があると思いますが、特に緊急事態宣言対象外地域においては、フェイスシールドを着用して外出するとその見た目から周囲に恐怖感を与えてしまうことは否めないと思います。また目のまわりも覆ってしまうとかなりクリアな樹脂シートを使用しないと、前が見づらくなって結局マスクを外してしまう、ということにもつながりかねません。このマスクはあくまで着用者からの飛沫拡散を抑制することを目的とするため、目元から下だけ覆っていればよい、という設計にしています。
さらに、普段から家にあるような、もしくはすぐに購入できるような素材と道具(クリアファイル、ゴムひも、テープ、はさみ)で、非常に簡単につくれるようにしました。くりかえしになりますが、このマスクの目的は着用者個人を感染から守ることではなく、各自がこのマスクを着用することによって感染拡大を抑えることです。着用する人数が増えなければあまり意味がありません。そのためには、3Dプリンタやレーザー加工機などの一部の人しかアクセスできない機材は使わずに、だれでも簡単につくれるようにする必要があると考えました。このマスクをつくったばかりなのでまだ行なっていませんが、図面やつくりかたをオープンソースとして公開するといったこともやっていこうと考えています。

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