BLOG

手芸がクールに! いま糸を使ったクリエイティブがおもしろい MiY Meetup #02 Report

2016/02/19(金)

レポート

「刺しゅう」や「縫い物」など、従来、個人による糸を使ったものづくりといえば「手芸」というイメージが強くありました。しかし最近、クリエイターの手によって糸を使った表現はさまざまに進化・変貌を遂げ、クールな作品たちが話題を呼んでいます。

そこで今回、2016年3月にFabCafe Tokyoで行われた、プレゼンテーションと交流イベント「Make it Yourself Meetup」から、「糸」を使ったクリエイティブの可能性を紹介します。

レポートでは、クリエイティブユニット「蝉 semi」とアーティストの高木耕一郎氏のトークを紹介します。いずれも従来の「手芸」のイメージを覆すような、クールなものづくりや表現で話題のクリエイターです。

儚いものに新たな命を。クリエイティブユニット「蝉 semi」のものづくり

トッププレゼンターは、「デザインの寿命を長くすること」をスローガンに掲げ、活動するクリエイティブ集団「蝉 semi」。

イベントやキャンペーンが終わると捨てられてしまう広告資材をマテリアルとして捉え直し、 カバンや財布にリプロダクト。不要なものに新たな命を宿し、長く愛してもらうべく活動しています。

最初は、ミシンの使い方もよく分からなかったメンバーが、どんな経緯でカバンや財布づくりに情熱を注いでいったのか。 彼らのモノづくりへの想いや、長くデザインを愛してもらうために必要なこと「つくる」から「うる」までについて語ります。

左から:代表 石川さん、鹿毛さん。いつもは3名のメンバーで活動

活動のきっかけは、六本木商店街のフラッグコンテストの作品が捨てられているのを見かけたこと。 「もったいない」と感じ、なにか別のものに活用できないかと思いを巡らせるうちに、 フラッグたちをバッグに生まれ変わらせるという方法にたどり着きました。

彼らのアイテムはTOKYO DESIGN WEEKへの出展を皮切りにバイヤーやたちの目に留まり、 Idee、伊勢丹、BALS TOKYOなどのインテリアショップにも出店。 今では多くの方々の手に届くようになりました。

お客さんが生地から選び、自らの手で気に入った部分を切り取っています。

素材と手仕事がつなぐ縁

「はじめの頃は素材集めに苦労しましたね。」と語る鹿毛さん。

素材を提供していただく側との関係性が徐々に築けるようになった頃、 「この素材を使ってみない?」と声を掛けられることが増えたそうです。 そんな人の縁がさらに繋がり、2014年に蒲田に「蝉 semi」のFlagship Storeをオープン。 生地選びから、デザインを考えながら生地を裁断するところまで、 お客さんが自分の身体を使ってカバンづくりを味わえるショップをつくりました。

カバンづくりから始まった一つ一つの出会い。その点と線を縫い合わせるかのように、 地道に活動のフィールドを広げている3人ですが、その活動はすべて「本業とは別」。 驚くべき情熱です。

今後の展開について話が及ぶと、「ハンドメイドとテクノロジーの両方を活かしながら、 これからも丁寧なものづくりをしていきたい。嫌なことは絶対やりたくない性分なので、 この活動を続けるためにも『つくる』『うる』という新陳代謝が続くよう、体力をつけることが大事」と語りました。

作品を深堀りするともっと世界が広がる 〜アーティスト 高木耕一郎の場合〜

今回のイベントのために高木さんが制作したフクロウの作品。ブラザーの刺しゅうミシン「PR1000e」とTrotecのレーザーカッターを使って制作

動物たちの姿をモチーフに人間の弱さや醜さなどの内面を描く、ファインアーティストの高木耕一郎さん。 高木さんは、ペインティングと刺しゅうを組み合わせた作品で国内外のアートファンから注目を集めています。 最近はZUCCa、BEAMS、PORTER、Paul Smithなど、名だたるアパレルブランドとコラボレーションし、 活躍の幅を広げています。

