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Interview:言語化できないからものをつくる / NEW(山田十維)

2019/04/24(水)

インタビュー

内閣府が主催する日本オープンイノベーション大賞(Japan Open Innovation Prize 略称:JOIP)のロゴマークデザイン募集で、グランプリに輝いたクリエイティブチームNEW(ニュー)の代表 山田十維さんへのインタビュー。

チーム結成間もないなかで、メンバーが一緒に取り組めるものを探していたときに出会ったのがJOIPのプロジェクトでしたと穏やかに話す山田さん。これから本格的に始動するNEWの軸となるものやこれから挑戦したいことなどをうかがいました。

自分たちの責任で、ものづくりをする環境を作りたかった

ー (AWRD編集部、以下略) JOIPのロゴマークデザイン募集(以下、JOIP)のグランプリ受賞おめでとうございます。改めて感想を聞かせていただけますか?

(NEW 山田十維、以下略)もちろん嬉しかったです。ちょうど2018年の年末にチームを結成しようという話になり、活動を始めるときに、なにか皆で挑戦できることを探していたらJOIPのプロジェクトを見つけました。

自分たちにとっては初陣で挑んだアワードだったので、世の中に作品を出し、その上評価いただいたことはすごく勇気づけられました。本当に良いスタートダッシュを切れたなと思っています。

ー そうだったんですね。NEWのWEBサイトを見ると、すごく素敵な作品がアップされていたので既に活躍されていたのかと思いました。

▼WEBサイトにアップされている作品(一部)

Pattern Per Heart
コンセプト:
この作品は、「自分の心音を聞き、プロダクトを生み出す」という一連を体験するインスタレーションである。心拍パターンが目の前で解析され、テキスタイルパターンとして視覚化される。このように、自分の中にある「生」を無機質な情報で取り出すことで、より現実味を帯びた“生の実感”をデザインした。

素にもどす
コンセプト:
この制作は、人工物を素材に近づける試みである。「磨き、叩き、溶かす。」その行為すべてを自らの手だけで愚直に行うことで、素材としてのリアリティをたどった。


恥ずかしいのですが、これは学生時代の作品なんです。WEBサイトもJOIPの応募の為につくりました。応募要項に「ポートフォリオサイトなどがあればそのURLも含む(任意)」という項目を見つけたとき、受賞するには「絶対あったほうがいいはず!」と思い、簡易でもまずはサイトをつくっておこう、となったんです。

ー チームで初めて参加しようとなったとき、どうしてJOIPだったのですか?

数あるアワードの中でもJOIPを選んだ理由としては、やはり政府が取り組む活動ということが大きかったです。もしこれで賞が取れたら栄誉なことだと思って応募しました。

ー NEWのメンバーについても教えていただけますか?

左から)藤谷力澄、山田十維、坂本俊太、沖田颯亜

NEWは4名で構成されていて、全員デザイナーとして活動しています。ジャンルはグラフィックはもちろん、パッケージ、デジタル、WEBサイト制作や動画まで、それぞれが得意分野を持って活動しています。

ー どういうきっかけで4人チームになったのでしょう?

4人はもともと武蔵野美術大学の同級生でした。大学時代はこのメンバーと制作活動のために、アパートの一室を借りてアトリエとして使っていました。よく集まっていたんです。作品制作以外にも卓球したり、カードゲームやなぞなぞをしたりしてましたが。(笑)
その頃はメンバー以外にも仲間がいて、多いときは15人くらい集まっていたときもありました。

卒業して2年が経った去年の年末に4人で集まる機会があり、アトリエでの思い出がいかに貴重なものだったのかという話になりました。ちょっとクサイですけど、青春の場所だと思っています。

みんな企業に勤めていますが、これから個人でも活動していきたいと考えていて、じゃあもう一回アトリエを借りようという話になったんです。折角4人で同じ場所を借りるんだったら、傘になるようなチームで活動したほうが、モチベーションになるんじゃないかということで、チームを結成しました。

ー企業に勤めながらも、個人でも活動していきたいと思ったのはなぜですか?

