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FARMBOARD 看板農場

その他
Billboard → Greenhouse → Urban Farm

本提案「FARMBOARD」では、使われなくなった屋上広告看板を、小規模な都市農場・温室へと変異させる。

都市の屋上看板は、かつて「情報」や「消費」を象徴する装置だった。しかし近年、デジタル広告への移行、景観規制、維持費の問題などによって、多くの大型広告看板が役割を失い始めている。現在の都市には、広告面だけが消え、鉄骨構造のみが残された“空白の看板”が数多く存在している。

本提案では、その使われなくなった広告インフラを「絶滅危惧空間」として捉える。

まず、既存の広告看板の骨格を保存し、広告面のみを撤去する。その構造体を、強化ガラス、強化アクリル、あるいはビニールハウス素材などの半透明素材で覆い、小規模な温室・都市農場として再利用する。内部には植物、灌水設備、配管、小型の栽培棚などを設置し、都市の中に小さな生態系を形成する。

従来の看板は、「瞬時に情報を消費させるための装置」だった。一方、FARMBOARDでは、その構造体を「時間をかけて植物を育てる環境装置」へ反転させる。

看板は、もはや広告を表示しない。
植物、湿度、光、成長、季節の変化を可視化する。

昼間は自然光を透過し、夜間には内部照明によって植物のシルエットが都市に浮かび上がる。かつて都市に消費を促していた巨大な構造物が、今度は都市の気候や生態を映し出す装置となる。

さらに本提案では、「広告スポンサー」の概念も転換する。

従来、ブランドロゴや商品広告が表示されていた場所には、植物種や環境データが表示される。例えば、

* Coca-Cola → Tomato Section
* NIKE → Herb Garden
* GUCCI → Medicinal Plants

のように、企業は広告主ではなく、“都市生態系のスポンサー”として関与する。

これは単なる反広告ではない。広告が担っていた「都市の可視化機能」を、生態系や環境へ接続し直す提案である。

また、看板上には売上や商品情報ではなく、

* CO₂削減量
* 温度低下
* 雨水利用量
* 成長速度
* 収穫量

などの環境指標が表示される。

つまり本提案は、

「消費のためのインフラ」を、
「生態のためのインフラ」へ変異させる試みである。

現代都市では、不要になった構造物は撤去され、更地化されることが多い。しかしFARMBOARDでは、「壊す」のではなく、「別の役割へ変異させる」という方法を取る。

広告看板という20世紀的な消費装置を、21世紀的な環境装置へ転換することで、都市に残された巨大な空白へ、新しい時間と役割を与えたい。

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