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Interview:J-Startupロゴデザインはこれまでの思考のプロセスの集大成だった/グラフィックデザイナー滝澤大地

2018/08/27(月)

インタビュー

経済産業省が主催するプログラム「J-Startup」の ロゴデザインアワードのグランプリに輝いた滝澤大地さんへのインタビュー。

数々のデザインコンペに参加してきたなかで、今回のロゴデザインは応募の段階からこれまでにない自信を感じていたそうです。そんな彼の言葉から見えてくるのは、現状に甘んじず常にチャレンジし続ける挑戦者の姿でした。

どこでも通用するようになりたい。アワードは自分の力試しの場

ーJ-Startupのロゴデザインですが、ファーストアイデアは何からインスピレーションを受けましたか?

コンペは意図を引き出す相手がいません。公式サイトやAWRDに乗っている情報が全てだったので、どれだけ必要な情報を読み取れるかサイトを相当読み込みました。

「なにを伝えるか」をすごく探していました。結果、ここでは「世界に革新を提供する」と「ブームからカルチャーへ」というキーワードを一番大きく打ち出していると気づいたんです。この2つの言葉とJ-startupの役割から「未来を拓く、羅針盤」というコンセプトを打ち出し、デザインを組み立てていきました。

(商標登録出願中)未来を拓く羅針盤

コンセプト:「J ship」と名付けたシンボルマークは、①羅針盤の針②海外に進出する船③J-Startupの「J」をモチーフに作成。
カラーは日本・革新を象徴する赤を使用し、「日本発のベンチャー企業が様々な航路(サービス・プロダクト)で海外に進出する」様を表しています。
ロゴタイプは銅版印刷時代の文字から生まれたフォントであるCopperplateをベースにアレンジ。人類に知識革命を起こし、欠かせない技術となった「印刷」に馴染み深いフォントを使用することで、新しいものが文化として受け入れられる「ブームからカルチャーへ」というJ-Startupの想いを表しました。
以上2点を合わせ、ロゴマークで革新と伝統を表現しています。

ーモチーフとなるコンパスは2つのキーワードからきたものだったんですね。

はい。最初は日の丸やサイトにあった赤から青のグラデーションを日の丸に当て込んでみたり試行錯誤していました。

ふと「世界に飛び出す」というワードを見た時に、船がいいんじゃないかと閃きました。ラフも描いてみたのですが、それだと結構普通になってしまうなーと悩んでいました。

そこで要素を船のパーツに絞ってみたんです。舵や帆など、どんどん細分化していくなかで、コンパスの針になったんですね。そこからパターンを出している時にコンパスの針の左側をカットしてみました。すると、その部分が反射して色が飛んでいるように見えたんです。

これは面白いなと思い、モチーフが決まりました。色は「革新」と「日本」をイメージさせる赤にしてこのデザインで進めることにしました。

ーデザインの時間はどのくらいかけました?

アワード自体の募集期間が2週間くらいとあまり時間がなかったので、デザインの時間は10時間くらいですね。それ以外は、ずっと思考することに徹してました。

ー参加されてみてどうでしたか?

受賞できて嬉しかったのはもちろんですが、ロゴのガイドラインや細かい詰めの部分を体験できたのは貴重でした。選ばれないと経験できないことなので。そういう経験を積めたのはよかったです。

ーデザイン公募にはよく参加されるのですか?

はい。広告やパッケージデザインなど、いろいろ参加してました。デザイナーとしてやっていくなら賞は取りたいと自然に思っていたんです。

デザイナーとして、どこへ行っても通用するようになりたいという気持ちがありました。それって自分に力がないと実現できないじゃないですか。第三者に認められることは重要だと思っています。

ー受賞されて間もないとは思うのですが、環境や心の変化はありましたか?

実を言うと、作品が選ばれる自信は結構あったんです。最終選考に進んだ時に事務局の方から連絡をいただいたときは、あとちょっとだと思いました。最終的にグランプリの連絡をいただいた時はガッツポーツしましたね。

あとは前よりも自信がついたのは間違いないです。私は美大で専門的にデザインを学んだり、デザイン事務所も経由していなんです。なので本当に自分のデザインが通用するのか、これでいいのかという不安やコンプレックスを抱えていました。

その不安が賞を取ることによって、やっていけるぞ、という自信へ繋がるきっかけになりました。個人的にもとっても重要な出来事だったんです。

ー 作品が選ばれる自信があったというのは面白いですね。

もちろん、これまで参加してきたアワードも全力で取り組んでいたんですよ。ただ、「本当にこれでいいのだろうか」という迷いが残ってしまうことが多かったです。

今回は、制作時間は一番少なかったんですけど、伝える情報を絞ることと、それを表現するデザインが一番うまくいったんです。

コンプレックスをばねに、常に挑戦し続ける。ひとつひとつ、自分の課題を自らの意志と力で越えていく姿勢

グラフィックデザイナー滝澤大地

ーデザイナーを目指すきっかけを教えてください。

もともと絵を描くのが好きだったんです。ファイナルファンタジーとか大好きで、あのような世界観を作りたいと思って趣味で描いてました。

好きなことを仕事にできたら楽しいなと思ったんですが、高校生の時は一般大学へ進もうと思っていました。でも浪人時代に改めて自分の好きなデザインの道に進みたいと、進路変更をしたんです。

