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どの絶滅危惧空間を扱うのか(300文字以内)
対象は立ち食いそば店。
駅構内や高架下に存在する立ち食いそば店は、日本の通勤文化とともに発展してきた。しかし駅の再開発や利用者層の変化により、その数は徐々に減少している。
立ち食いそば店は単なる飲食店ではなく、短時間で食事を済ませるための都市インフラであり、日本特有の食空間でもある。
本提案は、立ち食いそば店を訪れる訪日外国人が、その空間へ自然に参加できるための道具を提案する。 -
なぜその絶滅危惧空間を扱うのか(600文字以内)
立ち食いそば店は、日本の都市生活を象徴する空間である。
通勤客が数分で食事を済ませ、次の目的地へ向かう。その速度や身体感覚も含めて、立ち食いそば店の文化は成立している。
しかし訪日外国人が増加する一方で、箸に慣れていない人にとって立ち食いそば店は入りづらい場所でもある。食べ方が分からなければ利用をためらい、結果として日本独自の食文化に触れる機会を失ってしまう。
立ち食いそば店が失われる理由は店舗数の減少だけではない。利用者が固定化し、新しい参加者を受け入れられなくなることも衰退の一因である。
そこで本提案では、空間そのものを変えるのではなく、食べるための道具を変えることで新しい利用者を受け入れる方法を考えた。
すすりレンゲは、立ち食いそば店の既存客を変えるための道具ではない。これまで参加できなかった人を空間へ招き入れるための入口である。 -
どのようにその絶滅危惧空間を変異させるのか(1200文字以内)
すすりレンゲは、そばやうどんを食べるための専用レンゲである。
白い強化磁器製のレンゲの縁に、麺を引っ掛けるための緩やかな凹凸を設けている。利用者は麺を凹部に引っ掛けて持ち上げ、そのまま口へ運ぶことができる。レンゲ本来の機能である「すくう」と、新たな機能である「引っ掛ける」を一つの道具に統合した。
重要なのは、外国人向けの特別な器具として見せないことである。
すすりレンゲは、立ち食いそば店に元々置かれていても違和感のない白いレンゲとして存在する。箸を使う人は箸を使い、使えない人はすすりレンゲを選ぶ。店員による特別な説明や設備投資も必要ない。
本提案が変異させるのは、立ち食いそば店の建築やサービスではなく、その参加条件である。
これまで箸文化を前提としていた空間に、別の身体の入口を追加する。
立ち食いそば店は、日本人だけの高速な食事空間から、多様な人々が同じ場所を共有できる食空間へと変化する。
すすりレンゲは、立ち食いそば店を観光地化するための道具ではない。日本の日常に存在する食文化へ、より多くの人が自然に参加するための装置である。
絶滅危惧空間を守るためには、空間を保存するだけでは足りない。新しい利用者を受け入れるための小さな変異が必要である。すすりレンゲは、そのための最小限の変化である。
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すすりレンゲ Susuri Renge
立ち食いそば屋のための新しいカトラリー。
駅前で新たに立ってそばを食べるサラリーマンや学生は、今後大きく増えないかもしれない。しかし訪日外国人は増え続けている。
すすりレンゲは、麺を引っ掛けて持ち上げ、出汁を飲むことができる、そば・うどん専用のレンゲである。箸が使えなくても、立ち食いそば屋の食文化に自然に参加できる。
駅前で新たに立ってそばを食べるサラリーマンや学生は、今後大きく増えないかもしれない。しかし訪日外国人は増え続けている。
すすりレンゲは、麺を引っ掛けて持ち上げ、出汁を飲むことができる、そば・うどん専用のレンゲである。箸が使えなくても、立ち食いそば屋の食文化に自然に参加できる。