大学時代は、みんなデザインが好きで、今のトップのデザイナーに憧れ、夢見て走っていたところがあるんですが、企業に勤めるとさまざまな制約のなかで表現に対しても、いろいろと難しい部分がでてきます。そういうところで、なにかフラストレーションが貯まっていたというか。

社会的に難しいのであれば、もう自分たちが全部責任を持って、良いものも悪いものもちゃんと自分たちで受け止めてみようと考えたんです。そこで、アトリエのような、自分たちがちゃんとつくれる環境を作りたかったという感覚ですかね。ちょっと上手く説明できないですが。

ー ということは、山田さんもお勤めなんですね。

はい、会社に勤めながら個人でも活動しています。会社は個人での活動も認めてくれています。今日はフラーっと出て、フラーっと戻ろうかと思っています。(笑)(取材時は既に18:00をまわってた。)

作品提出まで1週間。やりとりは全部オンライン

ー 実際に今回のJOIPに参加するにあたって、チームでどのように進めていったのですか?

これはJOIPに対してちょっと失礼かもしれないのですが、制作期間は1週間でした。
締め切りの1週間前に、参加しようという話になりまして。決めてからは、ずっと毎日オンライン上で、皆がアイデアやモチーフを持ち寄り共有して、それに対しての意見を出し合い、お互いが持ち帰るというプロセスをものすごい勢いでやってました。(笑)

1週間という短い時間ではありましたが、結果10作品提出することができました。

ーそれはすごいですね。1週間!?やりとりは全部オンライン!

はい。リアルな場に集ったりする時間がとれませんでした。

ー AWRDもオンラインプラットフォームですが、機能面で良かったことはありますか。

それはもう。AWRDは作品がデータでアップロードできることろが本当に助かりました。
おかげで、時間が無いなかでもギリギリまでデザインを詰めることができました。当日12時締切だったと思うのですが、本当にギリギリに提出したと思います。郵送での作品提出だったら間に合わなかったですね。それに応募するのにお金が掛かったりするケースもありますが、応募費用がないのも参加しやすくて魅力でした。

ー 受賞作品が具体的にどういうステップで作品が出来たか、教えていただいてもいいですか。

JOIPを表すモチーフをを持ち寄ったときに、結晶という候補が出たんです。
当初、丸の重なりで表現されていたのですが、スタディをしていく中で、イノベーションの「I」を回転させるとエッジが効いて、より輝きが出るだろうとなり、今回のコンセプトを体現できると思いました。それが、このロゴデザインの六角形の原型です。

アイデア段階では透明度50%程度のオブジェクトを重ねているだけだったんですが 、その中にグラデーションを入れたほうがより光や輝きを感じられたので、更に光の角度、グラデーションの濃度の調整などを行って最終形態になりました。

JOIPロゴデザイン募集 受賞作品

コンセプト:
「オープンイノベーション」は、イノベーション同士の出会い・重なりを促し、さらなるイノベーションを結晶化させることです。イノベーションは一朝一夕では生まれません。違う時代・領域・規模など、様々なイノベーションが重なり生まれる、非常に尊いものです。このロゴデザインは、「Innvation=I」の重なりによって「O」を作ることで、オープンイノベーションの輝かしさを、結晶として表現したものです。

ー それを、オンライン上で、1週間でガーっとやったわけですね

はい。常に4人で連携しながらみんなで手を動かしてました。検証でグラデーションのパターン出しや色味の調整などをバーッと並べたりしました。

ー 受賞されて間もないと思うのですが、これまでと違う気持ちが芽生えましたか?

この作品は、何度も繰り返し手を加え、検討し、改善するというプロセスをずっと繰り返していたので、それがちゃんと評価されたのは、チームの自信にも繋がりました。

特に、検討の段階で作ったものを疑うというか、もっと良くなるんじゃないかと常に考えて改善していくプロセスは、一番大事なことなんだなと。これはアワードに限らずですが。

ー 仕事面ではどうですか?

