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100柄以上のマスキングテープをつかって、カラフルな名作絵画をえがく/船原七紗さん

2017/06/16(金)

インタビュー

数えきれないほどの種類のマスキングテープを、細かくちぎって作品を作るアーティスト・船原七紗さん。ムンクの「叫び」や「真珠の首飾りの少女」、「モナ・リザ」などの名作絵画の線や色合いを、マスキングテープを貼り合わせることで再現しています。

それらの作品は、みればみるほどその繊細さに驚かされます。また、マスキングテープを使うことで、元の作品がよりポップでカラフルにアップデートされているのも、船原さんの作品の魅力の1つです。

模写するだけでも大変な名画を、なぜマステを使って再現するのでしょうか?そこには、より多くの人々とアートを繋ぎたいという、船原さんの熱い思いがありました。

●マステ遊び その②

ーマスキングテープを使って制作を始めたきっかけを教えてください。

大学の授業がきっかけです。元々マスキングテープが好きで集めていたのですが、大学の授業で「顔を描く」という課題の際、普段描いていた油絵に少し飽きてきていたので、違う画材を使おうと考えました。その時思いついたのがマスキングテープだったんです。そこで初めてマスキングテープで制作した作品が、モナ・リザの模写でした。

ー船原さんの作品は、マスキングテープの柄を美しく構成している点も素敵です!作品を作る時、どんな視点からマスキングテープの柄を選んでいますか?また、1つの作品を作るのに何種類のテープを使用しているのでしょう。

例えば、「富獄三十六計の富士」を制作した時には、和柄のマスキングテープを意識して使いました。そのほかにも、何かテーマのある作品があれば、それに近い柄を選んでいます。

あとは、見る人にじっくりと柄を探してもらいたいので、お寿司やおにぎりの柄など「こんな柄もあるんだ!」と思ってもらえるようなちょっと変わったデザインのテープも、こっそり入れています。

作品内の色数によって使うテープの数は変わりますが、少ないもので30種、多いと100種類近く使用していると思います。

マステ遊び その⑤

ー作品の中から面白い柄を発見するのも楽しそうです。「マステ集めが趣味」ということですが、現在は何種類ほどのテープを持っているのでしょうか。

最近数えていないので正確な数は把握できていないのですが、170cmのカラーボックスの中には収まりきりませんでした!1000は超えているかなと思います。

ー1000種類!船原さんのお家にお邪魔してみたいです...。マスキングテープで様々な名画をモチーフに制作していますが、モデルになる作品はどんなポイントで選んでいるのですか?

まず、その作品の著作権が切れているか必ず確認します。その中で、ある程度世の中で知られている名画や、または自分が好きで作りたいと思ったものを選んでいます。

名画を選ぶ理由としては、見たことがある作品だけれども「こんな見方があるのか」など再発見してもらったり、興味を深めてもらうことで、絵画作品や美術に触れ合うきっかけになればいいなと思っています。

ー元の絵画では暗い色の箇所や何もない空間をあえて柄のあるマスキングテープで彩ることで、その作品の別の表情が見れて新鮮です。いろんな柄がうまく重なり合っているのも、見ていて楽しいです。原画と違う色使いはどのようにして決めているのですか?

色は、その場の気分で決めることが多いです。いつもなんとなく、ここにこの色があったらいいな、とか、この色の上にこの色を重ねたらいいんじゃないかなど、ふんわりと考えながら決めています。

マステ遊び その⑨

ー制作工程の中で一番難しいところや悩むところはなんですか?

一番難しいと感じるのは、顔のある作品です。私たちが見慣れているものが人の顔だと思うのですが、そのぶん顔のバランスの違いには敏感です。

目の位置や口元、輪郭が少しずれてしまうだけでも全然違う人になってしまうので、なるべく元の顔のイメージそのままに制作できるよう、いつも気をつけています。

ーマスキングテープで顔のつくりを表現するのは、想像するだけでもむずかしそうです。一つの作品を完成させるために、どのくらいの時間をかけていますか?

A4サイズでの作品が多いのですが、大学時代は2、3日程度で完成させていました。最近は、日中に別の仕事をしながらの制作となっているので、もう少し時間がかかってしまいます。

マステ遊び その③

ー船原さんはマスキングテープアーティストとして、たくさんのメディアに注目され活躍されていらっしゃいますが、制作を始めてから、今までで一番印象に残っている出来事を教えてください。

一番印象に残っているのは、初めてネットメディアに取り上げて頂いた時のことです。ぢ足掻くの文化祭でマスキングテープの展示を行なっていたところをお声がけ頂きました。これが、様々なメディアに取り上げていただくきっかけになりました。

また、マスキングテープのメーカーさんの工場で、作品を展示させていただけたことも印象に残っています。「鳥獣花木図屏風」という作品を制作したのですが、2枚の作品をそれぞれ3ヶ月ずつかけて制作した事と、それを憧れのマスキングテープメーカーさんの工場で展示させていただけたので、忘れられない思い出になっています。

マステ遊び その⑧

ー制作活動の中で、今後チャレンジしたいことがあれば教えてください。

まだ実践できていないのですが、立体物にマスキングテープを貼って作品を制作したいです。考えているだけだとずっとそのままになってしまうので、少しずつ挑戦していければと思います。

ー告知等ありましたらどうぞ!

7月に、島根県にある浜田市世界こども美術館で開催する「体験型現代美術 アートパレード展」で作品展示を行う予定です。

今までの主要作品が一同に並ぶので、ぜひお越しください。

船原七紗

武蔵野美術大学油絵科油絵専攻卒業。大学の授業でマスキングテープを使った模写を制作したことがきっかけではじめたマスキングテープアートが、海外のアートメディア『Spoon & Tamago』や『IGNITION』、テレビ番組などの様々なメディアで紹介され注目を集める。東急文化村『めざましモア展』、『mt factory tour vol.4』にて作品展示。鯉と柴犬が好き。

Portfilio:https://awrd.com/creatives/user/32706

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