FLEXIBLE ↻ AWARDS 結果発表
本アワードでは、「FLEX(変化に適応するしなやかさ)」と「ABLE(未来を切り開く可能性)」が融合した、創造的な作品を形式やジャンルを問わず広く募集しました。
約1ヶ月にわたる応募期間中、多様な視点やアイデアを持つ約70点の作品が寄せられました。
その後、オンライン上で実施された一次審査を経て、ファイナリスト5作品が選出。
7月25日(金)には、愛知県にある山田商会本社1階ショールームにて、ファイナリストによるプレゼンテーションと最終審査会が行われ、最優秀賞1作品が決定しましたので、ここに発表いたします。

各作品には、審査員からの講評コメントも寄せられています。
なお、選出されたファイナリスト作品は、7月26日より山田商会本社1階ショールームにて開催されるファイナリストグループ展にて展示されています。
ぜひ会場にて、未来へのしなやかな可能性を感じさせる作品の数々をご覧ください。
最優秀賞
no. 23 bio~菌糸と火山灰による壁面のデザイン~
齋藤巧・石澤航 / 九州大学大学院人間環境学府末光・出水研究室
作品URL:https://awrd.com/creatives/det...

審査員コメント|稲波 伸行 氏
この作品を見た時に、「僕らは、桜島とともにあるから」とおっしゃっていた鹿児島の人たちの言葉を思い出しました。火山灰が降るという厄介ごともアイデンティティに変えてしまう、ある種の地域のしたたかさと、火山灰に対する温かい眼差しを同時に感じ、課題解決を超えたプロダクトの在り様がとても印象的でした。また、火山灰を壁面に、さらに菌糸と混ぜるという3段階のイノベーションともいえる要素のデザインが、イノベーション目線から見ても素晴らしく。視野の広さ、根気や粘り強さも感じ、形のないこのプロダクトのデザインに対し、“デザイン“という行為の意味を考えさせられる、素晴らしいプロダクトでした。
ファイナリスト
no. 12 曲がりを摘む
Mutsushi Asai / Metalium llc.
作品URL:https://awrd.com/creatives/det...

審査員コメント|稲波 伸行 氏
その存在はとてもポエジーで、工業製品とは思えない独特の存在感を感じます。人の作為的なラインを廃し、神のデザインした自然のラインと、人の作為によって生み出されるその一期一会のデザインは、プロダクトの概念を飛び越えるプロダクト。特に新しい技術や無理のある設計もない、デザイナーの気配の消し方、それに勝るプロダクトの存在感。そんな両極が混在する素晴らしいプロダクトだと感じました。もう少し見てみたい景色としては、おそらくは人の気配を消したかった装置部分のデザインに関して、もう少し、神のラインを引き立てるデザインのあり方があったのではないかと思いました。デザインというエゴのあり方に挑戦した素晴らしいプロダクトでした。
no.13 SAND PRODUCT 『OUTLINE』
PULSE
作品URL:https://awrd.com/creatives/det...

審査員コメント|橋田 規子 氏
私たちの身近にある、蛇口などの中空部分を持つ金属製品には鋳物製造技術が使われていて、これは紀元前からある成形技術。製品を創り出すための(砂型)中子型は砂を固めて作られ、使用後は廃棄されてしまう。この作品はその廃棄されてしまう黒砂を新しいプロダクトを創り出している。普通の人が見ることのない、しかも、紀元前から行われる鋳物製造の中子型の砂に目を付けた点に、新規性があり、物語性を感じる。廃棄物の再利用が様々なおこなわれている昨今であるが、このプロダクトは重厚感や存在感がある点がよい。また、デザインは、どれも美しくふくよかで砂の素材感が生かされている。砂だけに形状には自由度(柔軟性)がありそうで、これからの展開が楽しみである。
no.50 CAN CELL
ta_rabo
作品URL:https://awrd.com/creatives/det...

審査員コメント|橋田 規子 氏
レジャーから災害時までを想定した一人用の最小テント。フェーズフリーな要素を持つプロダクトで近年の需要に応えている。金面(熱吸収)と銀面(熱反射)をリバーシブルに組み替えることで、気候に応じて快適な環境を提供、ソーラーバッテリー+ファンで自立送風する骨組みもないというテントでたためば超コンパクト。見た目にも今までのテントにない、新しさを感じた。また、これほどフレキシブルで有用ならいつ来るかわからない災害に備えて一家に一つあっても良いと思う。テントとしては柔軟性に富んでいるが、形状なども他に考えられると思うので、今後の展開に期待できる点も評価に加えた。
no. 59 mimiz
井上 知高 / 武蔵野美術大学 工芸工業デザイン学科インテリアデザインコース4年
作品URL:https://awrd.com/creatives/det...

審査員コメント|稲波 伸行 氏
今回の企画のテーマ、“FLEXIBLE”に真っ向から挑戦したプロダクト。ホースとMDFの組み合わせ、そこから生まれるホースの柔軟性を用いて新しい家具の在り方を提案した意欲作でした。斬新なアイデアとは裏腹に、アイデアを家具として成立させるために、試行錯誤した様子も素晴らしい。欲を言えば、ホースという軽やかな存在が、MDFのブロックという重い存在に掛け合わされたことで、“FLEXIBLE”な印象が少し薄まってしまったようにも感じられたため、全体の強い存在感をもう少し弱められると、“FLEXIBLE”というテーマがもっと浮き出してきたのではないかと感じました。とはいえ、ホースという存在を家具に転用する、意欲的で素晴らしいプロダクトでした。