BLOG

まきコンペ・正林泰誠/#AMGC Vol.13

2026/01/21(水)

#AMGC

企業・自治体・クリエイターが共に多様なテーマに取り組むための公募・共創プラットフォーム「AWRD(アワード)」の連載シリーズ「AWRD meets GLOBAL CREATORS」( #AMGC )。
「新たな感性」をテーマに、デザイン、アート、ビジネスなど、さまざまな分野で活躍する世界の気鋭の挑戦者にスポットをあて、創作や活動、公募の価値、その国ならではのカルチャーに触れていきます。

今回ご登場いただくのは、地域に眠る「もったいない場所」を起点に、アイデアと実践をつなぐ共創型コンペ「まきコンペ」を主宰する 正林泰誠 さん。

公共空間や未活用地など、専門家だけで完結しがちな従来のコンペの枠を超え、地域の人々を巻き込みながら「提案で終わらない」実装までを見据えた取り組みを各地で展開しています。

問いを立て、場が立ち上がっていくプロセスそのものをデザインする、その思想と実践に迫ります。

ー まきコンペを始めたきっかけは何ですか?なぜ“地域のもったいない場所”や“公共空間の未活用地”をテーマにしたアイデアコンペを志したのでしょうか。

私はこれまで、地域の方との対話を重ねながら研究や実践を行ってきました。その中で頻繁に聞かれたのが、「この場所、もっと使われたらいいのに」という率直な声です。ポテンシャルがあるのに活かされていない場所は全国に数多く存在します。そうした“もったいない場所”に新たな視点を投げ込み、地域を思わず動かしてしまうきっかけとして、アイデアコンペという手法を選びました。まきコンペは、場所が地域の起爆剤になる可能性を信じて立ち上げた取り組みです。


ー 従来の建築や都市計画のコンペやプロジェクトと、まきコンペはどのように異なると思いますか?

従来の建築や都市計画のコンペは、専門家の中で完結するものが多かったように思います。一方で、コンペというプロセスは本来、もっと社会を動かす力を持っているはずです。まきコンペでは、専門性や立場を一旦フラットにし、地域の人も含めて議論できる場をつくります。具体的な「形」が提示されることで対話が生まれ、地域を巻き込む力が立ち上がる。その点が大きな違いだと考えています。


ー まきコンペでは今までどのようなアイデアが集まり実現化されていらっしゃいますか?

初開催となった千葉県館山市では、消防団詰所を対象にまきコンペを行いました。詰所を地域の拠点として再解釈する提案や、消防車庫と待機場所を分離し、広場を生み出す計画、美術展示ができる詰所の提案など、多様なアイデアが集まりました。実際に消防団員の方々が提案を参考に動線計画を見直したり、広場でラジオ体操を行ったり、高校生の作品を展示したりと、提案を起点に主体的な実践が生まれています。

ー まきコンペでは「提案で終わらず、実装まで見据える」ことを重視しています。これまでの実例で、「アイデア → 実践」に踏み出せたプロセスや、その時に直面したハードルはどのようなものがありましたか?

館山市では25組、鳥羽市では78組の応募がありましたが、実装に進むのは、何度も地域に足を運び、地域の一員として関わった提案者が多い印象です。実装には地域の受容と主体性が欠かせません。提案者の熱量に動かされる人は一定数いますが、それを地域全体へ広げることは容易ではありません。また、既存のルールや慣習を崩すことへの抵抗も大きなハードルです。その調整をどう乗り越えるかが鍵になります。

ー 千葉・館山、三重・鳥羽、現在の東京・北区エリアでの展開など、すでに複数地域での試みがありますが、今後どのように全国展開やスケールアップを考えていますか?

これまでのまきコンペは、地域からの声をきっかけに開催してきました。今年は、その声を拾い上げ、誰でもどこでも開催できるプラットフォームを立ち上げています。今後数年は、そこで挙がった地域を順に実施していく計画です。また、JR貨物やJR東日本など企業との連携も始まっており、全国の遊休地を対象とした展開も構想しています。将来的には開催数を絞りつつ、運営モデルの確立を目指します。

ー 正林さんにとって、「問いを立てる」「場をつくる」こととはどういう意味がありますか?

私は自分を、地域を渡り歩く“鳥”のような立場だと捉えています。関わり続けながらも、常に俯瞰して状況を見る。その視点があるからこそ、地域の内側にいると立てにくい「問い」を提示できると考えています。また、場は意図的につくるものというより、自然に立ち上がるものだと思っています。水面に浮かぶ泡のように生まれる場を、風を起こして連鎖させる。その仕掛けをつくるのが私の役割です。

地元の高校生から生まれた美術館


ー今後チャレンジしたいことなどありましたら教えてください。

全国に眠る“もったいない場所”そのものを持ち寄り、ポテンシャルを競い合う「まきコンペAWARD」の開催を構想しています。どれだけ地域を巻き込める可能性がある場所かを評価軸にすることで、これまでにない視点で地域の空間を捉え直せるはずです。この動きを通じて、“もったいない場所”が次々と発掘され、全国的なうねりへと広がっていくことを目指しています。

正林泰誠
1998年東京都北区生まれ。現在、東京大学大学院博士課程に在籍。2024年11月に立ち上げた一般社団法人まちあそびラボ代表理事を務める。離島や半島端に位置する漁村集落をフィールドに研究・活動中。地方各地を拠点にすることを武器に、地域での対話を重視した建築アイデアコンペを館山市や鳥羽市で企画している。

Links

Instagram:https://www.instagram.com/makicompe/

Website:https://makicompe.com/





編集:AWRD編集部

Related Posts

前へ