BLOG

Make it Yourself Meetup Vol.1 〜作業台は空飛ぶ絨毯〜 レポート 前編

2015/06/05(金)

レポート

しなやかに今を生きる、4組のデザイナーと「もの」のストーリー

あのプロジェクトはどうやって生まれたんだろう? デザイナーはどんな思いで、なぜその「もの」や「こと」をつくったのか?

近年、デザイナー/クリエイター自らが仕掛けた、ものづくりやことづくりの話題を耳にする事が増えました。オリジナルのプロダクトブランドから地域で開催するイベント、さらにはカフェやコワーキングスペースのような「場」をつくるなど…そんな話題を知るたびに、むくむくと好奇心が湧いてきます。

ならば、おもしろい取り組みをしているデザイナーたち本人に訊く機会をつくろうではないか! ということで5月28日、デジタルものづくりカフェ・FabCafeの共同企画「Make it Yourself Meetup Vol.1〜作業台は空飛ぶ絨毯〜」を開催しました。

プロダクトに関わるユニークなプロジェクトを手がけた4組のデザイナー。その多様な仕事、働き方を知ることになりました。ここではライトニングトークを中心に、イベントの様子をレポートします!

「自家品(じかひん)デザイナー」の仕事とは?― 皆川めぐみさん

ひとりめのプレゼンターは、自らを「自家品(じかひん)デザイナー・ものづくり生活コーディネーター」と称する皆川めぐみさん。内のメイカースペース各所とつながりながら活動中。FabCafeもたくさんお世話になっています!

皆川さんはジュエリーデザインのバックグラウンドを持ち、こんな素敵なハンドメイドアクセサリーをつくっています。

一方ではこんな、ギークな撮影装置も作ってしまいます。

(写真:OPC Hack & Make Project より)

これは、工業デザイナーの武井祐介さんとチーム組んで制作した屋内撮影装置です。 「OPC Hack & Make Project」という、オリンパスのオープンプラットフォームカメラ「OLYMPUS AIR A01」をクリエイターがハックするプロジェクトに参加した際に制作しました。

デザイナーとして様々な領域・立場で「共創のデザイン」に関わっている皆川さん。様々なエピソードの中でも、皆川さん「らしさ」がよく分かるのが、椿のブローチワークショップの話でした。

長崎県・五島列島は椿油の産地。豊富にある椿の木材を活かして「島のあたらしい産業」につながるような、ものづくりワークショップをしてほしいという依頼を受けました。

もちろん、地域に産業を作るということは時間のかかる大きな話。でも、せっかくワークショップをするなら「あたらしい産業」というテーマをできるだけリアルに感じられる内容にしたい。なにより、参加する人々が創造性が発揮できるワークにしたい。そのために、道具選びやアクセサリーパーツのデザインなどに細かく気を配りました。

そして、ワークショップ参加者がつくったのがこの椿のブローチたち! ほんとうに、ほぼ全員素人の方が作ったとは思えないかわいらしさ。しかも、それぞれ個性的なデザインです。

ものづくりと、ものづくりにかかわる人々への愛にあふれた皆川さん。「この人と一緒に何かを作ってみたい」と感じさせる、やわらかさとしなやかさが伝わるプレゼンテーションでした。

たったひとりのジュエリーブランドからメーカーとの協業へ「PENTA」―FUJI TATE Pさん

情熱的なプレゼンテーションを見せてくれたのが、刺繍家・プロダクトデザイナーのFUJI TATE P(フジタテペ)さん。たったひとりで作っていたビーズジュエリーブランド「PENTA」がビーズメーカーのトーホーと組むに至ったストーリーを紹介しました。

FUJI TATE Pさんは2010年に独立し、刺繍家として活動をスタートしました。「肌に刺繍する」をコンセプトに「PENTA」を立ち上げた頃から、絶対にビーズメーカーと組むと心に決めていたといいます。

「オリジナリティの高いおもしろいものをつくれば、絶対にメーカーにも届くと思った」

徹底的にほかのデザインを調べあげ、まだ誰も見たことがないジュエリーにこだわりました。

商品ひとつひとつを自ら手作りするのはもちろん、ブランドロゴやカタログのデザインまで、すべてをその分野のデザイナーと協議して共に制作。根気と持ち前のコミュニケーション力によって、機会を見つけては「PENTA」をアピールし続けました。

その甲斐あってコレクションはさまざまな場所で反響を呼び、なんと独立して3年目で念願のビーズメーカーからのオファーが届きました。日本を代表するビーズメーカー、トーホー株式会社です。

いま、FUJI TATE Pさんはジュエリーのデザインだけでなく、ジュエリーに適したビーズの開発にも関わっています。また最新コレクションでは美術性の高い作品を発表し、コンテンポラリージュエリーとしてさらに注目を集めています。

FUJI TATE Pさんは「PENTA」以外の活動で、「CRAFT AID」という慈善事業にボランティアデザイナーとして関わっています。カンボジアやタイの山岳民族の人々の元を訪れ、現地の伝統工芸技術を活かしたフェアトレードプロダクトのデザイン・開発をしました。

http://craftaid.jp/

「デザイナーとしてオープンでありたい」

まっすぐに話すFUJI TATE Pさんに、会場の人々もすっかり魅了されてしまいました! 最後に自分で決めた目標を実現するために大切なことを訊かれると、

「つくったものは、隠さずにどんどん人に見せた方がいい。つくることにかけたエネルギーが無駄になっちゃう」

と力強く語ってくれました。

Related Posts

前へ