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どの絶滅危惧空間を扱うのか(300文字以内)
対象は、地方に点在する廃業ガソリンスタンドである。
電気自動車の普及や人口減少、燃費性能の向上により、国内のガソリンスタンド数はピーク時の約6万件から現在約2万7千件まで減少し、30年以上にわたって廃業が続いている。廃業跡地の多くは地下タンクの処理コストを抱えたまま放置され、次の用途を持てずにいる。
この提案では、キャノピー・給油レーン・サービスルーム・洗車スペースという標準的な空間構成をそのまま活かし、車のための写真スタジオへと転用する。給油のために車が訪れた場所が、記録のために車が訪れる場所へと変異する。 -
なぜその絶滅危惧空間を扱うのか(600文字以内)
ガソリンスタンドは、自動車社会を支えてきた代表的なインフラである。しかし、電気自動車の普及や人口減少、燃費性能の向上などにより、その数は年々減少している。一方で、自動車そのものは単なる移動手段ではなく、所有者の趣味や個性、ライフスタイルを映す存在へと変化している。SNSでは愛車を撮影・共有する文化が広がり、車を「記録し、見せる」行為は新たな楽しみ方として定着しつつある。
ガソリンスタンドは本来、「燃料を補給する場所」であった。しかし今後は、車との関係性そのものを更新する場へと役割を変えられるのではないかと考えた。車で気軽に立ち寄れる立地や、キャノピーによる大屋根、広い舗装空間、洗車動線などは、撮影や展示と非常に親和性が高い空間資源である。
本提案では、ガソリンスタンドを「車のための写真スタジオ」へとコンバージョンする。プリクラのように気軽に愛車を撮影できるだけでなく、3Dスキャン技術によって車をデジタルデータとして保存し、3Dプリンターによる模型出力まで行える施設とする。燃料を補給する場所から、思い出や愛着を記録し、共有する場所へ。時代の変化によって役割を終えつつある建築を、新たなカーカルチャーの拠点として再生することを目指す。 -
どのようにその絶滅危惧空間を変異させるのか(1200文字以内)
本計画では、ガソリンスタンドが持つ既存の空間構成を活かしながら、「給油」という行為を「記録する」という行為へ置き換えることで、新たな価値を生み出す。
キャノピー下の給油レーンは、車を正確な位置へ誘導する撮影ステージへと転換する。床には位置決めのガイドを設け、照明や背景スクリーンを組み込むことで、誰でも短時間で高品質な撮影ができる空間とする。利用者はプリクラを利用するような感覚で車を停め、複数方向から自動撮影された画像を持ち帰ることができる。
さらに、撮影ブースには3Dスキャンシステムを導入する。車体全体を短時間でデジタルデータ化し、そのデータはオンライン上の個人ライブラリーとして保存される。利用者は後日、好きなスケールで3Dプリントしたり、AR・VR空間で愛車を展示したりすることも可能となる。車は実物だけでなく、デジタルアーカイブとしても所有される時代へと接続される。
既存のサービスルームは、撮影データの編集や閲覧、3Dプリントの受け取りを行うラウンジへ改修する。利用者同士が撮影した作品を見せ合い、イベントや展示会を開催できるコミュニティスペースとしても活用することで、車好き同士の交流を生み出す。
また、洗車スペースは「撮影前の準備室」として再解釈する。車を磨き、整え、撮影に臨む一連の行為そのものを体験としてデザインすることで、従来の洗車場とは異なる付加価値を与える。
建築的には、既存のキャノピーや計量機跡など、ガソリンスタンドを象徴する要素は可能な限り保存する。それらは用途を変えながらも、この場所がかつて燃料を供給していた記憶を伝える建築的痕跡となる。一方で、撮影照明や3Dスキャン装置、LEDスクリーンなどの新しい設備を対比的に挿入し、新旧の時間が重なる空間をつくり出す。
燃料を補給するために立ち寄っていた場所は、これからは愛車との時間を記録し、その価値を共有する場所へと変わる。物理的なインフラを、デジタル技術とカーコミュニティを支える文化的インフラへ転換することが、本提案のコンバージョンである。そこでは車は「消費される道具」ではなく、「記録され、継承される存在」となり、ガソリンスタンドは新しいカーライフを支える拠点として再び社会に開かれる建築となる。
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プリクラスタンド
車のためのプリクラ機
