2019年11月19日より、東京・六本木にある森美術館で、最先端のテクノロジーとその影響を受けて生まれたアート、デザイン、建築を通して、近未来の都市、環境問題からライフスタイル、そして社会や人間のあり方を考える展覧会「未来と芸術展:AI、ロボット、都市、生命―人は明日どう生きるのか」が開催されています。
この展覧会に出展するネリ・オックスマン&ザ・メディエイテッド・マター・グループの作品に、FabCafe Tokyo ディレクターの金岡大輝が、FabCafe Hidaを運営する「飛騨の森でクマは踊る(通称:ヒダクマ)」と共に作品への製作協力を行いました。
作品について
作家名:ネリ・オックスマン&メディエイテッド・マター・グループ
タイトル:Edo’s Eden(江戸の楽園)
2200年の東京計画
出典:Designed Ecologies
2200年、180年後の未来。海面上昇により姿を変えた東京をテーマにした作品。この作品にはすべて岐阜県産ヒノキを使用。メインの Top Plate と Hinoki Box のパーツは一本の東濃ひのき丸太から切り出され、非常に難易度の高い加工が施されています。
デジタルファブリケーションを得意とするFabディレクターの金岡は、ヒダクマのメンバーと共に加工の難易度が高いヒノキ材に真正面から向き合いました。飛騨、東北、東京と、様々なエリアの方々のご協力のもと、直径500mmはある一本のヒノキは、最新の3Dプリンターで出力された球体状のオーブの組み合わさり、未来の東京を示す模型として生まれ変わりました。
出典:Designed Ecologies
△トッププレートは、10cmのヒノキのキューブを100個使用して作られた集成材を両面から切削している。並び方は木目を見ながら、丸太の年輪にそうように配置された。
△鏡に映り込んだ木目も美しい
制作プロセス
△切削されたヒノキの表面。加工が難しい小口方向の切削。ヒノキ独特の柔らかさも相まって広葉樹の「硬い」難しさとは全く違った難しさが針葉樹にはある
△トッププレートにはこの作品のメインでもある球体が並ぶ。球体は中の模様まで全てデザインされ、最新の3Dプリンターで精密に再現されている。透明度は非常に高く、ガラス玉と見間違えるほど。
△作品が飛騨から東京へ運ばれる。Boxは重さ100kg~200kgはあり、ひとの手で持ち上げることができないほど。一見軽やかに見えるTop plateでも16kgはある。直径500mmまで育つのに、100年近くの年月が必要だ。木の育ってきた密度を感じる。
△11月7日〜9日の期間は、チームメンバーであるAnran Li(写真中央), Joseph Henry Kennedy Jr.,(写真右) の2人が最終調整のため飛騨に滞在。金岡(写真左)と共にワークを行った
展覧会概要
未来と芸術展:AI、ロボット、都市、生命―人は明日どう生きるのか
会期:2019年11月19日(火)~2020年3月29日(日)
時間:10:00~22:00(最終入館 21:30)
※火曜日のみ17:00まで(最終入館 16:30)
※11月19日(火)、12月31日(火)、2月11日(火・祝)は22:00まで(最終入館 21:30)
会場:森美術館(六本木ヒルズ森タワー53階)
Web:https://www.mori.art.museum/jp/exhibitions/
ネリ・オックスマン&ザ・メディエイテッド・マター・グループのヒダクマによる作品製作
デザイン・製作:ネリ・オックスマン&ザ・メディエイテッド・マター・グループ
製作ディレクション・製作:林 千晶、岩岡 孝太郎、飯山 晃代(以上 ヒダクマ)、金岡 大輝(FabCafe Tokyo)
木材コーディネーション:伊藤 維
協力:田中建築、野中木工所、飛騨無垢屋、柳木材、彩美社、株式会社シェルター、杉山木工、翠鳳、バリュークリエイティブ(順不同)
金岡 大輝
株式会社ロフトワーク/FabCafe LLP, Fabディレクター
マンチェスター大学で建築を学んだ後、FabCafeではFabエンジニアとしてRhinocerosクラスGrasshopperクラスなどハイエンドは3DCADワークショップを担当。また、英語力を活かし国内外の様々なクリエイター達とプロジェクトを行うなど、幅広いものづくり知識とネットワークを持つ。