突然の進路変更は親と揉めましたね。。笑
最終的に「賛成はしないけど応援はする」という形で認めてもらえました。

でも今回の受賞ですごく喜んでもらえて、あの時反対してた親にやっと恩返しできたかなと思います。

社会課題を解決する。デザインを通して見えてきたこと

ー学芸大学を卒業されてからもデザインの専門学校へ通われてますよね。

学芸大学ではデザインを専攻してましたが、もともと教員の養成をメインにした大学なので、カリキュラムもそちらよりでした。なので美大ほど専門でやってきたという訳でもありません。

このコンプレックスを払拭するためにも、就職後も現役のアートディレクターが講座を持つバンタンデザイン研究所を見つけ、週に1回を1年間通いました。そこを修了した年に宣伝会議が主催しているアートディレクター養成講座に通いました。

ー印象的な授業を教えてください。

アートディレクター養成講座の最終課題で、ドラフトの宮田識さんが講師で、出身地の問題をデザインで解決するという課題が出されました。

私は地元が長野県・松本市なので帰省し市役所に出向き、ヒアリングやリサーチを重ねて見えてくる問題に向き合いました。そこからデザインと通した解決策を提案しました。

それがこちらの作品です。

<信州天然鹿 鹿の(かの)>

ブランドコンセプトは「森をはぐくむ贈りもの」。緑をテーマカラーとし、鹿肉が「森からの贈りもの」であることを表すようなパッケージとした。

コメント:
農林被害対策として年間3万頭の鹿を狩猟する長野県。鹿肉はその内の5%しか流通しておらず「命を捨てている」状態だった。解決策として、鹿肉を販売し現状を伝える役割を担うアンテナショップのツールを制作。鹿肉を「森からの贈り物」と定義し、それを食べることが、狩猟の雇用安定や林業の発展を促し、森をはぐくむことに繋がると打ち出した。「課題発見」の重要性と「社会課題解決」の面白さに気づくきっかけとなった作品。


この体験から「問題を発見すること」の面白さと「社会問題でさえもデザインで解決することができる」ということに気づいたんです。

ー ほかにも、これまで手がけた作品を見せていただけますか?

これは仕事で関わっている、教育商材のデザイン事例です。

天綴じで構成し、「上から下へのフロー」を明確にしつつ、他の教材との差別化を図った。 テキスト量を最小限に留め、ビジュアルから発想を広げるようデザインしたテキスト。

コメント:
今、予想されている未来を把握し、課題解決力を初めとする「これからの時代に求められる力」を身につけるためのテキスト。実際に自分の力で身の回りから課題を発見し、自分でアイデアを出し、自分の力で実現させるための方法を生み出すフローを、ワークを通じて体験する。中学・高校・大学・塾に直販を行い、2年で100校以上に導入されている。

ー デザインのために日頃からおこなっているトレーニングはありますか?

デザインにまつわる本はよく読んでます。佐藤可士和さんや佐野研二郎さん、水野学さんなどのアートディレクターによる書籍が多いです。読んでいて表現の訓練というより、思考のプロセスの訓練にすごくなるんです。その成果が今回のデザインで一番顕著に出たんじゃないかな。

ー本から学ぶことってありますよね。

すごくありますね。私は佐藤可士和さんが好きなんですけど、彼の書いた『超整理術』という本は、よく読み返します。内容としては、たくさんある情報を整理し、選び、抜き出し、磨くという過程なのですが、最初にそれを読んだ時に、目から鱗というか、なるほどこういう風に考えればいいんだ!と腑に落ちたんですね。

それ以来、考え方に1本軸が通りました。バンタンデザイン研究所に行ったのも、自分の軸が正しいかを現役のアートディレクターに作品を通して確かめたかったというのがあります。

ー今後 挑戦したいものや、やりたいことがありましたらお聞かせください。

広告系の賞を取りたいという願望はあります。まだそちらで結果を残してはいないので挑戦したいという思いは強いです。

ーこれからのチャレンジャーに向けて、コンペに応募するときのアドバイスやメッセージをお願いします。

「瞬間的に伝わるデザインをつくる」ということです。審査をする側は膨大な量を見るはずなので、1案にかける時間は数秒だと思います。なので、いかにわずかな時間で伝えられるかを意識した方がいいと思います。

そのために「コンセプトを明確にすること」「見る側が一瞬でそれを感じ取れるデザインにすること」が重要だと考えています。


プロフィール

滝澤大地
1985年生まれ。東京学芸大学 美術専攻 卒業。 デザイン事務所、化粧品メーカーのインハウスを経て2015年より株式会社エナジードに参画、グラフィック・エディトリアル・SP等デザイン全般を担当する。URL:https://awrd.com/creatives/user/2910006


【関連サイト】

■J-Startup公式サイト:https://www.j-startup.go.jp/

■J-Startupアワード詳細:https://awrd.com/award/jstartup

■J-Startup結果発表レポート:https://awrd.com/blog/2018/8/repo-jstartup


Written by

reiko shinohara

AWRD編集部 / PR、ライター

デザイン、アート、ライフスタイルにまつわる分野でライティング、コミュニケーション活動を行う。 群馬県富岡市出身、O型、うお座、動物占いは ひつじ。

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