僕は場合は会社でプロジェクトマネージメントをしています。自分がデザインで賞を取ったというのは、会社としてはひょんな所から出てきた感じでみんな驚いていました。

それが影響していたら嬉しいですが、最近は社内で声を掛けてもらって、アートディレクターの方の下でデザイナーとしても仕事をしていたりします。仕事の幅が広がり、色々な面で勉強できています。

アワードってすごく平等じゃないですか。何の背景も無く、フラットにみんなの力が試せる

ー アイデアを具現化する中で、大切にしていることはなんですか?個人で大切にしていることと、チームで大切にしていることがあれば教えてください。

言語化できないからつくるんだと思います。僕もメンバーも一番大切にしていることは、「人の行動や感情に基づいたものづくりをする」ということはすごく意識しています。

今回のJOIPの技術を表彰する取り組みのロゴで言うと、このロゴを使いたいとか、もらったら嬉しい、と思ってもらえるようなデザインが一番正解に近いと思いました。そこで最優先に考えたのは、キラキラしているもの、輝いているものという人間が本質的に「欲しい」と思わせるもの、ということでした。

JOIPロゴの使用シーン

人がもらったら嬉しいものを作ったほうがいいというのは、すごく大前提の話じゃないですか。じゃあ人がもらったら嬉しいものって何だろうって考えたときに、「輝いたもの」かな。と、連想ゲームをするかのようにアイデアを探って行きました。

どう表現するのかは、技術の問題かもしれないですが、きっかけはすごく単純であるべきだなと思います。入り口は難しく考えるのではなくて、素直に自分の感情や人の感情を裏切らないように作ることが大切だと思います。

ー アワードのよいところってなんでしょうか?

そうですね。僕個人としては、アワードなどへは参加したことがあまりありませんでした。なぜアワードに参加したのかというと、チームで取り組めるものが欲しかったというのが一つあって。

アワードってすごく平等じゃないですか。何の背景も無く、ゼロからみんな力を試せるという。そういう意味では誰かが持ってきた仕事でもなく、本当に4人が、フラットな状態で一つのことに向かえるというのは良いところだと思います。

ー 今後チームで目指したいものなどありますか?

チームとしては、目指している所は、何か戦隊もの…。

ー 戦隊もの?

戦隊ものみたいなチームがいいなと思っていて。僕たちのチームは、皆それぞれ違う強みを持っているので、個人でも立てるし、チームで皆で取り組めば、より大きなことを成し遂げられるチームになりたいと思っています。

ヒーローが言う「世のため人のため」じゃないですけど、デザインもやはり人や世の中を良くするものだと思うので。ホントにダサイんですけど、それが本質なんじゃないかなと。

ー 戦隊チーム素敵ですね!最後に、これからのチャレンジャーに向けて、アワードに応募するときのアドバイスやメッセージをお願いします。

今回の参加で、やはりアワードっていいなと思いました。評価されたらすごく嬉しいものですし、それが評価されなかったとしても、そのときの受賞作品を見ることで、「世の中はこういうものが評価されるんだ」とうことを知る機会にもなると思います。

客観的に自分を見れるし、軌道修正することができる。多いに参加する意味のある、価値のあるものだと思います。

ー 今後もまたチームでどんどんアワードに参加してください!

はい。もちろんです!


■プロフィール

NEW
メンバーは、沖田颯亜、坂本俊太、藤谷力澄、山田十維。
武蔵野美術大学出身の同級生で結成されたクリエイティブチーム。
最近、作業場を新設したばかり。
グラフィックを機軸にブランディング、インタラクティブ、デジタル、コミュニケーション、空間など多岐に渡る領域で新しい価値を体現することを得意とする。
常に新鮮な観察で精度の高い実験的なアプローチを模索している。
WEBサイト:http://neeeew.jp

【関連サイト】

■日本オープンイノベーション大賞 公式サイト:https://www8.cao.go.jp/cstp/openinnovation/prize/

■日本オープンイノベーション大賞 アワード詳細:
https://awrd.com/award/joip_logo


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