「僕は、ファインアーティストです。名乗ってしまえば、誰でもなれる職業です」

と、開口一番に大胆なひとこと。

高木さんは、これまで自らが影響を受けてきたものについて触れながら、これまでの自身の制作の歴史を紐解きました。 幼い頃から触れてきたキリスト教の宗教画や、パンクロック、アメリカ滞在中に出会ったストリートカルチャーなど。 それらの要素は複雑に絡み合いながら、いまも作品の中に息づいています。

アーティスト 高木耕一郎さん

パンクやストリートアートなどカウンターカルチャーの影響を色濃く受けている高木さんですが、 刺しゅうという手法を取り入れたのはちいさなきっかけからでした。

「友達から手刺しゅうの作品をもらったんです。手にした瞬間、『これはできる!』と直感しました」

まず、かっこいい刺しゅうのクッションをつくってみようと考えた高木さん。 「一般的に売っている刺しゅうのものといえば、かわいい感じですよね。そこでつくったのが、このピストルの刺しゅうクッションです。 でも、クッションは日用雑貨だから、値段はある程度で決まってしまう。それで、キャンバスに刺しゅうを描くようになりました。 アート作品なら、評価さえ上がれば値段は青天井ですから」

高木さんの作品は、周りのギャラリストやキュレーターのあいだで話題になりました。 意欲的に刺しゅうを取り入れた作品を発表するにつれ、それがファッション関係者の目に留まり、 ブランドとのコラボレーションが生まれるようになりました。

初期の作品で、クッションにピストルの刺しゅうを施した作品。こちらは手刺しゅうです

今回のイベントでは、FabCafeとのコラボレーション作品を制作、お披露目しました。 この作品は刺しゅうミシン「PR1000e」とTrotecのレーザーカッターを使って制作。作品を鑑賞しながら、 観客といっしょに作品に込められたメッセージが込められているのかを語り合う、オープンディスカッションを行いました。

「今回のイベント用につくった作品は、頭がフクロウで体が人間です。このフクロウは目が白眼ですが、なぜだかわかる人いますか?」 高木さんは、問いかけました。

「このフクロウは目が白い。目が白いということは周りが見えてないということです。 フクロウといえば森の賢者というイメージがありますが、彼は頭はいいけれど周りが見えていないばかりに、 その力を活かせない。なにも活かせず、いろんなことにこだわり、武装し、孤独な人間なのです。 強いものは、以外と弱いものなのかもしれない。そんなメッセージを込めました」

最後に、高木さんの作品をスクリーンに映し出し、観客がその中に込められたメッセージを探るオープンディスカッションを行いました。

オープンディスカッションの様子

宗教の祭壇のような作品を見て、ひとりのお客さんが「ぱっと見ると可愛いと思ったけれど、 よく見るとその奥に怖さがあるような気がした」とコメント。

これに対して高木さんは、「これは、モラルや価値観について問いかける作品です。 中央の祭壇にいるのは上半身がキリスト、下半身が蛇で悪魔のようにも見えます。 『私の神はあなたの悪魔ではない(My god is not your evil.)』という一文がありますが、 これは自身の信じるものが他者と違うからといってそれを否定されることはなく、 お互いの価値観を押し付け合う必要はないというメッセージです」と解説しました。

会場からはさまざまな質問が飛び交いました

作品を見て感じたことを言葉にしたりアーティスト本人にぶつけてみると、鑑賞のおもしろさがぐっと深まることがわかります。 高木さんいわく、「好きだなと思ったときに、どうして好きなのか、どんなところが気に入ったのかを考えてみると、 なにか新しいものが見えてくるかもしれないです」とのことでした。

最後に、作品づくりで心がけていることは?という質問に対して。

「作品は、共感だけを求めると大衆的になってしまいます。アートは万人に受けなくても、 その作品がほしいと感じるだれかひとりに受ければいい。 僕は世界のどこかにいる『誰かひとり』に刺さればいいなと思いながら制作しています」

ブレない作風で多くのファンを魅了している高木さんならではのことば。 アートがいかに人々の心を揺さぶるのか、そのふしぎな力を感じたひと時でした。




ネットワーキングタイム

イベントでは、ブラザーの最新式刺しゅうミシン「PR1000e」体験コーナーも登場。お客さんもその動きに興味津々。


PR1000eのスペックや仕様についてもっと知りたい方は、ブラザーのサイト も併せてご覧ください。


Related Posts

戻る