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【開催レポ】世界24カ国から集結!未来を変えるマスクとは?「Mask Design Challenge 2020」表彰イベント

2020/05/28(木)

レポート

2020年5月23日、「Mask Design Challenge 2020」表彰イベンがFabCafe MTRLで開催されました。世界ではCOVID-19(新型コロナウイルス)の影響により、「マスク不足」が社会問題となりました。本アワードでは、日々「必需品」となっていくマスクをテーマに、機能性に優れたものから、思わず装着したくなるようなスタイリッシュなものまで、あらゆるタイプのマスクアイデアをグローバルに募集。なんと、世界24カ国から220点以上もの作品が集まりました。厳選なる審査の上どんな作品が選ばれたのでしょう?今回、ライブストリーミングで配信された表彰式と「未来のマスク」のプロトタイプお披露目の様子をレポートします!

■アワード情報
「Mask Design Challenge 2020」
期間:2020年3月17日〜4月9日
https://awrd.com/award/mask-design-challenge/result/

世界中で考えた「未来のマスクアイデア」228点。気になるアイテムをピックアップ

イベントのオープニング挨拶。MC担当(左)AWRDスタッフの添田奈那、(右)ロフトワーク 髙 恒奈。

「Mask Design Challenge 2020」は、FabCafe Globalが立ち上げたプロジェクトの1つです。世界中でマスクの存在価値が急上昇する出来事が続いていなか、クリエイティブの力によって今の課題に向きあうべく、日本で初めてマスクを製造したマスクメーカー株式会社 白鳩をスポンサーに迎え、日々「必需品」になっていく「マスク」のアイデアを募集しました。

株式会社白鳩
白鳩は、日本で初めて一般用マスクを開発したメーカーです。製品の利便性や耐久性のみに拘ったモノづくりではなく、使用する人の目線に立ったモノづくりを心がけ、製品や縫製技術を通じて関わるすべての人に気持ちよく、うれしく感じてもらえるモノづくりを提供しています。
Website:https://www.shirohato-net.com/

受賞作品の発表を前に、MC担当の2人が総勢228点の中から気になる作品をピックアップ!

応募作品はこちらからご覧いただけます。

髙:私はMASK CUTTERやな。これはもうセロハンテープを使ったことがる人だったらすぐに使い方分かりますよね。そいう意味で、affordanceがうまく使われているなと思いました。

添田:私はThe AVO Mask!マスクの部分にアボカドをつけてくるというアイデアが斬新だなと思いました。アボカドの種の部分がマスクのフィルターになっているところも、マスクとして機能しており上手だなと思いました。

受賞作品以外にも、惜しくも受賞を逃した作品たちのレベルの高さが伺えます。

世界中が注目した、受賞作品とは!?

今回のアワードでは、以下6つの賞を設けて作品を募集ました。

・FabCafeによる、fabcafe賞
4名の各審査員から贈る、審査員賞
スポンサーの株式会社白鳩から贈る、白鳩賞
「審査員賞」と「白鳩賞」に選ばれた作品は、株式会社白鳩と共に試作品の制作を行いました。

メインイベントである表彰式を前に「審査員」、「受賞者」が登場。審査員の「Dr. Kenneth Kwong Si-san」と「Pichit Virankabutra」、「Maibelle Lin」は都合によりイベント参加が難しかったため、コメントで参加いただいています。以下、参加いただいた審査員のご紹介です。

株式会社白鳩 開発営業部 寺澤氏。70年の歴史を持つマスクのパイオニアとしての自負と、これからも正しいマスクを届けようという信念の中でご参加いただいた。
大村卓氏/プロダクトデザイナー。本来マスクをするのが苦手という大村さん。しかし、コロナの流行によりマスクをせざるを得ない状況の中で、どのようなマスクなら付けたくなるかコンペに期待をお寄せいただき審査員として参加。
FabCafeTokyo CTO金岡大輝。主催でもあるFabCafeでは、クリエイティブの力でどのような作品ができるのかを見たくてAWRDと共に開催。

それではいよいよ、受賞作品のご紹介です。まずは、FabCafe賞からスタート!

