BLOG

「新しい関係性のデザイン」を実践する、crQlr Awards Exhibition 巡回展レポート

2024/08/07(水)

イベント レポート

3都市で開催された、crQlr Awards Exhibition

今年、crQlr Awards Exhibitionが東京、京都、名古屋の3都市で巡回展として開催されました。本展は、循環型経済の実現に欠かせない「サーキュラー・デザイン」を推進するために設立されたcrQlr Awards(サーキュラー・アワード)の受賞プロジェクトを展示することで、サーキュラー・デザインをより身近に感じていただくために開催しています。

2023年は、3回目となるcrQlr Awardsが開かれ、43カ国から140のプロジェクトが集まりました。今回のcrQlr Awards Exhibitionでは、2023年に開催されたcrQlr Awardsの受賞プロジェクトの中から「特別賞」と「審査員賞」の一部を抜粋して展示が行われました。それぞれの都市で、各拠点のサーキュラー・デザインに関連するプロジェクトが紹介され、多くの来場者が訪れました。その様子をレポートします。

会期

FabCafe Tokyo 2024年3月1日〜3月24日
FabCafe Kyoto 2024年6月11日〜6月22日
FabCafe Nagoya 2024年7月2日〜7月31日


「新しい関係性のデザイン」を実践する特別賞の3プロジェクト

crQlr Awards 2023で特別賞を受賞したプロジェクトが、各会場で展示されました。

特別賞の3点は、受賞特典としてFabCafe Tokyoでの展示・プレゼンテーションの機会が与えられます。

Eleonora Ortolani
『Guilty Flavours』

プロジェクト概要:

「Guilty Flavours(ギルティ フレーバーズ)」は、人間が自分たちの体を機械として活用し、プラスチックを永遠に排除するための画期的な提案です – 食べることで。新しい生化学的なプロセス、例えば消化酵素などが、人間が安全にプラスチックを摂取できるようにするかもしれません。バニリン(バニラの香りの分子)から始まり、この研究プロジェクトは、生きた生物によって変換された完全に食べられる分子を創造するためにこのプロセスを現実的にどのように活用できるかを探っています。その結果、『ギルティ フレーバー)』アイスクリームが生まれました – プラスチック廃棄物から変換された成分を含む、初の本物の食品サンプルです。

URL: https://crqlr.com/ja/crqlr-awards/2023/winners/guilty-flavours/

Image2


合同会社シーベジタブル
『Sea vegetable Circulation』

プロジェクト概要:

私たち合同会社シーベジタブルは、磯焼けにより減少しつつある海藻を採取して研究し、環境負荷の少ない陸上栽培と海面栽培によって蘇らせ、海藻の新しい食べ方の提案を行っています。

地上の植物は探求し尽くされ、様々な栽培技術や調理方法が確立していますが、海藻の世界はその途上、と言うよりはじまってすらいないものばかり。過去から受け継がれる海藻食文化を守っていくと同時に、新たな海藻食文化をつくっていきたい。その先には海にも人にも良い未来が広がっていると信じて、私達は日々活動しています。

URL: https://crqlr.com/crqlr-awards/2023/winners/sea-vegetable-circulation/

Image3


盛發生物科技有限公司とSUNFAR Biotechnology Co., Ltd.
『森林循環‧林業創生,REWOOD』

プロジェクト概要:
台湾の全体的な林業産業チェーンを分析した後、チームは国産木材の利用率がわずか1%であることを発見し、公共部門や学校などを訪問した結果、台湾では年間1000万トン以上の人為的な剪定や自然による風倒木や枯れ木が発生しているにもかかわらず、直接焼却炉へ送られたり、低効率な方法で処理されていることがわかりました。そこで、チームは各機関のコミュニケーションの橋渡しとしての役割を担い、7Rのゼロ廃棄原則に基づいて木材利用の可能性を再考し、「REWOOD森林循環湖口創生」システムを構築しました。工作ステーションでは次世代への技術伝承を行い、台湾が自給自足の完全な林業産業チェーンを築くことを目指しています。

