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どの絶滅危惧空間を扱うのか(300文字以内)
対象は、地方に点在する廃業ガソリンスタンドである。
日本全国のガソリンスタンド数はピーク時の約6万件から現在約2万7千件まで減少し、30年以上にわたって廃業が続いている。廃業跡地の多くは地下タンクの処理コストを抱えたまま放置され、地域の空白になっている。
この提案は特定の一店舗への提案ではなく、全国どこにでも存在する廃GSへのプロトタイプとして構想する。キャノピー・給油ベイ・事務棟・地下タンクという標準的な構成をそのまま活かし、スポーツと身体のための場所へと変異させる。地下タンクは平常時は施設の水として循環し、災害時には地域の非常用水として機能する。固有の文脈を持たない「どこにでもある場所」だからこそ、全国どこでも複製できるモデルになる。 -
なぜその絶滅危惧空間を扱うのか(600文字以内)
地方のロードサイドには廃業したガソリンスタンドが放置されている。地下タンクの処理コストを抱えたまま、次の用途も持てずに空白になっている土地が、全国に約3万件ある。
この二つの空白が、同じ場所で重なっている。
廃GSの建築的特質は、スポーツ施設としての可能性を最初から持っている。キャノピーの大屋根は屋外でも雨を防ぐ。高さのある構造体はクライミングウォールを支える柱になる。地下タンクは水を湛える器になる。事務棟は熱を閉じ込めるサウナになる。何も足さなくても、器はすでにそこにある。
そしてこの提案の核心は、クライミングウォールの真下にプールがある、という一点に宿っている。落下が、失敗ではなく快楽になる。恐怖が、歓声に変わる。ガソリンスタンドという何でもなかった場所が、身体の限界と解放が同時に起きる場所へと変異する。 -
どのようにその絶滅危惧空間を変異させるのか(1200文字以内)
変異の手法は、既存の構造体をそのまま読み替えることから始まる。解体するのではなく、見方を変える。給油のための器が、身体のための器へと転用される。
キャノピーの大屋根はそのまま残す。ガソリンスタンドのキャノピーは、もともと雨天でも給油できるよう設計された大スパンの屋根だ。その下にプールを据える。地上に設置されたプールは、道路側から丸見えになる。通りがかりの人が水面を目にする。それだけで、この場所が何かに変わったことが伝わる。
キャノピーを支える柱と構造体に、クライミングウォールを沿わせる。ウォールの高さはキャノピーの高さに依存する——一般的な廃GSのキャノピーは地上5〜6メートル。既存の鉄骨フレームを補強し、ホールドを打ち込む。真下にはプールがある。登り切れなくても、落ちても、水に飛び込む。失敗が快楽に変わる瞬間がここに生まれる。クライミングとプールを別々に設計する必要はない。二つは最初から一つの空間として機能する。
事務棟はサウナに転用する。もともと小さく密閉性の高い事務棟は、熱を閉じ込める構造として理にかなっている。内装をリセットし、ストーブと木材で仕上げる。窓をなくし、照明を落とす。事務棟という無機質な箱が、身体を限界まで熱する場所になる。サウナを出ればキャノピー下のプールが目の前にある。熱から水へ、数秒の動線で整う。
地下タンクは、施設全体の水を支える基盤として機能する。プールの補給水、サウナの水風呂、施設の循環水を地下タンクから賄う。平常時はスポーツ施設のインフラとして静かに機能し、災害時には地域の非常用水として開放する。地上からは見えないが、この施設を支える根として地下に存在し続ける。
GSの痕跡は意図的に残す。給油機の台座、色褪せた価格看板、油染みたコンクリート。それらを撤去せず、プールサイドの風景として残す。何でもなかった場所の記憶が、新しい身体体験の背景になる。
この変異はどこでも複製できる。廃GSというプロトタイプを通じて、地方のロードサイドにも宿ることができる。全国に約3万件ある廃GSが、身体のインフラとして再起動する可能性をこの提案は示す。
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スポーツスタンド
プール、クライミング、サウナ施設
