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Make it Yourself Meetup Vol.1 〜作業台は空飛ぶ絨毯〜 レポート 後編

2015/06/07(日)

レポート

やりたい仕事を自ら創造するクリエイターのトークイベント、後編

あのプロジェクトはどうやって生まれたんだろう? デザイナーはどんな思いで、なぜその「もの」や「こと」をつくったのか?

近年、デザイナー/クリエイター自らが仕掛けた、ものづくりやことづくりの話題を耳にする事が増えました。オリジナルのプロダクトブランドから地域で開催するイベント、さらにはカフェやコワーキングスペースのような「場」をつくるなど…そんな話題を知るたびに、むくむくと好奇心が湧いてきます。

ならば、おもしろい取り組みをしているデザイナーたち本人に訊く機会をつくろうではないか! ということで5月28日、FabCafeとの共同企画「Make it Yourself Meetup Vol.1〜作業台は空飛ぶ絨毯〜」を開催しました。

プロダクトに関わるユニークなプロジェクトを手がけた4組のデザイナー。その多様な仕事、働き方を知ることになりました。ここではライトニングトークを中心に、イベントの様子をレポートします!

▲イベントでは、ブラザー工業の最新プリントマシン「テープクリエーター・プロ TP-M5000N」体験コーナーや、ローランドDGのUVプリンター「LEF-20」紹介ブースも登場。ものづくりに関心のある人たちで賑わっていました。

日本のものづくり技術を込めたマシンメイドアクセサリー ―大友学さん

インテリアプロダクトや生活雑貨を中心にデザインしてきた、studio inc. 大友学さんが立ち上げたアクセサリーブランド「INSTANT JEWEL」の背景を語っていただきました。

INSTANT JEWELは、雑貨などの企画・販売をしている株式会社元林と、ファッションディストリビューター/ショップのパノラマとのコラボレーションによって生まれたブランです。その特徴は、

・完全マシンメイド、つまり「手作り」じゃない。 ・ポリプロピレンやポリカーボネート、シリコンなどの工業的な素材が主な材質で、高価な宝石などは使わない。 ・ユーザーがパーツを選択し、自由に組み合わせできる。

製品を構成するパーツも手軽な価格で追加購入でき、使い手自身でカスタマイズを楽しめます。

今回、大友さんは「INSTANT JEWEL」の始まりともいえる、一番初めの企画内容を紹介してくれました。

「企画とは、企(くわだ)てのすべてを画(か)きおこすもの」

その言葉の通り、企画書には消費者動向から海外展開、コラボレーション戦略を含むプロジェクトのロードマップや3Dで描き起こした精密な商品イメージなど、厚く厚く内容が盛り込まれていました。

「INSTANT JEWEL」のプラスチックパーツの多くは射出成形機(しゃしゅつせいけいき)と呼ばれる機械を使います。0.01mm以下の寸法精度を保ちながらプロダクトを複製できる射出成形技術ですが、あたらしい金型をつくるには数百万円程度のコストがかかります。

大友さんはパートナーとなる企業を説得するために「マシンにしかできないこと」を前提として、付加価値の高いアクセサリーを継続的に数多く販売していける仕組みを提案したのです。

「裏テーマは日本のものづくり。今、国内で工場がどんどんなくなっている中で、優れたものづくりの技術を残していきたいと思った」

今後、新シリーズの登場も予定している「INSTANT JEWEL」。海外のトレードショーへの出展も予定しており、これからの展開が楽しみです。

世界を旅したオープンデザインスリッパ―KULUSKA

最後に登場したのはものづくりユニットKULUSKA(クルスカ)の藤本直紀さん、藤本あやさんです。

ふたりは、国内外をワークショップしながら旅をする「旅するデザインOpen Design Project」に取り組んでいます。さまざまな人と出会い・つながることで成長してきた同プロジェクトの、これまでのあゆみを紹介してくれました。

これは、レーザーカッターとハンドメイドを組み合わせて製作するレザースリッパ。

現在、クリエイティブ・コモンズ・ライセンスを付けた状態で展開図が公開されているため、だれでもデータをダウンロードし、デザインを改変しながらスリッパをつくれます。

レザースリッパのデザインデータは、レーザーカッターや3Dプリンターなどのデジタル工作マシンを有する世界的な市民工房のネットワーク・FabLabを通じて世界へ旅立ち、さまざまな物語を生み出しました。

はじまりは、世界のFabLabを旅していた青年・イェンス・ディビックを通じて、ケニアのFabLab AFROのメンバーから届いたメール。FabLabの運営資金をつくるために、観光客向けのおみやげとしてスリッパを作って販売したいという相談でした。

KULUSKAがスリッパの展開図のデータをオープンライセンスで提供した3日後には、ケニアの人々は様々なデザインのスリッパを作り始めました。海を越えて、スリッパのデータが旅をした瞬間でした。

この地球の裏側での出来事をきっかけに、KULUSKAは「旅するデザイン」のワークショップをはじめました。日本全国を回りながら、あらゆる人々がものづくりを体験するための場を作ることにしたのです。これまで山口、広島、名古屋、岐阜、仙台など全国のクリエイティブ・スペースでワークショップを実施しました。

2014年、グローバルFabアワードにオープンデザインスリッパがノミネートされたことをきっかけに、今度はKULUSKAのふたりが世界のFabLabやものづくりの現場を旅することに。

旅を通じて気づいたことは、たとえ自分たちが外国語を話せなくても、ものづくりそのものが共通言語になるということ。世界中の人々と「もの」を介して意思疎通ができたことが、ふたりにとって大きな自信につながりました。

これまで「旅するデザイン」プロジェクトを通じて、100足以上のスリッパが誕生しました。

「クルスカがすごいものをつくったのではなく、ひとつのデザインを起点に世界中の方々がものづくりをはじめている。それが、オープンデザインの面白いところです。今もわたしたちの知らないところで、あたらしいスリッパとそれを作る人の物語が生まれ続けています」(あやさん)

世界を舞台にオープンデザインの可能性を追求しているKULUSKAのふたり。今年の夏、これまでのプロジェクトの記録をまとめた映画が完成予定です。映画では、二人が世界で目の当たりにした、オープンデザインによる「新しいものづくりの姿」が見れるはずです。

やりたい仕事は、自分でデザインする

「クリエイティブ」と言われるプロジェクトを手がける人々を見ていると、まるで運命に導かれるかのように華麗に仕事をしているように見えます。

しかし、実際に4組のデザイナーの話を聞いてみると、きっかけや動機はそれぞれ違えど、全員が自らのつくりたいもの・やりたいことを仕事にするためにさまざまな人と関わりながら、しかるべきタイミングに勇気を持ってチャンスをつかんでいたことが分かります。

イベントのテーマは「作業台は空飛ぶ絨毯」でしたが、彼らは魔法によってではなく、

・ものづくりに対するたゆまない情熱と探求 ・出会いをチャンスに変える人間力 ・自らの責任で行動し、人を巻き込む勇気

この3つの素質によって空を飛んでいるのではないか…そんなことを感じました。

Make it Yourself Meetupでは、これからも自分らしくしなやかに生きるデザイナー/クリエイターの仕事や活動に注目し、紹介していきます! 次回もおたのしみに。

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