URL:https://crqlr.com/ja/crqlr-awards/2023/winners/rewood/

Image4


各都市でローカライズされた、展示とイベント

まずはじめに、FabCafe Tokyoにて2024年3月1日から3月24日まで、crQlr Awards Exhibition TOKYO: New Relationship Designが開催されました。特別賞受賞プロジェクトや優秀作品が展示され、crQlr Awards 2023審査員と受賞者が集うオンライントークイベント「crQlr Summit 2024 TOKYO」、受賞展示ツアー「crQlr Awards Exhibition Tours」や特別賞受賞「Sea vegetable Circulation」とコラボレーションしたメニューが登場しました。

Image5
Image6


FabCafe Kyotoでは、2024年6月11日から6月22日まで、crQlr Awards Exhibition KYOTOが開催。FabCafe Kyotoで特別賞や受賞プロジェクトが一堂に会し、京都でのプロジェクトを集めた"Design Question for SX" Archivesの展示もされ、特別賞受賞「Sea vegetable Circulation」とのコラボレーションドリンクも提供されました。

Image6
Image7


FabCafe Nagoyaでは、2024年7月2日から7月31日まで、crQlr Awards Exhibition Nagoya – “New Relationship Design(新しい関係性のデザイン)”が開催。東海エリアの循環型経済に焦点を当てた展示とイベントが特徴的でした。

展示会場ではハングアウトと連動したスタンプや、chatGPTを活用したジェネレーターなどのコンテンツ、サーキュラー・エコノミー(循環型経済)への理解深化と具体的な取り組みを共創するトーク&ネットワーキングイベント「crQlr サロン Nagoya」も開催。「後悔包んでまるくなる 懺悔のおやきワークショップ」など、名古屋にローカライズされた独自の企画で賑わいました。

Image9
撮影:稲田匡孝
Image10
撮影:稲田匡孝


グローバル拠点でも、紹介されました

FabCafe Bangkokでは2024年1月27日から2月4日まで、Bangkok Design Week 2024フェスティバルの一環としてcrQlr Awardsの特別展が開催されました。会場では、crQlr Awards 2022の特別賞「ボトムアップな活動」で受賞した、日本の森林資源を有効活用する取り組みの「日本草木研究所」などが展示されました。インタビュー記事「Sustainably-sourced Japanese forests excite the palate at Bangkok Design Week 2024」(英語のみ)で展示の様子とプロジェクトの背景が紹介されています。

Image12


そして、FabCafe Barcelonaでは、FabCafeの移転を記念した、キックオフイベントと連動して2024年3月1日から3月16日まで「crQlr Awards Exhibition BARCELONA: New Relationship Design」を開催しました。この展示会では、企業間のみならず、消費者、地域社会、環境との共生関係の重要性を強調する、欧州および日本のcrQlr Awardsの受賞プロジェクトが紹介されました。

crQlr Awards Exhibition BARCELONA


デザインとイノベーションが描く持続可能な未来

crQlr Awards Exhibitionが示すように、デザインとイノベーションは持続可能な未来の実現に重要な役割を果たしています。展示されたグローバルなプロジェクトは、循環型経済の推進や社会的課題の解決に向けた新たなアプローチです。さらに、東京、京都、名古屋の展示では、地域の課題に対応する具体的な取り組みも紹介され、参加者や来場者に多様なインスピレーションを与えます。

各拠点で開催された関連イベントは、サーキュラー・デザインに関心のある人が集まり、ネットワーキングや知識の共有は、異なる分野の専門家やクリエイターたちによる協力を促進し、持続可能な社会を実現するための基盤を築きます。

今後も、crQlr Awardsは、世界中のデザイナーやイノベーターが共に挑戦し続ける場であり続けるでしょう。持続可能な未来を築くための重要な一翼を担うこのプラットフォームが、より多くの人々に影響を与え、積極的な行動を促進することを期待しています。

Image13
crQlr Summit 2024 Tokyo開催風景


関連リンク




Related Posts

前へ