FabCafe賞

タイトル:MojiMask
Creator:
Kristin Q. Wang & Felix E. Klee
コンセプト:
コミュニケーションにおける誤解を避けるために、マスクをつけていても人の表情を表示することを目的とした作品。マスクをつけていても、マスクの向こう側の人の表情が、絵文字で表示。マスクの外側にある小さなディスプレイと、マスクの内側にある顔の表情を検出するための電子回路の2つの部分から構成されていて、ディスプレイには「笑顔」「真顔」「しかめっ面」の、いずれかの絵文字が表示される。

(右)中国出身のKristinと(左)ドイツ出身のFelix。イノベーションとデザインに興味があるKristinと香港のDim Sum Labsというハッカースペースでアートとテクノロジーの分野を研究しているFelix。現在、香港在住。

Kristin Q. Wang & Felix E. Klee:世界中のアイデアを共有することは、グローバルコミュニティの感覚を生み出す素晴らしいアイデアだと思います。私たち自身のデザインについては、まず少量を作成し、一般からの反応を見たいと思います。

金岡:もはやマスクというか、コミュニケーションのデバイスとしてマスクを捉えた点を評価しました。また、大きくテクノロジーを注入するのではなく、既存のマスクにもラフに取り付けられるような、いい意味でプロダクト感のない、あり合わせのもので作った感があるのだけどもシンプルに機能をみたしている点がクールです。

続いて、各審査員賞の発表です。まずは大村卓氏からの審査員賞。

審査員賞:大村賞

タイトル:Mask cutter
Creator:YUKARI KOJIMA
コンセプト:
使いたい分だけテープのようにカットして作れる「マスクカッター」。不織布ロールの裏面両サイドには肌に優しい素材の粘着テープが付いていて、折り方によって肌とマスクを密着させた付け方と、密着させない付け方が選べる。さらに、ご家庭やオフィスで、シーンや用途に合わせて自分好みのマスクをカスタマイズで作ることができるというアイデア。ドラックストアなどでロールの部分が香りがついていたり、デザインが入っていたり、模様が入っていたりいろんな種類があって好みに合わせてチョイスできるようになると、さらに選べる楽しさやカスタマイズの楽しみが広がりそう。

児島ゆかり。石川県金沢市でフリーランスとして広告デザインを行っている。住宅設備機器や電気設備のパンフレットやイラストを手掛けている。審査員の大村さんのツイッターから流れてきた公募情報を知り参加。

児島ゆかり氏:デザインは不便なものや使い難いものを使いやすく、快適にするという力が込められていると思います。今、世界的に何かと不自由なことだったり不便なことが続いていますが、それをデザインの力で少しでも快適に楽しくなるようにしていけたらいいなと思っています。この度はありがとうございました!

大村卓氏/プロダクトデザイナー(以下、大村氏):マスクはサイズごとに売られているけど、これは使う人によってサイズ感を調整できるのがいいと思いました。うちは5人家族なので男性・女性・子供サイズといろいろなサイズを用意しないといけないのが、地味に面倒くさくて。これは必要なぶんだけ使えるので、自分の状況にも合っていてグッときました。マスクを提供する仕組みまでを取りこんでデザインされている点もいいですね。

「Mask cutter」の試作品は、児島さんのアイデアを元に株式会社白鳩がデザインをアレンジして制作。

株式会社白鳩 開発営業部 寺澤氏(以下、 寺澤氏):ロールの幅や、プリーツ加工を施すべきか、ロールに鼻を塞ぐためのワイヤーを入れるべきなのかなど、マスクとして市販していく中での商業的な課題をクリアしていかなくてはいけないという問題も出てくるかと思うのですが、アイデアはとても優れていると思います。ケースに関しては、自動的に長さが切り取れたり、機能性を持たせることにより、マスクとは別の部分でのプロダクトとしても成立するということが面白いですね。

次はMaibelle氏, Kenneth氏のダブル審査員賞に選ばれた作品の発表です。


審査員賞:Maibelle、 Kenneth賞

タイトル:Origami Beak mask
Creator:
Gozen Am
Twitterアカウント:
午前アム(覆面アーティスト)@pepeperari
折り紙の鶴の折り方から生まれた、鳥の"くちばし"のような形をしたマスクです。マスク特有の息苦しさを解消した、鼻に圧迫感のないデザインになっている。さらに美しいシルエットと、呼吸がしやすいように口元の空間を確保しながら顔にフィットする形を作るため、折り紙の「鶴の折り方」の一部をヒントにしているそう。作る工程もシンプルで、このマスクは紙でも布でも立体的に作れるアイデアになっている。

自己紹介:幼い頃から覆面に魅かれ、顔を覆うものを中心に制作活動を行う。オペラや能楽師の方とのコラボを行うなど、覆面の現象やその魅力を探る作品を作っている。

登場シーンでも本人の別の覆面作品で登場。1枚の紙からできており、扇子のように折りたためることができるそう。登場と共に、YouTubeのコメント欄に「素敵!」「どう作っているの!?」と、ざわめきのコメントがポストされていました。

受賞作品の「Origami Beak mask」。アニメの横顔のようなシルエットになるのも特徴。

Gozen Am氏:覆面アーティストとして、この世界的な問題とマスクの関心が高まる中で、自分のスキルや経験を世界に役立てたいと思い参加しました。このアワードは他の方の作品も見れるので、とても刺激になりました。今後は、商品化に向けて引き続き活動を続けていきます。

今回残念ながらイベントに参加できなかった審査員二人からのテキストコメントをご紹介します。

Maibelle氏:日本の折り紙と現代のマスクデザイン技術の完璧さとが融合している。折り紙や鳥のくちばしからインスピレーションを得た形状と、快適さと美しさを提供してくれる部分が気に入っています。また、口と鼻の周りに余裕を持たせることで、息苦しさを感じさせないマスクになっています。伝統的な和紙をマスクのデザインに用いることで、何気ない日常を明るくしてくれるような優美さと深い印象を与えてくれます。COVID-19のパンデミックのような困難な状況下でも、世界中の人々が自分たちでDIYできることで、マスク不足を克服する力を与えてくれます。

Kenneth氏:マスク内部に大きな空気空間があり、大面積のフィルターに空気を通すことで非常に高い通気性を保つことができています。さらにA,B,Cタイプと異なったマスクの結束 (unity)方法があり、非常に実現可能なデザインになっています。Aタイプは医療、従事者に最適で、Cタイプは子供に最適です。折り紙をベースにした非常にエレガントなデザインでありながら、とても高い通気性を持っています。しかも縫製が非常に簡単です。改善点としては、鼻のカバー力を高めるために、上端にプラスチックストリップや金属ストリップを挿入すると良いです。鼻とマスクの隙間からの空気漏れが少なくなります。

マスクの主流である不織布でつくられた試作品。非常に設計がしっかりとしていたので試作がしやすかったと寺澤さん。

寺澤氏:素材選びがポイントになると思いました。紙でも布でも作れる構想でやられていましたが、面積が大きければ大きいほど捕集面積が高いので、口の周りの空気もれを少なくするかを考えていけば、より機能性の高いマスクになるになると考えています。布バージョンも作ってみましたが、こちらは繰り返し使えて、尚且つ捕集機能もあるサスティナブルなマスクにも転用していけると感心しました。

そしていよいよクライマックス、こちらも審査員の「Pichit賞」と協賛「白鳩賞」のダブル受賞の発表です。

審査員賞:Pichit賞、白鳩賞

タイトル:SensingMask
Creator:Ryota Kobayashi

3Dプリンターで作られたROHMのセンサメダルを内蔵したセンシングマスク。ウェアラブル端末のスマートマスクのアイデアで、ジャイロや温湿度情報をリアルタイムでスマホデータで送信し、そのデータから呼気温度や咳回数を検出し健康状態を把握できる作品となっている。

小林竜太氏。愛知県の自動車会社でロボットを製作するかたわら、業務外でも趣味で乗り物や小さなロボット製作を行う。ちょうど在宅でできるものづくりとして、マスクのプロトタイプをSNSにあげたところ、AWRDへの参加を勧められ応募した。
プロトタイプで実演を行う小林さん。スマホにBluetoothで接続し、温湿度や咳回数を検出してくれる

林竜太氏:これからは新たな生活様式としてマスクは日常生活に必要なものになってくるのではないかと思う中で、スマホやスマートウォッチにウェアラブル端末にスマートマスクを作って選択肢としてとても有用なんじゃないかなんと思ってます。マスクという製品を観戦予防だけにとどまらせるだけでなく、さらなる付加価値をつけて未来の製品へ進化させていけたらと思います。

寺澤氏:白鳩は、マスクのリーディングカンパニーとして、新しいマスクを世の中に出していかなければいけないという使命感で日々仕事を行っています。それを一般の方で、しかも完成度も高いものづくりを既に実践されている方がいるというのは驚きました。コロナ禍において、世界中の人々のマスクに対する意識は大きく変わっていると確信していますが、その中の一つにマスクを使った体調管理や健康維持といったものを既に考えているのはすごいです。そこを評価してグランプリとさせていただきました。

Pichit Virankabutra/ พิชิตวีรกานต์บุตร(TCDC Director of Creative Space Development Department):複合解析データから呼気温度や咳の回数を検出し、健康状態を把握できるスマートマスク。この作品は、デザイナーが機能的な人工呼吸器と、健康チェックに役立つ着用者の個人データを解析し、必要なデータをリンクさせることができる検閲装置に統合したことを評価しました。

既に3Dプリンターで作られたプロトタイプを白鳩さんがアップデートした試作品。

最後に、今回スポンサーとして参加いただいた白鳩の寺澤さんより、本アワードの総評をいただきました。

寺澤氏:タイトな期間でこれほどの作品が集まると思っていませんでした。それだけマスクに関心を持っていると考えています。今回はコロナがきっかけとなったかもしれませんが、それ以前に我々がマスクを通して世界を変えていきたいということが一つずつ形になってきているのを実感できました。それをさらに加速するためにこれからも頑張っていきたいと思っています。

いかがでしたか?今回のアワードを通じて、突如訪れたコロナ禍の世界に、私たちはクリエイティブの力によって今の課題にどのように対応していくか、またそれらのアイデアを世界で共有することによってどんな化学反応が起こるのかに挑戦しました。その成果は、今回の応募数の多さや関心の高さによって、さまざまな角度からの解決策を垣間見ることができました。選りすぐりの4作品が今後皆さま手に届く日も近いかもしれません。

さて、マスクに続きAWRDではWith/After COVID-19時代の世界をクリエイティブで考える、コンペティションも引き続き開催中です。みなさんの参加をお待ちしています!

現在募集中のアワード

Work From Home Hack Award(2020年5月31日締め切り)
With/After COVID-19時代、リモートワークをもっと快適に、もっと楽しくするために。あなたのハックなアイデアを募集
https://awrd.com/award/wfhh-award

Game Design Challenge(2020年6月20日締め切り)

ポストコロナウイルスの世界の「学習」アイデアを募集
https://awrd.com/award/game-de...

主催:FabCafeについて

FabCafeは「Fab」の実験場。2012年に東京で設立されたFabCafeのグローバルネットワークは、現在、バンコク、バルセロナ、香港など世界11か所にひろがっている。現在進行中のプロジェクトでは、持続可能な開発目標(SDGs)がもたらす課題に対する解決策を生み出すことを目的とした国際的に開催される2日間のアイデアソン+ハッカソン「Global Goals Jam」を運営。2019年のGGJは90都市以上で開催され、5,000人以上が参加しました。

「Mask Design Challenge 2020」表彰イベント、配信アーカイブ

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